石ヤンのテキトー日記00年8月(2)

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8月31日(木)

 朝方までのマージャンを終え、眠りについていると、誰かが布団に入ってくる気配。
 確か健さんは9時頃仕事の為出て行き、妻のR君もやはり10時過ぎに出て行った。と、残るはくす美さんだけ。もちろん別々の部屋に寝ているはずなのだが、も、もしや!?
 あぁぁーーーっ、どーしよう。R君や健さんを裏切る事になるが、男として布団にまで入ってこられて何もしない、というのはかえって失礼だろう。
 しかも・・・足に触れてきたのは・・・毛!!!
 も、もうそこまで臨戦体制が出来ているというのか!?
 なんという早業なんだ、くす美さんよ。いつもは自ら「こけし」とニックネームするだけあって、なーんとなくボーッとしているような印象な君が、こんな時ばかりは俊敏に俺の布団の中に潜り込み、なおかつ、毛、毛、毛!!! モジャってるんじゃーい。もしかして君は、め、女豹か!?
 と、
「フニャァーッ」
 なんと布団に潜り込んできたのは、くす美さんではなく、健さんちの猫だった。人見知りをしない猫が、我が物顔のように布団の中にすべり入ってきたのだったのだ。
 ・・・ほっとして、ちょっと残念也。

 それから西川口の駅前のつぶれかけたような喫茶店でカレーライスで朝食。小汚い店で、おばはんがひとりでやる気あんまりなさそーにダッラーとやっているような店が、妙に俺には落ち着いたりするのだ。客も他に誰もいないので、漫画とか読みながらゆっくり食う。

 昼は川越に出て、古本屋で古い「週刊平凡」とか買う。表紙は朝丘ルリ子で、川口浩の結婚式がトップニュースだ。昭和35年発行。

 帰りの電車の中で急に「昼酒」がやりたくなり、急遽駅前のスーパーでビールとイカのフライ菓子を買って乗り込み、完全競馬帰りのおやじ化する。ゲフッ。もう8月も終わりだぜ。

8月30日(水)

 ニヒル牛にて打ち合わせ。この秋に向けて、店の一応の最終型の相談。何故最終型かというと、もう余りスペースがほとんどないからだ。だが、現在作家は約50人待ち。ということで協議の結果、仮称「九龍城」というボックス塔を店内に設ける事に合意した。現在、少々こぎれいにまとまっているので、少し店にアヴァンギャルドも取り入れよう、ということなのだが・・・。果たして、どんな風に出来上がるかは、みな、刮目して待て!

   その後は西川口まで車を走らせ、R君・健さん・くす美さんとパイにぎり。結果、健さんとくす美さんが、うちの夫婦にちょいと残暑見舞いをプレゼントしてくれた。いやー、お宅にお邪魔しているのに、悪いなーっ。ふふふふ。

8月29日(火)

 ニヒル牛の作品づくり。今回はぐっとアウトサイダーチックな、目覚まし時計をアレンジして紙粘土で健さんの顔風に人形にしたものと、小さな木箱の中に、カラフルでデキソコナイのコビトが3人昼寝しているオブジェを作った。

 夜、ふいにテレビをつけると、井上陽水と糸井重里の対談をやっていたので、つい見いってしまった。その話しを聞いてて思い出したのだが、陽水はここ最近、2枚のベスト盤を出している。ひとつはいわゆる代表曲を集めた「ゴールデン・ベスト」。そしてもう一枚は、昔のシングル盤ならB面に納められるような、実験的だったり、ちょっと変わった感じの曲ばかりを集めた「ゴールデン・バッド」。で、俺は断然「ゴールデン・バッド」の方に惹かれてしまう。ところが、「ゴールデン・ベスト」は確か100万枚以上のミリオンヒットを記録したようだが、「ゴールデン・バッド」の方をこの間漫画喫茶に行った時、何気なく「オリコン」というCD売り上げの雑誌を見ていたら、これが売り上げ2万枚弱。井上陽水にして、これなのだ。同じミュージシャンでも、50倍以上違うのだ。「メジャー」感のあるものと「マイナー」感のあるものは。はぁぁぁぁーっ、と思った。それほどまでに一般の人々はマイナーな物が好きじゃないんだなー、と思ってしまった。
 俺が影響を受けたり、好きな日本のアーティスト。突然段ボール、原マスミ、三上寛、小川美潮、友部正人、遠藤賢司、あがた森魚etc・・・。いずれの人も、結局「商業的には」成功したミュージシャンとは言えないかもしれない。しかしどの人も未だに活動していて、なおかつテンションも落ちていず、俺に影響を与え続けてくれているのだ。
 結局、こういう人たちは他のジャンルで言えば「純文学」だったり「本格的な絵画」だったりと、ある種、ディープなのだ。そして結局一般の人が欲しいのは、別に悪い意味ではないが、BGMなのだ。自分を鼓舞してくれたり、感傷的にさせてくれたりする、BGMなのだ。「純文学」より「軽いエッセイや青春小説」であり、「本格的な絵画」より「ラフなイラストや漫画」なのだ。
 それは、しょうがないことなのかもしれない。何故なら、俺もコムズカシイ純文学や、ご立派な本格絵画などには、ほとんど興味がない。音楽以外は軽いエッセイや漫画の方が好きなのは明らかだからだ。ただ、そういうものは入り込み易い分だけ、ただ通り過ぎていってしまうものであることも確かだ。
 なので確かに取っ付きづらいかも知れないが、ちょっとだけマイナーな物にも興味を持って、飛び込んでみれば、人生すらも変わる事があるかもしれない、ということだ。もっとも、こんな俺の日記を読んでいるよーな奴は、そんな事は先刻ゴショーチだろーが。 しかし同じミュージシャンで50倍。本当に予想以上に人はマイナーな物に興味がないんだなぁ。あーあ。

8月28日(月)

 昼頃から、久しぶりにコレクションの空缶飲料の整理。たまるだけたまっているが、量が多くなりすぎて、逆になかなか整理をする決心がつかず、数年ぶりにえいやっ! という気持ちで始める。すでに物置きはいっぱいで、台所の戸棚とか押し入れにビニール袋に入って雑然と入れてあるのを、「ジュース」「コーラ」「炭酸飲料」「スポーツドリンク・水系」「乳酸飲料」「コーヒー」「紅茶」「ウーロン茶系」「日本茶系」「ビール」「チューハイ系」等大雑把に種別し、さらに「キャラクター物」「珍しい物」等は別に分けていくのだ。なんせ結構ガッラガラうるさいので、真っ昼間しか出来ないからな。近所の人は一体、何の音だと思っているのだろーか。ともかく、DEVOのビデオをBGMに、ひとり黙々と3~4時間やったが、整理できたのは10分の1ぐらい。もしかして日本一かも? とも言われる一万本以上の空缶の整理は、やれどもやれども終わりがない感じなので、本日はここまで。ふひぇ~疲れた。でもこれ全部俺が飲んだんだなー。馬っ鹿だなー。

8月27日(日)

 さて、本日は榛名山「梨祭り」と高崎「人情市」の2箇所でのライブだが、詳細が当日なのに何も決まっていない、という珍しいケース。なんせ、きのうの夜ライブをブッキングした人に電話をかけたが、「全部その場のノリ」という感じで、出演時間もはっきりしていなかったのだ。しかし最初の「梨祭り」自体も11時頃からだ、というので、昨晩も「どーせ朝はゆっくりでいいやーっ」と夜中3時頃まで部屋でみんなでベトベトダラダラしていて、朝食も遅く9時半に予約しておいたのだ。と、朝8時頃、突然祭りの実行委員のような人が部屋にニュルリッと入って来て叩き起こされた。
「今からリハーサルやって下さい!」
 おいおい、そんな段取りがあるなら、もちっと前に知らせろやーっ、と思ったが、仕方なく眠い目をこすりながらリハーサルをすませる。
 結局、本番は11時半頃。玉置浩ニの物まねの「玉置工事中」さんの次だ。ぽっかりと格好の良い榛名富士をバックに気分よくステージをする。夏の野外ステージは、実はそーとーに体力消耗が激しい。結構、歌いながら変な振り付けをしたり、間奏ではパーカッションを叩いたり踊ったりと即興をするのだが、なーんも考えずに全力疾走すると、2,3曲でへばってしまうので、ペース配分を考えながらも自由演技をなるべく取り上げる。自由度が低いと、ライブとしては面白くないからな。なんせライブはその時こっきりの「一期一会」がその一番の魅力だと思っている。きちんとした音楽を聴きたいだけなら、CDがその役割は果たしてくれているはずだからな。  島田さんとクニちゃんも見に来てくれたのだが、なかなか良かったそうだ。というのも、俺と突然段ボール(蔦木俊二)だけだと、どうしてもアングラ度が高くなってしまうところが、女性コーラス隊の頭にフーセンつけた呑気な「おにんこ」が加わることで、ポップさが出てくるのだ。元々、曲調はこのユニットは割とポップ(といっても、もちろん「ひねくれ」注入済みだけど)なのだが、歌詞や風貌がどーにもアングラ的な要素が強いので、それがコーラス隊が入ることによって緩和され、いい具合に聴きやすく、見やすくなったらしいのだ。
 また「おにんこ」も元々は自分達でもバンドをやっていて、コーラス隊は言わば余技。なのでなんとなくちょっぴり照れながら、たんたんと踊ってくれていたのだが、それもまた良かったそうだ。確かに、うまくて面白い物もあるけど、「未熟だからこそ、魅力的」というものも世の中には沢山あるからな。そいで、俺はむしろそっちの方が好きだったりもする。だから、「おにんこ」よ。あまりうまくならないで、そのまま中途半端な踊りで突っ走ってくれい!

 そー言えば、ステージ終了後、お客さんに「よかったですぅ!」と言われたのはいいが、「でも、『オゾンのダンス』も聴きたかったですぅ!」と言われたのが、ちょいとつらかった。
 何故なら、それは二重の意味で無理だからだ。ひとつは、石川浩司+突然段ボールは「たま」とは全く違うユニットで、演奏する曲もこのユニットだけのオリジナル曲だ、という点(現在品切れ中だが、アルバム「ワカラナイ」も出している)。
 そしてもし「たま」だとしても『オゾンのダンス』のボーカルを取っていた柳原は「たま」を脱退しているのでその曲は現在もう演奏出来ない、という点。だから、どちらにしても無理なのだ。
 そー言えば、本番の始まる時も、司会の女の人が俺たちを「『たま』と『突然段ボール』の合体バンドです!」なんて紹介してしまったものだから、本番中に、
「えー、『たま』と言ってもメンバーが全員来ているわけではなく、パーカッションの僕だけが来ている別バンドなんです」
 とカッコ悪く弁解せねばならなかったからな。でも、「たま」を装ってJAROに訴えられても困るしな。

 ステージ終了後は、昼飯をかっこんですぐに移動。山を降りる。高崎の町中の「人情市」のやっぱり野外会場で演奏。ふと後ろを見ると、コーラス隊が3人のはずなのに、4人になっている。オープンスペースなので、酔っぱらった赤ら顔のオッサンがフラフラ~と乱入し、コーラス隊のマラカス取り上げて一緒に楽しそうに踊っている。これが人情市の「人情」ってやつか。なるほどな・・・。

8月26日(土)

 東京から新幹線に乗り高崎へ。そこで突然段ボール及び女性コーラス隊の「おにんこ」(早とちりの読み間違い&誤解なきよう。茨城弁で「おにぎり」の意味だそーです)のメンバーと合流して、車で榛名山へ。明日のライブが午前中にある為、本日は前乗り。
 しかしシーズンまっただ中の土曜日で、しかも明日は俺たちが出演する「梨祭り」の会場もすぐ横だというのに、俺たち以外に宿泊客は一切おらず。経営は、大丈夫なのか!? なので風呂も男湯だけを使い回し。  早い夕食を食べると、もうする事がない。宿のおばちゃんに聞いてみる。
「この辺で面白いところ、どこかありません・・・」
『か?』と聞く前に、おばちゃんの答えが俺たちに矢のよーに突き刺さった。
「なぁーーーーーーんも、なし!」
 いや、「なあーーーーーーんも、なし!」と言っても、榛名湖の湖畔では、中心的な場所だ。確かに暗くなり始めているから、ボート遊びとかは出来ないだろうけど、ほら、一応観光地なんだし、な、なんかあるでしょ。
「・・・なしっ!」
 むむむ。明日の「梨祭り」の小学生のダジャレじゃないんだから。
「じゃあ、せめてアイスでも食べたいね。アイス売っているお店は・・・」
「・・・なしっ! ぜぇーんぶ、もう、閉まっとる!」
 えっ!? だってまだ8時前なんすけど・・・
「・・・じゃあ、しょうがない。電話して店開けてもらうから。そこの石段降りた4軒目の店だから、行ってきなさい」
 おばちゃんに電話をかけてもらい、やっとアイスが買えることに。
 外に出ると、確かにもうどこの店も閉まっていて、とても8時前とは思えない。というか、店舗どころか、その上の住居らしきところにも、全く明かりがない。もう完全にみんな寝入っているというのか。何度も言うが、8時前だぞ、8時前。暗くなってから1時間ぐらいしかたってないぞ。おてんとさまの上がり下がりで寝起きする縄文時代か、ここは。矢ジリ作りか。
 とにかく全くの真夜中な感じのメイン・ストリートを彷徨い、ようやくシャッターを半分開けておいてもらった商店に入り、アイスを購入。
「でも、夕食が早かったから、夜中に腹が減るかもね。ついでにせんべいでも買ってくか。えーと、せんべいは・・・」
「・・・せんべいは、なし!」
 いや、だから「梨祭り」のダジャレはもういい、っちゅうに。
「じゃあしょうがない。2軒隣のバーサンのところにせんべいがあるから、電話して開けてもらうから、待っときんしゃい」
 と、またそこでも電話。店仕舞いは早過ぎるが、なんという連係プレーな観光地なんだ!
 ということで、また2軒隣のバーサンにもシャッターをガラガラ開けてもらい、せんべいもやっと手にすることが出来た。
 さて、部屋に戻ってだらだらテレビを見たり、「おにんこ」達は踊りの振り付けの練習とかを各自したが、11時頃になり、ビールでもひっかけたくなった。しかし8時前にみんな寝入ってしまう町だ。とーぜん、宿の奥に声をかけても、もう何の返事もなし。
 結局、小1時間くらいかけて、車で伊香保温泉まで飛ばす。が、やっと見つけたセブンイレブンでも、酒は扱っておらず、宿にトンボ帰りするはめに。
 しかし酒が欲しい時はどーにも我慢が出来なくなるのは、酒飲みなら誰しも経験があること。ついにT・S(匿名希望)さんが立ち上がり、敢然と宿の台所に忍び込み、物色。しかし冷蔵庫を覗くが、野菜しか入っていない。ビールはあったものの、冷えていないのがケースの中にあるのみ。でももうこれしか手はない。
 ということで、ちょろまかしてきたホットビールに、冷凍庫からやっぱり盗んできた氷を入れて、泡ブクブクのビールにやっとありつける。

 ・・・しかし今どき、氷入りホットビアーって。ここはアジアかどこかの辺鄙な村かっ!?

 8月25日(金)

 あさっての、突然段ボールとやる歌の練習を家でひとり体をクネラセながら延々する。約2年間ぐらいのブランクがあるのと、事情で欠席する"突段・兄"がボーカルを取っていた曲も歌わねばならない為、歌詞の暗記と、イントロからの入り口、間奏の長さなども全部拍数で覚えるので、大変なのだ。たまにお客さんに、
「ライブ中っていうのは、どんな事考えてやっているんですか?」
 と聞かれる事があるが、教えよう。
「次の歌詞と、間奏の長さの拍数をさり気なく数えてるんじゃーっ!」
 ま、お客さんは得てしてメンタルな事を期待しているのだろうけど、事実はこんなもんさ。
 しかもどうやら、今日だけでは覚えきれない事がわかってきたので、行きの電車の中でも聴けるように、あわててCDからテープに練習用にダビングしようとしたら、繋ぐコードがどこを探しても見つからない。
「コード コード コードはドーコ?」
 と歌ってみても、一切解決には結びつかない。でも録音せねば、どーにもならない。ってなことで、中学生以来25年ぶりくらいの"生録"、つまり、スピーカーのところにテープレコーダーのマイクを近付けて録音・・・。階段を上がってくるR君に唇に指を当て「シィィッ!」とか言いながら・・・。
 一応俺は、プロのミュージシャン、ってことに世間ではなっているけど、現実はこんなもんさ。ぶわっはっはっはーっ。
 あとは、「フロムA」の原稿書きなどで、自宅からは一歩もむんと出ず。

8月24日(木)

 NHKの集金が来たので、今日は一発度胸を決めて言ってみることにした。
「NHKです」
「あっ、どうも。あ、うち、今月から支払うのやめましたので!」
「えっ!?」
「もう、来ないでいただけますか?」
「ちょっ、ちょっと待って下さい・・・」
「・・・さようならーっ!」
 そういって俺は笑顔でドアを出来るだけ優しく閉めた。

 昔から、NHK料金だけはどーもふに落ちなかったのだ。だって今や、テレビを持っていたって、ビデオを見ているかもしれないし、ゲームをしているかもしれない。モニターとしても使えるのだから、テレビを見ているかどうかだって、定かではないのだ。しかしNHKは「テレビを持っている=NHKを見ているもの」として料金を徴集するのだ。それも例えば100円程度なら「いいかな」とも思えるが、数千円という料金をその論理で徴収するのだ。何かおかしくないか?
 しかもこちらは「じゃあ、家は民放だけ見ますから、電波を止めて下さい」ということも出来ないのだ。もちろん、NHKでも面白い番組があれば、見るかもしれない。しかしそれはほとんどの場合「流れているから」見ているに過ぎず、「受信料払ってNHK見ますか、見ませんか」と言われたら「うちは、そこまでして見たくないからいいです」という家だっていっぱいあると思うのだ。その選択すら出来ず、勝手に電波を流しておいてお金を取る、というのはあまりにも横暴過ぎないか、ということなのだ。
 たぶん今の科学力をもってすれば、そういう家にはWOWWOWのようにスクランブルをかけて見せなくする、という方法だって出来なくはないと思うのだ。が、そういう努力は一切しないで勝手に電波を送って金が取れるならば、極端な話、俺だって、何かの電波や、もしくは気巧の「気」を人に勝手に送って「お金を下さい」と言うことも出来るはずだ。もしくは家の門に入るのに入場料を取ったり、「俺と話しをする」ことでトーク料金を取ったっていい、ということにもなり得るとも思うのだ。
 って書いてたら本当にやってみたくなってきたな。やって見たら、みんなどんな反応するんだろー。面白そうだな。って、俺は子供か。
 ちなみに俺はNHKの番組がそんなに嫌いなわけではない。月300円程度なら、契約するかもしれない。あと、真剣にNHKを相手に喧嘩をする気はない。そんな面倒臭い事までには、興味がない。興味があるのは、そういう意見を持っている俺にどう対処してくるかなのだ。そこらへん勘違いされて「NHK受信料不払い運動」の発起人なんかにゃあ、ならないからね。この間も書いたように、俺はなにより「団体」が嫌いだからな。  NHKの集金人はたいてい気の弱そうな老人なので(但し、わざとそうしているらしいが)、別にその人が悪いわけではないので、心情的には払ってやりたくもなるが、とにかくこのやり方は間違っていると思う。もちろんNHKも一旦俺がそう言ったからって簡単に引き下がるとは思えないので、次にどんな方法で徴収に来るか、来たらまたその時に結果報告することにするので、みんなどーなるか期待して待っててねー。

 ニヒル牛に、親に連れられてやってきた子供が、俺の「へっぽこぴー」という曲を店内BGMでかけて、というのでR君がかけてやったら、終わった直後に「もう終わったの~、もう一回」とリクエスト、さらにパソコンでかけていたのだが、そのパソコンのマウスを勝手に操作して、ボリュームを上げて店内でガンガンに聞いていたという。・・・なかなか良い、お子さんだな。

8月23日(水)

 事務所にて、この秋のたま・しょぼたまのツアーの打ち合わせ。今のところ、四国、北海道、関西あたりをちょこっとずつやることがほぼ決定。詳しくは、近々インフォメーションにて。

 最近、クマさん(篠原勝之)と時々メール交換とかをしているのだが、くまさんのホームページのトップの画像が凄い。高城剛さんが作ったらしいのだが、まるでテレビだ。ところがこちらは同じホームページをやっていても、実にアナログ。そして昔から俺は、ある程度出来ると「これでいっや~」とそれ以上学習しない、という癖があって、未だに画像ファイルの事とかはよくわかっていない。同じようにやっているのに、突然画像が出なくなったり、プログラムで最後に「.jpg」というのを付けないと画像が出ない時と、付けなくても出る時があって、何がなんだかわかんねーやー、コンピューターっていう奴は。わかんないまま、今夜も突っ走っていくぜ!
 でも誰かわかりやす~く教えてくれる人がいたら、教えてね。専門用語はなるべく使わないで、幼児に教えるように、時に優しく、時に甘く、時にギュッと抱きしめてくれる、そんな教え方で・・・。

8月22日(火)

 渋谷のラ・ママにてパスカルズのライブ。開演時間が情報誌とチラシ(最近はフライヤーというんだっけ? いいじゃねえか、チラシはチラシで。なぁ。)で違っていたらしく、時間かせぎの為、急遽ライブの前に「メンバー相互インタビュー」というのをやることにしたが、喋りの苦手なメンバーばかりなので、
「・・・えーっと、うーんとぉ、じ、自分のチャーム・ポイントはどこですか?」
「・・・はっ! ええええ、うーん、と、特に、ありません・・・」
「・・・あっ、ああっ、そうですか・・・」
「・・・はい・・・」
 とかそんな感じの見事にノン・流暢な会話が続いた。話しの内容はともかく、14人もいながら、社会的に不器用人間が集まって出来たバンドだということだけは、バッチリアピールをかかさなかったぜ。
 アンコールで「ボボ・ピノキオ」という俺が半分即興でボーカルを取り、メンバー紹介をする曲があるのだが、その途中で、
『ヴァイオロンの調べ
 美しき女たち
 でも年は聞いちゃダメ
 それはあなたのタメよ』
 と歌って、バイオリン隊の女性陣を紹介する部分で、ベテランの松井亜由美さんが、いきなりすっくと立ちあがるや「カルメン」を弾きだした。ここはメンバーが紹介されてそのソロ・パートに移るところで、確かに昔は「カルメン」だったのだが、この一年ほど前から、そこの部分は「森の熊さん」に変更されていたのだ。他のメンバーはもちろん動揺を隠しきれなかったが、うつおさんだけはひとりで果敢にも、「行くわよ!」の無言の声をあげ、「森の熊さん」を同時に演奏し始めた。なにせ、それしか目の前に楽譜がないのだから、私はそれをやるわ! という感じなのだ。あとのメンバーはすぐ横で拮抗する「カルメン」と「森の熊さん」の間でとまどいながらどちらとも言えない微妙な音をキーコキーコ目を泳がせながら出し続け、つまりはいきなりの「現代音楽」がそこに出現してしまったのだ。パスカルズ初体験の観客には、一種の即興演奏のように見えたかもしれないが、事実はそんなことだったのだ。でも、俺は少なくともおかしかった。「カルメン」と「森の熊さん」の合奏って・・・ジャンルからしてすでに全然違うわい!

8月21日(月)

 ニヒル牛にて打ち合わせ。最近、R君が作った「月刊ニヒル牛」というミニコミの巻末に「店内で探そう!」という懸賞コーナーがあり、つまりは店内のいろんな所にあるイラストやオブジェを、それをまねて描いたR君のへたくそな絵を元に探そう、というものなのだが、そのおかげで、それを買った人が皆、汗だくになって店内を探し回り、店が、宝探しの一大アミューズメント会場化しているという。なんせ箱が200もあるので、その箱の隅っこにあるほんの小さなイラストだったりするので、みんな低い位置の箱では地べたをはいつくばったり、高い箱ではピョンピョン飛び跳ねたりと懸命に探していて、見つかると懸賞のことはともかく、「こんな所にあったぁ!」とゲラゲラ笑い出してしまうのだという。笑いは長寿の秘けつだからな。みんなどんどん笑っとくれ。もっとも、雑貨屋の店内で客があっちこっちでゲラゲラ笑っている、というのも、何も知らないで入ってきたお客さんにはホラーのような無気味な光景だが・・・。

 夜は、今度ヨーロッパで出る俺も参加しているパスカルズの「ふらんす・で・でおーる」というCDのインナーに描く「長い人」というイラストを頼まれているので、それを描く。

8月20日(日)

 図書館へ。ついついイエスとかローリングストーンズとか、昔レコード盤で持っていたCDばかりを借りてしまう。この年になると、なかなか新しいミュージシャンには手が伸びづらい。何故かというと、音が耳慣れするのに時間がかかるので、それがかったるいのだ。そんなことじゃいかんとは思っているんだが・・・。まぁでもそもそも古いバンドのCDしかおいてないのだが。しかも一体誰が選んだのか、随分片寄った選択。クイーンやボブ・ディラン、マイケル・ジャクソンですら一枚もないのに、キッスだけはほとんど全部揃っているって・・・
 まさか、CD係のなんとなくボーッとしたさえない感じのおっちゃんが、実は熱烈なキッスファンで、勤務が終わると一目散に家に帰り、メイクをばっちり決めて、ジーン・シモンズ伝来の火吹き練習をボーッボーッとしてたりしてたら、ちょっと怖いな。

 あとは、家に帰ってしこしこ「フロムA」の原稿書き。

8月19日(土)

 図書館で借りてきたブータンの旅行記など読む。宗教に根ざした発展途上国は、どこも子供の笑顔が抜群に魅力的な気がしてしまうのは、気のせいじゃないと思う。俺は初詣も盆踊りも行かない典型的な無宗教人間だけど、ちょっとだけ「やっぱり宗教にもなんかあるよなー」とも思ってしまうことがある。というか実は宗教が嫌い、ということじゃなくて俺はそれにまつわる「団体が嫌い」なのかもしれない。それは宗教に限らずだけど。元々の思想なり野望なりは別に悪くないのに、「団体」になることによっていつのまにか入っていく毒素があると思う。「大勢の人間が力を合わせてひとつのことを成し遂げる」のは、確かに個人では出来ない物を成し遂げ、ドラマチックな展開を見せることもあるだろーから、それに酔いしれていく人の気持ちがわからないではない。しかし、人がある程度以上集まった時に、自然に現れてしまう「秩序」というものが、実はそのそもそもやりたかった事の本質をねじ曲げるほどの巨大な力を持っていくことに気づく人は少ない。問題を起こした新興宗教家だって政治家だって、最初から悪い事を企んでいた人ばかりじゃないはずなのだ。なのに、組織が大きくなるにつれ、どんどんその「団体毒素」に襲われて、いつのまにか悪事に手を染めてしまっているのだ。それは「国」にも言えることかもしれない。
 とにかく、俺は生理的にも「団体」が嫌いだ。俺の作詞した「お肌ツルツル老人」という曲は、俺にとってイヤな事を馬鹿馬鹿しく列挙した歌だが、だいたい「老婆から恋文」とか「蛇口から納豆」とかくうだらないことを言っているんだけど唯一、「すべての団体」というところだけがちょっとマジだったのだ。
 ・・・なんて自分で解説してたら、ひとりでパソコンに向かっているのに、急にほのかに頬がポーッとそまり、恥ずかしくなってきたぞ。どういうわけじゃい。

 夜、珍しい枝付きのピーナッツをR君が買って来たので、塩ゆでして食う。この「ピーナッツの塩ゆで」は長崎県大村市にお住まいの杉本伸二君に教わった食い方だが、フニャフニャした食感が病みつきになるぞ~。

8月18日(金)

 いちいち日記には書いていないけど、この夏の最も典型的なゴールデンコース、すなわち「図書館→100円ショップ→漫画(マッサージ)喫茶」を満喫。自転車で走るとそこそこ距離もあるので軽い運動になるしな。ただで本やCDを借りて、100円でニヒル牛の作品の素材の買い物を楽しんで、189円(7/26日記参照)で飲み物飲んで揉まれて。これが一番わずかな金で楽しめるご近所・パラダイスだ。
 しかしはぁー、最近腰が重くなっちまっただなー。以前ならちょっと時間があれば電車に乗って「知らない町めぐり」とかにすぐ出かけていたもんだけどなー。でもまぁ、ちょいと視点を変えて物をミクロに見ればご近所でも世界、いや宇宙旅行と変わらないという見方も出来るわけで。ってな言い訳もまた、年寄りくさいのー。ごほごほごほ。

8月17日(木)

 事務所へ。事務仕事や打ち合わせなど。帰りにR君と待ち合わせをして、「ギョウザのマンシュウ」へ。「ギョウザのマンシュウ」と「満州ギョウザ」はよく似ているけど、違うチェーン店だ。俺は「ギョウザのマンシュウ」の方がちょっと好き。「満州ギョウザ」は「満州ギョウザ」と名乗っているけどラーメンが主体で、「ギョウザのマンシュウ」は「ギョウザのマンシュウ」と名乗っているだけあって、ギョーザと定食が主体だ。そーいえば関西にも「餃子の王将」とよく似た、別のチェーン店があったな。なんだっけか。「大阪餃子の王将」じゃなくてなんかそんな感じの・・・誰か知っている人、教えてくれい。名前と、その内容の違いを!

8月16日(水)

 ニヒル牛へ。このHPで通販する物の、個別の値段を調査する作業。お盆のせいか、客は少ない。というか、俺の行った夕方には誰もいなかったので、店は店員のR君と俺のふたりきり。これじゃ家と同じだ。家と同じ状況になると、つい体も心もグッタ~ダッラ~となってしまうからな。気をつけないとな。お店に突然お客さんが入ってきたら、なんとなく薄汚れたラフな服に身を包んだだらしない格好の夫婦が、床にゴロゴロしながらリラックス100%してオナラプーとかしていたら、さすがにサーッと引いて、静かにドアを閉めて「さよおなら」と出ていくだろうからな。家と同じメンツだけれども、ここは店で我が家じゃない、と。注意、注意。

 夜は飲み会。高円寺の居酒屋にて。大谷、とっちゃん、青木さん、カブラギと。ライブハウス衰退の話しや、インターネットのマイナー音楽配信の可能性の話しなどをする。楽しかった。


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