テキトー日記03年2月(2)
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2月16日(日)
オフ。
ハッと気づいたら何故か昼間から右手に焼き鳥、左手にチューハイが。
「一体、誰がこんな仕業を!」
と少々怒りつつ、しょうがないのでベロベロになる。ベロベーロ~。ベロベーロ~。キャハハッ!
中島らも「ガダラの豚1」読む。面白い。
2月17日(月)
一週間前に突然決まった「しょぼたま2」のレコーディング。スタジオライブ形式一発録りで5曲録る。
そもそも「CDを作ろう」なんて話しはなかったのだが、ダンス公演の為にいろんな新曲、カヴァー曲、セルフカヴァー曲などをやっているうちに、
「これ、しょぼたまの新作として残してもいいんじゃないか?」
ということで急遽レコーディングが決定したのだ。
ちなみに今回はそのダンス公演の為、という前提から作るので、選曲は初めて自分達ではなく、演出の井手さん。しょぼたまだけど、打ち込みがあったり、完全なインプロビゼーション(フリーセッション)があったりと、実験的な感じもあるので、ちょっと特殊なアルバムになる予感。
しかもそういう理由から、半分はインストルメンタル曲。まぁ、4月中旬頃発売予定なので、ひとつ、しょぼたまの「新しい面」も一献いってやってくだしゃんせ~。
中島らも「ガダラの豚2」読む。
2月18日(火)
舞台稽古。
そーいえばこの舞台でやるバロックの曲があるのだが、これが演奏に至るまで大変だったことを思い出した。
まず、演出の井手さんからテープを貰って、
「この曲をやって欲しいんだけど・・・」
と言われたが、曲名も、誰の曲かもわからない。
最初は知久君が耳コピーで譜面に起こそうと思ったが、ちょっとやってみて、到底無理ということになり、この楽譜を探そうということになった。
そこでクラシックにも造詣の深いパスカルズのチェロ奏者、三木さんに聞かせたところ、
「ん? ビヴァルディか? ・・・いや、ちょっと違うな」
ということでさらに探ってもらったところ、バッハであることが判明。
しかし三木さんの読みも正しかった。つまりこの曲は元々ビヴァルディのもので、それを後年、バッハがアレンジし直して完成した曲らしい。題名は「BWV1065 4台のチェンバロのための協奏曲・イ短調」
さて、曲名は判ったものの、楽譜がすぐ手に入るものではない。
そこで三木さんがインターネットで調べたところ、この曲のMIDIがダウンロード出来る事を発見、それをダウンロードするや、三木さんが持っていた「MIDI音源を譜面に起こすソフト」を使い、よーやく譜面を手に入れた、という次第。
つまり、三木さんがいて、インターネットがあって、「MIDI音源を譜面に起こすソフト」がなければ、多分この曲をやることは不可能であったろう。10年前だったら、絶対に無理だったことだ。
ちなみにもちろん譜面を手に入れたからといって、それは「4台のチェンバロ」の譜面なので、それを、ギター、ピアニカ、パーカッションという全く元から入ってない楽器に置き換えてアレンジしなければならない。
そこは「たまの音楽部長」知久先生が頑張ってくれて、最初にシーケンサーで譜面から簡単にアレンジしたものを作り、それに合わせて全員で音を出してみて、パートの振り分け等を徐々にしていった。
尚、俺達は元々「自分の出来る範囲で、いっちゃん面白い事をやろー」主義だったので、よーは、こんな音大生がやるような楽曲を弾く技術もトーゼンなく、最初の15秒間が演奏出来るまでに半月かかった、とだけ言っておこう。まさに「40の手習い」也・・・。
中島らも「ガダラの豚3」読む。
2月19日(水)
夜、ワタナベイビーから電話。
「いやー石川さん。聞き返してみたんだけど『ぼけ』実は凄い曲ですよね!」
「あ、ありがとう」
「もう今日、一日中聞いてましたよ。で、この興奮はなんかすぐに本人に伝えたい! と思いまして」
「あ、ありがとう」
「いやー、あれ、BECKを完全に越えてますよ。ほんっとに、凄いすよっ!」
「あ、ありがとう」
そのまま30分間延々誉められ続け。いやー、いくつになっても、人に誉められるのは嬉しいにゃー。特にあんな地味とも言える曲で。ワタナベイビー、アリガトオ。
W・アリンカム 矢川澄子訳「妖精の国で」読む。
2月20日(木)
夜、チャットをやっていたら参加者がちょうど11人になったので、誰かが、
「11人いる!」
と書き込んだので、すかさず、
「偽物は誰だ!」
と答えたが、ほとんどの人は「・・・?」状態だった。
今の若い者は、こんな古典的名作も読んでおらんのか! 嘆かわしいのう。
というか、もうわしらの時代じゃない、ということか・・・。(※注・「11人いる!」は萩尾望都の名作漫画。テレビドラマや映画にもなった)
ナンシー関「秘宝耳」読む。
2月21日(金)
今日は稽古場に12時集合。・・・って、起きて時計見たらもう12時過ぎてる。ヤ、ヤベェー!
ところが家の中がなんかおかしい。いつもスリープ状態になってるテレビやビデオの電源が切れてる。
こりゃ、停電だ! と思った時、電気が通じた。と、同時に留守番電話の消えていたライトもチカチカ点滅を始めた。
聞いてみると、マネージャーの声で、
「今日の稽古は都合により、夕方6時からになりました」
こんな遅刻の助かり方もあるんだにゃー。
今後も遅刻の際は、この手でお願いしまーす。神様。ゴロニャ~ン。
永六輔「聞いちゃった!」読む。
2月22日(土)
「散歩の達人」という雑誌の別冊Mook本「中央線特集」で、中央線のおいしい喫茶店や変わった店などを各駅で紹介しているのだが「西荻窪」の項の巻頭に、ドドーンと1ページ以上「ニヒル牛」がカラーで紹介されていて、驚いた。取材を受けたことは何となく聞いていたし、今までにマスコミにも何度か取り上げられたことはあったが、遂にある種のガイドブック的な本に、西荻窪という町の代表的存在として掲載されるとは。ふふふっ。(※注・これはただの自慢で~す)
尚、今後ニヒル牛は、店内にてミニイベントなんかもちょこちょこやっていこーと思ってます。よろしゅー。
中場利一「岸和田少年愚連隊」読む。
2月23日(日)
昔は、日曜日といえば「電波少年」というテレビ番組が好きで、楽しみにしていた。そして去年はその番組のケーブル版とも言える「電波少年的放送局」にも出演・演奏することが出来、坂本ちゃんやケイコ先生ともその後付き合いが出来た。
が、昨年あたりから番組が失速、遂には番組終了に。で、実は「番組が終わるかもしれない」という情報を聞いた時、俺は「何か俺に出来ることはないか」と思い、プロデューサー宛に、いくつかの企画案を出したのだ。しかし時すでに遅し、そのまま番組は残念ながら終了した。ちなみに俺はやっぱり旅行物が好きだったので、そういう企画が多くなった。
以下、俺がプロデューサーに出した企画案。
『「電波少年的リヤカーマンの旅」
リヤカーで世界を一周する。今までの「貧乏旅行」と違う点は、ヒッチハイクが捕まらずに先に進めないなどの事がなく、常に前に進め、また宿泊もリヤカー内で出来るということ。また付随してあらゆるものを「和風」にしてもいいかもしれません。着物姿や扇子等の小道具を持ち歩き、食いぶちは、三味線で民謡を歌う、お神楽をやるなど、日本の伝統的芸能を披露することで、投げ銭を稼ぐ。ヨーロッパ、アジア等地域によって、リレー式に人が変わっていくなどもいいかも。
「電波少年的ジャンケン日本一」
クラス→学校→市→県とジャンケン3本勝負で「日本一のジャンケン王」を決定する。ある程度人がしぼられた時点で、「北海の白熊」等、ニックネームをつけ、バックボーンの紹介などもして、人間的にも興味を持たせる。
「電波少年的突撃披露宴」
披露宴の席に、突如、新郎新婦が好きな歌手・漫才師などがラジカセとともに乱入、お祝いの歌やメッセージを送る。あっという人が登場する喜びと驚き。登場方法に工夫をしたり、披露宴会場ではなく、新婚初夜のホテルの一室に突然突撃するなどのバリエーションも考えられる。また、番外編として、葬式に生前その人が好きだった歌手が突如現れ、お別れの歌をうたう、などもあるかも。
「電波少年的わらしべ長者」
文字通り、全国を廻りながら、藁からはじめて、ロールス・ロイスの新車になるまで、いろいろなものと交換をしながら旅をする。
「電波少年的宵越しの金は持たねえ」
100万円を初期費用として株を買い、一週ごとに収支を出し、儲かった分は、その週のうちに、出来るだけ江戸っ子らしい華々しい使い方をする。パソコンだけを支給し、新聞やテレビのニュースで情報を仕入れ、日々、株の売り買いを激しく行う。
「電波少年的占い師日本一」
占い師に、毎週結果がはっきりわかるもの(野球の勝敗等)を占ってもらい、本当にその占い師の占いが当たるかどうか公表する。トーナメント方式で、最初は50人用意し、毎週、外れた人を次々に脱落させていくシビアな方法もありかも。
「電波少年的すごろく旅行」
サイコロの目の出た数だけ各駅停車で日本の北の果てから南の果てまで、列車で旅行し、誰が最初にゴールするか競う。但し、出た目の駅では下車し、そこで「クジ」を引くと、その町でやらなければならないことが書いてあり、それを行ってからでないと、次には進めない、というルール。
ちなみにこれは僕がプライベートですでにやっており、面白い事は保証します。台湾や韓国でも同旅行を行った実績もあります。
「電波少年的こちらメニュー特捜部」
全国から「変なメニュー」のある食堂などを報告してもらい、レポートする。だいたい変なメニューを作る人は奇人が多いと思うので、さらにその人にたきつけて、新しくもっと凄いメニューを創作してもらい、町の名物とする。
「電波少年的どすこい人生」
元力士に、世界中を旅してもらい、そこの力自慢と勝負する。勝ったら、「ごっつあんです」と食料や宿をめぐんでもらう。負けたら一週間、相手の好きなように力士は仕事などに使われる。
「電波少年的世界的スター」
パスカルズ、という日本では全く無名のバンドがあります。が、一昨年フランスで出したインディーズのアルバムがチャート1位を記録し、昨年はフランスに招聘され、ニルヴァーナなどもそれをきっかけにブレイクしたという、「トランス・ミュージック・フェスティバル」という大きなイベントなどにも出演、連日ル・モンド紙他、多数の新聞等で絶賛されました。来年も秋に20公演ほどのヨーロッパツアーが予定されています。
しかし何故、日本では全く無名なのか? それはメンバーが面倒くさがりで宣伝活動を一切行っていないから。ということで、まじめに世界に羽ばたけるバンドとして、この「パスカルズ」を売り出す。しかし、メンバーは15人という大所帯で、なおかつ平均年齢は40才。年齢的にも若者のような柔らかさはなく、頑固者も多い。さて、このバンドをどうしたら本当に世界に通用するように出来るのか、若手がいろんなアイデアでプロモーションする。
尚、このバンドは、音楽的には癒し系インストルメンタルが基本ですが、突如チェロが火を噴いたり、シンバルが3mもの高さにあるなど、パフォーマンスも受けています。キャラ的にも、皆セミプロのミュージシャンをやりつつ、並行していろんな職業を持っています。「TVチャンピオン家具職人選手権」で三位になった家具職人、植木屋、漫画家、鍼灸師、画家、国営放送ケーブルTVの編成部長、ふたりの子持ちのお母さん、ふたごなど個性のある人が目白押し。尚・・・僕もこのバンドに在籍しています・・・。』
ちなみにもしどこかの番組がこのどれかの企画をやるなら、企画料はちゃんと払えよっ!
(かつて「すごろく旅行」の企画が、無断で地方の深夜テレビで使われていたことがある・・・あと「ニヒル牛」も契約書までほぼそっくりそのままホームページからとったと思われる類似店がいくつも出来たので・・・。せめて、一言ぐらい声はかけてくれや~。人としての仁義やで~。たのんまっさ~)
伊藤俊治「バリ島芸術をつくった男」読む。
2月24日(月)
R君友達と上海へ。まぁ、誕生日プレゼントなのだが。
俺が地方へツアーとかで行って帰って来ない事はあるが、R君の方が家にいない、ということはもしかしたら結婚後はじめてかも。いや、以前にもR君が泊りがけで出かけた事はあったが、その時は俺も確かツアーかなんかで家を空けていたからなー。
何をしていいのかわからず、とりあえずスーパーに行って、袋詰めポテトサラダ、焼くだけウインナー、焼くだけギョーザ、出来てる温泉卵など買ってくる。あと、何買っていいか、思いつかにゃい。
ぽつん。
嵐山光三郎「日本一周ローカル線温泉旅」読む。
2月25日(火)
舞台稽古。終了後、
「今日は俺、晩飯ないんで・・・」
ということで、ちょうど帰り道が一緒だった女性マネージャーとふたりで、池袋の佐渡料理の店で飯と酒。
と、店の女の子がそれまで黙っていたが、エプロンをたたんであがる時、
「実はファンなんです。サインして下さい!」
と言われたので、咄嗟に、
「女性とふたりですが、不倫ではないです! マネージャーなんです!」
といらぬ弁解をしてしまった。
考えてみれば、別にホテルから出てきたわけでも、くどいてるわけでもなく、ただ仕事の話をしながら飯を食っているだけなんだから、なんてことないのに、そんな弁解は逆に誤解をまねくおそれがあるのに、何故か酔っぱらっているとわけわかんない事喋ってしまうんじゃなーっ、俺は。俺ってえ奴は。何なんだ、一体!
野坂昭如「東京十二契」読む。
2月26日(水)
舞台稽古。夜は回転寿司くるくるくー。
インターネットの掲示板で「たま企画室」名義で、今後(予定は別にないが)映像作品を出す時、ビデオとDVDのどちらがいいか、と聞いたところ数十件の投稿があり、そのすべてがDVDだったのでビックリ。確かに「DVDの方が多いかな」ぐらいは思ったが、ビデオ派が一件もないとは思っていなかった。
ちなみにたまメンバーでDVDが見られるのは、俺がパソコンで見られるだけで、あとのふたりは見られない。ふたりに話すと、
「パソコン持っている様な人はDVDも持っている人多いんでしょ。ビデオなら、ほぼ誰でも持っているじゃない」
の返答。うーん、確かに一理ある。パソコン持っていない人の意見も聞かないとな・・・。
たかのてるこ「ガンジス河でバタフライ」読む。
2月27日(木)
舞台稽古。この日で旧小学校での稽古は終わりなので、中打ち上げ、「牛角」にて。しかしその間、ある役者さんが車上荒らしにあっていたことが後に判明。最近は飲酒運転の規制が激しいので、みんなが飲んでいるなか、必死に「ノンアルコールビール」で盛り上がってワハハハ笑っていたのに・・・。おいたわしやー。
梁石日「タクシードライバー」読む。
2月28日(金)
「しょぼたま2」レコーディング。何度も演奏するも、
「うーん、昔資料用に演出家に提出する為に適当に録音した物の方が、演奏は完璧ではないが、味わいがある・・・」
ってなことで、そっちを採用にした物も。一見、新しく録音に費やした時間は無駄にも思えるが、その時間がなければ、前のテイクが良かったかどうかもわからないのだから、別に問題はないニョダ。
それにからめて考えてみると、同じ楽曲を演奏するなら、「技術にたけた完成した演奏」より、「未熟だが、新鮮さのあるもの」の方が上なような気がする。つまり、見えにくい(聞こえにくい)ものだが、そこに内包された「気」の力のようなものが、技術とかを凌駕するのだ。
もちろん全てがそうだ、と言っているのではないが、ひとつの真実としてはあると思う。
老いた者は、若者の理由なき暴力に殺されるものだ。いや、殺されるべきだ。
桂米朝「桂米朝コレクション2」読む。
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