テキトー日記02年12月(2)
文章中の文字の色の違うところをクリックすると、詳細が見られたり、リンクに飛ぶぞ。
12月16日(月)
リハーサル。眉をつりあげリハーサル。
浅田次郎「地下鉄に乗って」読む。
12月17日(火)
たまの掲示板をふたつ削除。ひとつは禁止事項にも書いてある「ダビング希望」だったので、問題なく削除したが、もうひとつは巧妙。
「こんな掲示板を見つけたので書きこんじゃいましたあ!」
的な感じだったので、
「あぁ、あまり芸のない、ただ足跡だけ残した書き込みか・・・」
と思ったら、
「私のホームページも覗いて下さい!」
とリンクされていたので行ってみると、突然、
「私は今までいろんな不幸な目に遭ってきました・・・」
フムフム。
「ところが、この『開運ペンダント』を買った途端、運気が上昇! ラッキーなこと続きです!」
と、よーは、手のこんだグッズ販売の案内。
多分、他のいろんな掲示板にも、さり気なく書き込みされてると思われる。良く読むと、「たま」の事などどこにも触れておらず、どこにでも通用するような文章だったしな。たまファンの良い子が「たまのファンの人のお薦めだから」なんて勘違いして買ったら可哀相なので、即刻削除じゃいっ!!
遠藤周作「最後の花時計」読む。
遠藤周作は特にユーモア物のエッセイや小説が好きで、高校時代よく読んでた。そしてこの作品は、遠藤周作の最期の、遺作的なエッセイなのだが・・・。
資料としての価値はあるかもしれないが、正直、読んでて辛くなった。
そこにはもう、ユーモアもなく、ただ武者小路実篤のように同じことを延々と頑固に綴っている「ぼけはじめた小説家の末路」みたいなものが漂っていたから・・・。う~む。
12月18日(水)
リハーサル。ヨダレだらだらリハーサル。
梁瀬光世「誰も書かなかった灰かぶり姫の瞳」読む。
12月19日(木)
リハーサル。おしっこもれそーリハーサル。
ナイロンの舞台の衣装の為、採寸する。
バスト115cm
ウエスト113cm
ヒップ111cm
これで俺が、「ゆるやかな逆三角形」だということがわかったろう。いわゆるひとつのマッチョだな。ワッハッハ。
ちなみにバストより、腹の方があきらかに出ているので、俺だけ、腹も別に計ってもらったが、意外なことに、バストよりは少なかった。よーするに、前には突き出ているけど、横にはあまり広がってないタイプなので、一周すると、バストより少ないわけね。勉強になったわい。
なので、俺に高級紳士服を送ろうと手ぐすねひいている貴方、このサイズを参考に。ちなみに、靴は26cmです。頭は56cmです。パンツはトランクスです。犬は猫です。
アメリカで、ホールの中で携帯電話の音を鳴らしたら、即座に罰金50ドルという法律だか条例だかが出来たらしい。携帯をそもそも持ってない俺は全然良いと思うが、もしも、もしも、携帯と同じ様な電子音的なオナラが出てしまった人はどうするのだろう。
「違います! 今のはオナラなんです! 私は昔からこんなオナラの音なんですっ!!」
「じゃ、もう一度やってみなさいっ!!」
「う~ん、う~ん」
「どうした? 携帯電話のようなオナラは!?」
「ちょっと待って下さい。う~ん、う~ん・・・ブリッ!!」
「・・・罰金はいいから、即座に退場しなさい」
あっ、もしくは携帯の着信音を、電子音じゃなくて、オナラの音にしておけば、ほぼ罰金から逃れられるわけだな。う~む。
内田百聞「立腹帖」読む。
12月20日(金)
近所の典型的な、親父ひとりでやってる居酒屋が、外見そのままで、突如「フィリッピン・レストラン」に。
赤ちょうちんには「焼き鳥」と書かれたままで。
そしてヘタクソな手書きの文字で「TABIHODAI 1000円」の貼り紙。
1000円は安いが、それより、そこだけローマ字で「タビホーダイ」って。
いつかは入らにゃなるまいな・・・。店をたたむ前に。
中島らも「とほほのほ」読む。
12月21日(土)
リハーサル。唇ベロンチョ。
歩いていたら、真っ暗な駐車場で音もたてずにバックしてきた車に、ケツぶっつけられた。
ケツぶっつけちゃ、やーよ。
ナンシー関「夜間通用口」読む。
12月22日(日)
20代の見知らぬ女の子と新宿でデート。今年でなくなるという老舗クラシック喫茶「スカラ座」でお茶を飲み、「印度屋」でカレーを食べ、ゲームセンターでプリクラを撮って、ゲームをして、ゴールデン街に行って飲む。そして、大人だから、その後はもちろん・・・駅で「バイバーイ!」
ま、ネタをばらせば、俺のホームページの「物々交換でゴー」コーナーで「俺と夕食を一緒に食べる」の当選者と、一緒におまけ付きの夕食を食べた、というオチじゃーい! ま、人生そんなもんさ。
ちなみに彼女は現在は首都圏に住んでいるが、元々地方の人で、新宿に来たのも、二度目だという。
但し、一度目はアルタで「笑っていいとも」を観にきたそうで、ほとんど初めてのようなもの。
「新宿って、いつもこんなに人が多いんですか!?」
とギョギョギョッと驚いていた。
で、彼女は「新宿」に驚いたが、俺は「自分のゲームの力の衰え」に驚いていた。
ゲームセンターで、まず最新の、リズムに合わせてボタンを押す、というのをやってみた。
俺はこう見えてもプロのパーカッショニスト。リズム感で素人に負けるわけにゃあ、いきやせん。
ズンズンズンズンドッコ(本当はこんなリズムじゃない)
バシッ! ブシッ! ほりゃ!
「ほっほっほっ、ま、こんなものですかな」
と彼女の方を見るとガビビビ~ン。目がボヨヨヨ~ン。
なんと、俺の倍以上の点数を叩き出しててるではないか。
「こっ、これは最新式のゲームだから、やり方のコツがつかめなかったわ。つ、次行こっ!」
そして次はご存知テトリス。
これなら俺もさんざんやったでなー、ふふふ、年季というやつを見せつけたるわーい!!
・・・惨敗。頭ではわかっていても、その信号が手に伝わる速度が、明らかに落ちてる。俺は、尻尾に打撃を受けても、それが「痛い」と脳に伝達されるのが一番遅いと言われる最大の恐竜、ティラノザウルスかっ!!
それじゃ、これはどうじゃーい。「パックマン」。これも一時はまったからなー。
「あ、私、これ知らないんですけど・・・」
おっ、そうかい。じゃ、ちょっとおじさんがお手本を見せてあげるから、うやうやしく見てなさい。
・・・ウギャー1面もクリア出来ない。昔は10面近くいったのに・・・。
「なんとなく、やり方わかったので、私もやってみますね」
(フフォフォフォフォ、小娘にどこまで出来ますやら・・・)
ウオー、軽く1面クリア。鼻血ブォーッ!!
とにかく、はっきりと数字上でも「老いた」事がわかる出来事であった・・・。とほほほ。
銀色夏生「ケアンズ旅行記」読む。
12月23日(月)
夜、チャットを覗いてみると、8人ぐらいが会話しているので、入る。
と、きのうの女の子も入ってる。
で、誰かが、
「そういえば、『物々交換』の子と石川さん、夕食に行ったんですか」
と聞いてきたので、
「行って来たよーん。かわいい子だったよーん」
とか言うと、彼女も素知らぬ顔で、
「へーえ、そうなんですか」
とか打ってるので、メールで(メール番号は、コーナーに応募した時点でわかってる)
「君もなかなかとぼけるのがうまいねっ!」
とか蔭でこっそり連絡とりあいながら、チャットは淡々と続行。
なんか、浮気しているわけじゃないのに、浮気な気分。
秘密、ってドキドキして面白いなー。
ちなみに、残りの7人も、まさか話題になっている当の本人がチャットに参加しているとは、思いもよらないで話してる。面白かったなー。
中野裕弓「100人の村に生まれたあなたへ」読む。
12月24日(火)
リハーサル。ぷっぷくぷー。と、午後2時集合が、起きたら4時前。やばいやばいと5時頃スタジオへのドアを開けると、ふたりは着替えを終え、すでに帰る準備。そーか、今日はクリスマス・イブだった! いつもは終電くらいまでやっているので、今からでもまだ6時間は出来るな、と思ってたのに。ということで、
「じゃ、俺達は帰るから、あとは個人練習ということで」
「お、おお。あいあいさーっ!」
とは言ったものの、いざひとりになって太鼓叩き始めてみると、これが寂しい、寂しい。
本来、リードを奏でる楽器ではないので、誰かの演奏の後ろでリズムを叩いたり、おかずをチャカチャン、と入れるのが楽しい楽器なので、ひとりで、ドンパンドンパン、チャカランランラン! と5分間くらいはそれでも楽しいが、あとはスタジオがシーンと静まりかえって、虚しい。
あまりクリスマス・イブに「ひとり太鼓」で虚しくなるのは、精神衛生上よろしくないな、と思ったので、俺もそそくさと片づけて、西荻のニヒル牛へ。R君、青木さん、カブラギいたので、4人で「はるばる亭」というカウンター居酒屋で、メリークリスマス~。
宗左近「月の海」読む。
12月25日(水)
リハーサル。今日はきちんと鼻たれプーチン。きのうはイブといっても、メンツもメンツだし、あまり「クリスマス」という雰囲気ではなかったので、さすがに今日はR君の「女性クリスマス欲」が爆発して、家でふたりで、寿司、鶏モモ、ケーキ食べて「メリー・クリスマス!」と叫ぶ。もっとも、例の如く終電で帰ってきてからのご飯(パーティ?)なので、時計は12時を過ぎ、実際には26日になっていたが・・・。
原田宗典「旅の短編集 秋冬」読む。
12月26日(木)
六本木にて、来年5ー6月公演の芝居のポスター撮影。
1960年代のGSの話しで、たまも「GSバンド」として出演するが、坊主のGSはいないので、トーゼン俺と知久君はカツラ。で、知久君は10才若返るが、俺は何故かただのおばさんに・・・。なんでじゃー!
奥菜恵さんとかも紹介してもらったが、撮影の為、メイクばっちり、カツラもつけていたので、顔がわかりましぇーん。普段テレビドラマとか見ないので、次に会ってもわからなくって挨拶できなくって「なんて傲慢な感じの悪い人」と思われたらどーしよー。ぶるぶるぶる。
井上順さんは、俺達の世代には、まさに「スター」なのでちょっと緊張。いつテレビをつけても出ていたからなー。今の中居君みたいな感じ?
個人写真の撮影の時、カメラマンに、
「いろんなポーズでお願いします」
と言われたら、無限のバリエーションを繰り出してくるのが「やっぱ、プロだなー」と思った。
ケラさんが足をひきずってるので、
「どうしたのー?」
と聞いたら、
「いやー、歩いている途中で、いきなり足がつっちゃってさー。普通、寝てる時になるもんだよね」
と言うので、
「俺は、歩いている途中で、金縛りになって、歩けなくなったことあるよ」
と言ったら、
「そんな奴、いねーよー!」
と言われた。・・・ここにいます。
安堂夏代「世にもフシギな保育園」読む。
12月27日(金)
リハーサル。それそれそれそれっ!
みんなだんだん疲れがたまってきたのか、それとも老いか、集中力がなくなり、馬鹿になっていく。
電源コードが入ってないのにラジカセのボタンを「なんだこれ、動かねー!」と言ってガシガシ叩くわ、言葉を忘れて「ほら、あれが、あれが・・・」とジダンダ踏むわ、物はガンガン落とすわ、Gさんはピアニカの吹きすぎで、口に力を入れすぎて、頭痛がしてくるわ・・・。
ということで、本当は音資料の録音を3曲せねばならなかったのを、2,5曲で挫折。つまり、1曲は、曲の途中で演奏が滅茶苦茶になり、「ダメだー!」という言葉で終わってる。が、一応「現段階での資料」ということで、ダンスの人達に渡した。すんまへーん、俺達、本物のへっぽこぴーたんほいさっさ、ノーミソにわとりコケコッコーなんですぅぅぅぅっ。
藤堂志津子「窓をあければ」読む。
12月28日(土)
「BUBKA」の取材で、山梨県の下部温泉へ。女子3名と俺ひとり。
「部屋はひと部屋でいいでーす」
と言ったのに、
「部屋、空いてるから大丈夫ですよ」
と言われ、俺だけひとり・・・しかも、誰も夜中にコツコツと俺の部屋をノックし、
「石川さん・・・ちょっといいですか。なんか、寝つけなくて・・・」
と小声で訪ねて来る者もなし。
そんなことじゃ、いかーん! 代々、温泉の「粋」というものは、その「コツコツ」にあるんじゃないか!
今度は、もっと男女の機微、風流がわかるよーに。めそめそ。
大穂耕一郎「駅前旅館に泊まるローカル線の旅」読む。
12月29日(日)
下部温泉から、スタジオに直接入ってリハーサル。まだ昼なので、誰もいないだろーから、みんなが来るまで昼寝でもするかー、と思ったら、すでに先客が。知久君が徹夜で何かスタジオ作業をしていたらしく、眠りこけていたのだ。知久君もがんばるのー。ということで、俺は二階の事務所の長椅子で昼寝。
晩飯は、近所の古ぼけた定食屋に斉藤君と行く。
と、この店が・・・濃い。
テーブル席で俺はカツ丼、斉藤君は野菜炒めを頼むと、しばらくして、おばさんがひとりで料理を作っているもので、カウンターにいた、常連客らしき帽子を被った「乞食紳士」みたいな老人が、小皿や味噌汁を運んでくれる。
それはいいのだが、よく見ると、指が3本しかなく、小刻みに震えている。
そして運んで来る度にテーブルの上の調味料入れを差して、
「こっちがソース、こっちが醤油」
「こっちがソース、こっちが醤油」
「こっちがソース、こっちが醤油」
とオウムのように繰り返す。
もちろん、狂ってる。
さらにこの店の大きな特徴は、
「どんなメニューもソース味」
という点にある。どんな料理を作っても、最後はソースを、
「ドババババババッ! ブチュッブチュッ!!」
と、何かの恨みでもあるかのように、おばさんが汗を垂らして大量投入。
「それまでの味付けは、一体なんだったんじゃー!」
と誰もが絶叫する調理法。
なので、当然出来た料理はすべて真っ黒。
よく、外のメニューサンプルが埃を被っていて真っ黒になっている店を見ることがあるが、
ここはまさにそのサンプルに忠実に作られている、と言っていいだろう。
なので、そんな正直者が大好きな人、及び「真っ黒け料理マニア」の人は、
八王子駅南口徒歩五分、定食屋「太郎」。知っていて、損はないぞ・・・。
村上春樹「レキシントンの幽霊」読む。
12月30日(月)
リハーサルは今日も続くよ、シュッポッポッポッポーッ。
Gさんの新曲(「楽し楽しい時間」)や、俺の蔵出し曲(「誰も起きてこないよ」)などやる。
下川裕治「アジアの弟子」読む。
12月31日(火)
おーみそか。さすがに今日はリハーサルは休み。で大掃除、といきたいところだが、そんな生っちょろい夫婦じゃないので、極道の大谷、健さん、カブラギ等呼んで麻雀大会。くぼさんやとっちゃんも来る。
健さんお節料理持ってきたので、おおっ、我が家なのにちゃんと正月らしい。素晴らしい。
しかし、極道達も皆40をほぼ過ぎ、
「最近、若い者に麻雀で負けてばかりでのう・・・」
「経験もノウハウもこっちの方が上なのに、なんでじゃろうのう・・・」
と大谷が弱気にグチる。
ちなみに、健さん、大谷と言えば、麻雀だけではなく、この界隈でも「精力絶倫ビンビン物語」で売っていたのに、
「昔は、エロ本一冊あれば、1日5,6回でも平気だったのに、最近は週一がせいぜいじゃい・・・」
とふたりで寂しそうに同意しあう。悲しい年の瀬じゃのう・・・。除夜の鐘がゴ~ンと、またひとつ、鳴るわい。
椎名誠「砂の海」読む。
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