テキトー日記02年9月(3)

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 9月26日(木)

 きのうの光景は、夢じゃなかろーかと、またひとりずつ勝手きままに路地裏散歩。
 結局、昔からの旅館街で、古い歓楽街だったようだ。今も「旅館」はいっぱい残っているが、残念ながらある程度以下の「旅館」「宿泊所」「招待所」などと言われるところは、外国人は泊れないことになっている。泊まってみたいのにぃー。味わい深そうな旅館いっぱいあったぞ。ま、でも絶対、得体の知れない首が3つとかの虫が、部屋をズリズリ這いずり回っていそうだけどな。 
 とにかく、昼間見てもやっぱりいい風情。しかしここはどこのガイドブックに紹介されていない。何故ガイドブックとかは、名所・旧跡とかばかり執拗に紹介するのだろーか? その国にとっては由緒があるところでも、よほどその国の歴史に詳しかったり、興味なかったら「関係ないじゃーん」のところが多すぎないか?
 俺は「世界の風情のある路地裏専門ガイドブック」があれば、迷わずそっちを買うぞ。庶民の生活が垣間見られる場所ばかり紹介されているガイドブック。欲しいなー。あ、でもそうしたら、今度はそこに観光客が集まってきて、結局町が変わっちまうか・・・。難しい問題やのー。

 ちなみに「地球の○き方」の地図は、間違いだらけだぞーい。しかし、一方的に出版社をせめるのは酷な話だろう。それだけ、日進月歩で、町がガンガン変貌しているのだ。公園、となっているところは数十階建てのビルになっており、それにともなって、道路やその他の施設も変わっている。
 でも、町中の地図の距離の縮尺が5倍近く違っているのはさすがに問題だろー。地図上では200mぐらいのところが、1km近くあったぞ。だいたい、その縮尺だと、地下鉄の駅間距離が200mずつしかなくて、ちょっとおかしいなー、と思ってたんだよなー。バスだって、もうちょっと間隔開けて止まるからね。
 でも、それもちょっと同情できるのは、中国が国で発行している地図って、軍事上の理由で、縮尺がどれにも書いてないんだよねー。あ、これ「地球の○き方」の編集部に連絡しようかなー。なんか、間違いを指摘すると新しいガイドブック送ってくれる、っちゅう噂だからなー。せこい? 
 ちなみに、前述のとおり、地下鉄路線も書いてあったが、島田さんが乗ろうと探した結果、すでに地下鉄自体がおそらく廃線になり、駅は朽ち果てた廃虚になっていたそうだ。

「新婚」と書いてある、真っ赤なホーローたらいを買う。ほっほっほ。うちは新婚14年目じゃからのー。
 あと、天津甘栗は旨くなかった。みかんが旨かった。♪天津行ったら、みかんを食おうー。

 椎名誠「菜の花物語」読む。

 9月27日(金)

 ホテルを「天津第一飯店」というところに移る。部屋で日本のWOWOWが映ったので、ハッと気づいたら、夫婦で宝塚の舞台や、MAXのビデオクリップに真剣に見入っていた。意味ないじゃーん。

 近くのダイエーで「千と千尋」のVCD(パソコンで見られるDVDみたいなもの)が、2枚組250円くらいで売っていたので、迷わずゲット! パソコンで再生してみたら、動かず思わずノット! 意味ないじゃーん。

 夜、島田さん、山中さんと3人でマッサージへ。3人隣り合わせに寝させられ、と、マッサージ師の動きがまさに共産主義! 毛沢東万歳! どーやら、ひとり先生がいて、あとのふたりは見習いらしく、3人が機械体操のように、北朝鮮の集団演技のように、全く同じ動きをするのだ。まるでロボットライク。
 ピコピコピー・ツギハカタヲオシマス・クイックイッ・ソノツギワコシヲ・オシリノクボミノチョットヨコデス・ピコピコピー。
 山中さんは、笑いをこらえるのに必死だった。意味ないじゃーん。

 マッサージから帰って来ると、R君はもう寝ていた。ダブルベッドだったので、俺もヨイショと横に滑り込む。と、突然R君がガバッと半身を起こし、
「地震だっ!!」
 いや、R君、地震じゃなくて、俺が入った時のベッドのスプリングの跳ね返りだよ。ま、確かに震度5ぐらいはあったかもしれないが・・・。意味ないじゃーん。

 五木寛之「旅の幻燈」読む。

 9月28日(土)

 昼頃、バスで北京に戻る。
 と、今日はガイドブックで見た、泊まりたいホテルがあったのだ。
 市内からは1時間ほど郊外なのだが、謡い文句はこうだ。
「農村式庭園ホテル。広大な敷地に鳥たちが舞っていて、ゆったりと過ごせる」
 今まで北京市内の言わば都心ばかりに泊まっていたので、こういうところに一泊するのも一興じゃないかと思ったのだ。ところが・・・
 指定されたバスを降りて見たが、なんか違う。予想では純農村地帯にホテルがさり気なく建っているものと思ったが、北京市内から1時間、まだまだ田畑など全く見えない。というか、完全なベッドタウンで、マンションが乱立し、高速道路が走ってる。
 ここを「どうしても」と推挙したのは俺なので、「あれー、おっ、おかしいなぁー」とかみんなをなだめつつ、でもホテルを探し当てた。しかしそこには「モーテル」の文字が。嫌な予感。というか、外観からはほとんど廃虚に見える・・・。
 とりあえず、中に入ってみる。と、人はいるので営業はしているようだ。
 しかし俺達がフロントらしきところに行くと、明らかに「何しに来た」というような不審気な目。そして、第一声はこれだった。
「他に、近くにホテルありますよ・・・」
「・・・・。」
 一応部屋を見せてもらうが、しばらく使っていない感じで陰気さ爆発。なおかつ、廊下の電気が壊れていて、まだ夕方だというのに、廊下真っ暗で、洞窟状態。
「おーい、R君どこにいるんだーい」
「だんなー、こっちだよー」
 ってほとんどホテルの中で遭難状態。こんなんで、明日誰かが廊下の片隅で白骨死体で見つかるのは嫌じゃーっ。ぶももももーっ!

 結局市内に舞い戻り「北京台体賓館」という普通のホテルへ。渋滞もあり、天津を出てからホテルが見つかるまで8時間。ふひぇー、疲れたー。
 しかし一体何の根拠でガイドブックはあのホテルを載せたのだろうか? しかも「昔は栄華を誇っていた」というならわかるが、敷地も別に広くなかったし、従業員もまったくやる気ないし・・・わからん。

 晩飯は羊肉鍋をみんなでつつく。トイレに行くと、珍しそうなトイレット・ペーパーが。そーいえばトイレットペーパーコレクターの山中さんは、羊の肉が苦手でちょっと可哀想だったっけ。ということで、ただでさえ出ている腹を、さらにトイレットペーパー方に突き出した明らかに異様な風体の俺は、そっと店を出て、山中さんにそれをプレゼント・フォー・ユーしたのだった。

 渡辺淳一「ヴェジタブル・マン」読む。

 9月29日(日)

 昼、ひとりで郊外の公園に行こうと、そちらの方面のバスに乗る。
 と、俺に向かって、みんなピース・サインを送っている。
 車掌も、乗客の老若男女も、みんなだ。
「ピース!」
「ピース!」
「ピース!」
「ピース!」
 そうか、
「世界の平和は、君にまかせたぞ!!」
 というメッセージか。・・・よおし、しかと受け取ったぞっ!!
 ・・・と思ったら、誰も笑ってない。あれっ? ラブ &ピースじゃないの?
 と、どうやらこのバスは向きをすぐ先で変えて、あと2駅で終着駅だということらしい。ピースじゃなくて、2駅・・・。
 道理で俺が「地球平和の使者」だということが、一目で見抜かれたと思った。おっ、おっとこれは秘密じゃった・・・。なんでもないぞ。わっ、わしは一般市民じゃよ、わはははは。

 ってなことで照れ笑いで誤魔化してすぐに反対側のバスに乗り換え、園明園というところに。ここでゆっくり読書でもしようという魂胆だったのだが、公園が広すぎて全然出口がわからなくなり(ほら、中国はとかく、広い敷地でも出入り口は極端に少ないから)ほとんどの時間は、
「♪ふふふーん」
 と余裕で園内を散歩している振りをして、出口探しでほとんど泣きべそ状態だったのよねー。

 今日が旅行最後の日なので、買い物もする。とある店で煙草2箱買ったら、24元。すぐ隣の店で、ジュースやビールなどの缶物10缶と、煙草3個買ったら、23元。どーなってるんじゃい!! ま、煙草は銘柄によって、かなり価格差があるようだが・・・やっぱりぼられた?

 最後の晩飯は、
「やっぱこれでしょう」
 で憧れの北京ダック。旨い。もうこれ以上食えませーん、というほどパンパンに食ってひとり300円いかない。日本だったら、2、3万かかりまっせー。これだけの為にでも、北京に来る価値はあるわなー。

 夜中、なごり惜しい俺と島田さんは「盲人按摩」を昨日に引き続いて受ける。そして、
「本当に最後だね。じゃっ、おやすみ!」
 とふたりでそれぞれの部屋に戻った。しかし部屋で小銭を勘定していたら、もう少しお金が使える事がわかり、近くでまだ深夜営業をやっている店に行き、箸やらラーメンやら変な餅やら買って出ると、さっき「おやすみ!」を言ったはずの島田さんが、フルーツを手に山盛りに持って、暗い道を歩いてた。
「なんか、小銭があまりそうなんでさ・・・」
 お互い、なんか照れくさかった。

 みうらじゅん「万博少年の逆襲」読む。

 9月30日(月)

 朝の便で成田へ。健さん車で迎えに来てくれていたので、神田まで送ってもらう。そしてもちろん、久しぶりの日本食は、立ち食いの天玉そば! これっきゃ、ないね!

 家に帰ったら、録画しておいたダウンタウンの番組をR君と次々見る。 これっきゃ、ないね!

 さくらももこ「ももこの21世紀絵日記」読む。
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