テキトー日記02年6月

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6月1日(土)

 朝、弁天町の方へみなで移動。昔ながらの食堂に入り、朝食。と、新聞を広げていたGさんが、
「何、これっ!」
 と絶句した。
 そこには、矢川澄子さんの訃報が写真入りで載っていたのだ。

 矢川さんの死は、自殺だった。若い時は、「自殺は卑怯なもの」と俺はずっと思っていたが、ここ数年、考えは少し変わってきた。が、長くなるのでそれはまた今度。
 とにかくお世話になった。アルバム「しょぼたま」はほとんどが長野の黒姫にある矢川さんの家で録音させてもらった。一週間ぐらいの合宿状態で、食事を作ってもらったこともあった。とても快適な録音だった。たまのアルバムの中でも、そのナチュラルさでひときわ特徴のある「しょぼたま」は、矢川さんがいたからこそ、生まれたものだったのかもしれない。たまのパンフレット等に寄稿してくれたこともあった。

 いつまでも少女のような女性だった。オシャレなのに、すましたところはなく、恥じらいを忘れなかった。しかも毅然としたところもある。「あんな風に年を取れたらいいな」と思っていた人も多かったろう。

 パソコンの「上海」というゲームにはまって、「仕事にならないわ~」と言っていた矢川さん。
 部屋に入ってきた虫を、さっと捕まえるのがうまかった矢川さん。
 いつも大きな帽子を被って、たまのライブを見にきてくれた、矢川さん。
 雨の日に、コンビニエンスに買い物に行ったみんなを、何故か傘もささずに待っていた矢川さん。

          馬鹿だなぁ。

 でもきっと大丈夫。矢川さんなら。あっちの世界でもきっと自分を見つけて、楽しく暮らしているに違いない。

 ご冥福をお祈りします。

 弁天町をひとりでしばらく散歩した後、心斎橋のタワーレコードでしょぼたまのインストアライブ。ステージが上りエスカレーターのすぐ脇にあって、そこから登場したのだが、控室は上の階。ということで、その時だけエスカレーターを下りに逆走させて御登場、というプチVIPな扱い。かっこいいのか悪いのかわからん登場のしかただな。
 ちなみに俺の母親は皇后さんと同級生なのだが、クラス会の時、友人と一緒にエレベーターに乗るのだが、警備の者は、エレベーターに乗る時、見送りをした後、皇后さんが降りる時は、すでにその出口で警備上待機していなければならない。でも、普通に隣りのエレベーターで追っても、当然見送った後なので間に合わない。ということで、なんと事前にそのビルの両方のエレベーターのスピードを操作して、ちゃんと警備が出来るようにしているという。皇室っていうのも、大変だなー。

 後、俺はまたみんなと別れ、韓国街の鶴橋を散歩。コリアンパワーに圧倒される。焼き肉、キムチの匂いが充満。コリアンドレス(チマチョゴリのウェディング用のやつ?)もカラフルだ。古い看板等も多く、嬉しくなって写真を撮る。新幹線で帰宅。

 河野多恵子「赤い唇黒い髪」読む。

6月2日(日)

 本当はパスカルズの野外ライブがあったが、事前にマツさんに「その前4連チャンで地方ライブだから、疲労で行けないかも。あんまり疲れた様子で演奏の姿を見せるのも、キャラ的にも自分的にも嫌なので、出演は一応保留扱いにしておいて下さい」とメールは打っておいたのだが、案の定、旅の疲れで38度以上の熱で寝込む。これがもちろん「たま」なら、行かないとバンドそのものが成り立たないので這ってでも行くが、そこは大人数バンドのパスカルズ。ひとりぐらいいなくても「あれっ!? そういえば今日○○君って、いた?」ってな会話も日常茶飯事で、なおかつ全員揃うことの方が珍しい特殊なバンドなので、悪いが、休ませてもらうことにした。しかし本当に俺って虚弱だよなー。最近はちょっと仕事が立て込むと、必ず何らかのトラブルが起きちまうんだよなー。ヨワヨワ浩ちゃんでしたー。

 しかし、ホームページの更新だけは、ツアーで3日も出来なかったので、血反吐を吐きながらやったぜ。パソコンの前まで「ウ~ウ~」と弱々しく呻きながら行ってな。馬鹿馬鹿浩ちゃんでしたー。

 小林聡美「案じるより団子汁」読む。

6月3日(月)

 今日からキュウゾウ生活本格的に始まる。キュウゾウとは、俺が今年出た映画「害虫」の配役で、よーするに、浮浪者君。先月の日記にも書いたが、急に6,7月の大きな仕事が直前キャンセルになってしまったので、スケジュールはほとんど真っ白。仕事なーし! 「バンザーイ」と素直に言ったら馬鹿だが。ま、キュウゾウも浮浪者といっても、一応自作のトタン屋根の小屋に住んでいたし、やたら拾い物を蒐集するところなんかも、B級コレクターの俺とヒジョーに似ている。ということで、真の自由人、キュウゾウ生活をしばらく満喫するぞ~い!

 吉本ばなな「ハチ公の最後の恋人」読む。

6月4日(火)

 と、キュウゾウ生活を宣言したのもつかの間、今日は事務所に事務仕事しに行く。一応俺も会社の取締役! と言っても背広は持ってないけどな。

 長部日出雄「津軽世去れ節」読む。

6月5日(水)

 R君はニヒル牛にお仕事なので、主夫生活。どーして俺が洗濯すると、干し終わった途端、雨がポツリポツリやってくるんだ! しかもぜいぜいあわてて部屋に干し直した途端、今度はカラッと晴れやがって。また物干し台に逆戻りじゃーい。

 夜、R君と布団の中で「3色パン」は、チョコ、ジャム、クリーム、ピーナツ、白あん、粒あん、ウグイスあん、黒あん等、どの組み合わせがベストか、ということを真剣に討議する。

 星新一「どんぐり民話館」読む。

6月6日(木)

 BUBUKA原稿書き。後、急にガーディニングというほどではないが、テラスに植木鉢の花が欲しくなり、園芸店へ。綺麗な花が多くて、何にしよ~かな~とさんざ迷って、結局買ったのはおじぎ草。ん? よく考えたら花じゃないじゃん! 草じゃん! って、あとから気づいた。が、やっぱり初心者はおじぎをさせて「遊べる」おじぎ草からだよね! しばらく人にはペコペコされたことないからな。せめて草のやつに・・・ハハハ、ペコペコしやがるぜ。ま、ペコペコというより、しょぼんとしぼんでいくだけだけどな。

 夕方、島田家に行き、ニヒル牛のイベントの相談などする。もう風邪はとっくに直ったが、鼻水だけはまだ出る。でも不思議だよな~。鼻水って、出る時はいくらでも出るよねー。でも体の中にあったっていうことは、食べた物や飲んだ物が、その時だけ「今の時期は、これを鼻水製造にまわそうっと!」って、脳が考えるんだよね。ナンデダ? っていうことは、他の部分に行く栄養が鼻水にまわされるというわけか。ナンデダ? 風邪をひいてるんだから、いつもより余分に栄養にまわさなきゃ、駄目じゃないか! 鼻水なんかせっせと作っている場合じゃないだろ! 馬鹿だな! 脳ってやつも。・・・それとも、もしかして誰もやってないけど、鼻水には風邪を治す成分が沢山入ってたりして。それが解明したら、ノーベル賞ものだな。誰かいってくれや。洗面器いっぱいに青い鼻水貯めて、ズルズルゴクゴクッと。・・・って自分で書いててウゲゲと気持ち悪くなってきたよー。

 今月の「日経エンタテインメント」という雑誌に、元メジャーで、今はインディーズになっている人達の特集があった。
 日本では、俺達「たま」も入っていたが、他に谷村新司、eastern youth、SADS、KAN、大江千里、白井貴子、篠原涼子、中山美穂、広末涼子、PENICILLIN、スターダスト・レビュー、レピッシュなどなど。
 海外はもっと凄い。マライア・キャリー、プリンス、ロッド・スチュワート、ヴァン・ヘイレン、シーナ・イーストン、シンディ・ローパー、デヴィッド・ボウイなど。
 結構、大物と思っていた人達も、インディーズなんだな~。

 大槻ケンヂ「オーケンののほほんと熱い国へ行く」読む。

6月7日(金)

 パスカルズのレコーディング、吉祥寺のGOKにて。2曲録る。
 途中、空き時間があったので、近所の100円ショップで腕時計買う。ちょうど数日前に時計が壊れてしまい、急場しのぎで欲しかったのだ。
 と、スタジオに戻ってふとサラさんの腕を見ると、俺と同じ時計の、柄違いをしている。サラさんは割とお嬢様というか、お姫様気質の女性なので、
「その時計、どうしたの?」
 と聞くと、
「あっ、アメリカで買ったの。でもすんごい安いやつなの。50ドルくらいだった・・・」
 とちょっと恥ずかしそうに言うので、いじわるな俺はニヤニヤしながら言ってやった。
「それ、100円だよ。今のドル換算なら、1ドルで釣りが来るよ」
「ひぇ~」
 サラさんはお姫様らしく、ゆっくりとのけぞっていった。

 ちなみにサラさんが「フラワーズ」という雑誌で連載しているパスカルズツアーのドキュメント風漫画の、来月号は、俺がもっぱら主役だという。でも、ネタ的には俺がちょっとレンヌという町で道に迷っただけのエピソードで、そんなたいしたハプニングではないと思うのだけど、それで5ページも!? 一体、どんな風にデフォルメされとるんじゃーい。怖い、怖いぞ。

 相田智子「父の定年退職」読む。

6月8日(土)

 本日から、毎日通勤に使っている西武新宿線を全駅下車して、町の写真を撮ることを決意。前にも書いたと思うけど、最近カメラがやたら楽しくって、デジタルカメラだからお金も電池代ぐらいしかかからないで、いい散歩にもなって、一石二鳥だと思ったのだ。しかも実はデジタルカメラに写真を保存する「スマートメディア」というのを昨日買ったのだ。
 今まではその撮れる容量が8MBだったが、7~80枚しか撮れないのでちょっといい気になってバシャバシャ撮っているといっぱいになってしまって、ま、いっぱいになってもいらないのをその場で消せばいいんだけど、ショーショー面倒くさかった。しかるに今回64MBというのを買った。計算上は500枚以上撮れることになる。
 実は、つい2年前ぐらいは、スマートメディアは3万ぐらいしたので我慢してたんだけど、最近、3千円ぐらいに0一個分安くなっているという情報を聞き、「なに~!」と馬のようにフガーと鼻息荒くして、パカパカ駈けて店に突進したのだ。

 しかし、町の変化って本当に早いから、ちょっと前まであった、いい感じの寂れた喫茶店が、次に行くと跡形もなく駐車場になっていたりして「あー、せめて写真で残しておけば良かったのにな~」と思うこともしばしばだからな。がんばるぞ~い。

 で、本日は「本川越」。田舎から徐々に都会に向かうのだー。ちょうど土曜日ということもあって、ワールドカップのサポーターらしき外人観光客で結構にぎわっていた。
 しかし俺が撮るのは観光物件ではなく、もっぱら古ぼけた商店とか、変な貼り紙とか。なんか「観光地ですよ!」と激しく主張しているものは、俺の中ではしらけるからなー。もっとも、それも度が過ぎれば笑いのネタになるので、逆に写真に収めるけどな。

 晩ご飯はR君の「ニラ玉定食」。実は2,3日前に、偶然つけていたテレビの、みのもんたの番組で、ニラ玉がとても健康に良いことを知ったのだ。でもそこでズザーッとスーパーにスライディングして、
「ニラと、た、玉子下さいっ!!」
 なんて言おうものなら、
(ふふふ、また「みのもんた族」が来たわ~)
 と思われるのは必至で、そりゃまた、R君にとっても、とおってもはっずかすぅぃ~ので、2,3日、間をおいてみたらしいのだ。
 しかし、結局は「もんた族」であることに変わりはない。う~む、あのオッサンにやられてしまうとは・・・。何故かちょびっとくやしい。

 正村公宏「ダウン症の子をもって」読む。

6月9日(日)

 今日は西武線「南大塚」「新狭山」へ。さて、ここからが試練だ。写真は基本的にホームページにアップしようと思っているので、どの町でも10点ぐらいは自分が面白いとか、きれいだなとか思った写真を撮らねばならない。しかるに、この西武新宿線は、昨日の川越を除いては、ほとんどが単なる、何の変哲もない住宅地なのだ。ということで、ただ漠然としていては、何も見つからないこともあると思われる。なので上を向いて下を向いて、もしくは視点を変えて、なんとか撮っていきたいと思う。ま、これもひとつの「遊びの試練」だな。そのうち写真はアップするので、感想があった人は是非、掲示板に書いてねー。よろしくー。

 夜。実は明日、CMの歌録りがあるのだが、その資料が速達で送ったので本日の昼に届くはずだったのに、届かなかった。もしもその資料を聞いてキー(音程)とかで直すところがあったら、楽譜を全部書き換えねばならないので、今日中に連絡が取れなくてはならない。しかるに資料は手元になし。
 プロデューサーもあせって、
「バイク便出しましょうか!」
 と言っている。が、俺の住んでいるのは埼玉なので、金もかかるし、一番早いといっても、そこそこ時間もかかるだろう。
 そこで、
「そうだ、今こそインターネットだ!」
 ということになり、まずは音声ファイルにリンクしたメールを送ってもらう。
 そして、その音をパソコンで流しながら、録音ソフトを立ち上げ、重ねて歌ってみる。さらにそれを音声ファイルにして、自分のホームページに流し込み、それを聞いてもらう。で、万事うまくいった。
 その間、約30分。もしも郵便でやりとりしていたら、3日はかかるところだった。これぞインターネット活用術也! 我ながら「俺って、時代の最先端の仕事師!?」と思ったものだ、ふふふん。

 島田雅彦・佐藤治彦「アジア自由旅行」読む。

6月10日(月)

 日産「プリメーラ」という車のラジオCMを歌う。先月は塩のCMも歌ったし、すっかりソロ・シンガー!?
 ま、元々「たま」でも全員ボーカルを取るのだけど、どーしても一般イメージでは「たま」のボーカルは知久君、という感じになってるからな。ちょいと嬉しかった。

 マネージャーと新宿で飯でも食おうとうろうろしていると、友人の女優が、
「オスッ!」
 と声をかけてきた。
「今、寿司屋でバイトしてきたんだよっ。ほらっ、お稲荷さんの匂い!」
 と俺の鼻に自分の手を持ってくる。
「で、これからもうひとつバイトがあって、今、その途中なんだよ!」
 と元気に言う。

 でも彼女は、昨年は海外でも日本代表で呼ばれた、知る人ぞ知る名女優。確かにポピュラリティはあまりないかもしれないが、映画でも主演をはり、海外でいくつも賞を取っている実力派だ。その彼女がバイトを掛け持ちしなければならない現実・・・

 おいっ、文化庁! これだから日本は駄目なんだよ。立派なホールとか、ハードにばかり金をかけて、でも肝心の中身である俳優やミュージシャンなどソフトにはちっとも金を出さない。そういうのを田舎者、っていうんだよっ! 商業的に売れている物だけが、芸術だと思っている。でも本当に後世に残るような物は、そういう物じゃないんだよっ! ちょいと歴史を紐解いて見ればわかることだろう。この馬鹿者めが!!
 ・・・と俺が怒ってみたりしても、なーんも変わらないんだろーな。やーれんそーらんそーらん、はいはい。

夕方からはGさん、マネージャーと八王子で打ち合わせ。

 吉村昭「わたしの流儀」読む。

6月11日(火)

 「狭山市」「入曽」カメラ散歩。どちらも商店街を一歩外れると・・・田舎。のんびり~。ほややや~ん。住むのはちょっとあれだけど、散歩にはいい町だな。特に狭山市は、まだ「昭和」という感じのちょいとレトロ感。

 テラスに猫の餌を置いて、のら猫が来るのを毎日待ちこがれているのだが、全然食べられた形跡なし。やっぱ100円ショップの餌じゃ駄目か~。最近の猫はぜーたくだからなー。ニャオンの恐怖!

 ギョーム・アポリネール「一万一千の鞭」読む。

6月12日(水)

 「新所沢」カメラ散歩。小雨の中、町を外れると、茶畑が広がっていた。

 消しゴム版画家のナンシー関さん死去。先週は俳優の伊藤俊人さんが亡くなった。どちらもほぼ俺と同年輩であり、さっきまで普通だったのに「ちょっと気分が・・・」と言ったきりの突然死。ナンシー関さんの本はほとんど読んでるし、伊藤俊人さんが出ていた「ショムニ」はドラマ嫌いの俺が唯一見ていたドラマだ。どちらも、知人の友人であり、なおかつポピュラリティのある個性派だった。他人事とは思えず、矢川さんとは別の意味でショックを受ける。

 赤塚不二夫「赤塚だァ! 菊千代だァ!」読む。

6月13日(木)

 「航空公園」カメラ散歩。新興高層団地。墓と並べて撮ってみる。団地にいた女の子を必死に親に見つからないように撮ろうとするが、不審者と間違われそうで(ま、実際不審ではあるが・・・)ビビッて、結局ピンぼけ。やっぱ、小心者の俺には、人の撮影は駄目だわー。

 赤瀬川原平「仙人の桜 俗人の桜」読む。

6月14日(金)

 「東村山」カメラ散歩。う~ん、都内には入ったが・・・志村けん。ジュースの自販機に持っていないジュースがあったので、120円入れるが、出てこない。
 「ん?」
 と思ってみると、100円玉が詰まっている。
 「くそーっ」
 と思い、1円玉を差し込んでみる。が、微動だにせず。もう一枚。もう一枚。もう一枚。
 結局124円東村山市に寄付。・・・世界の平和の為に使えよ!

 「川端康成 三島由紀夫 往復書簡」読む。
 そういえば、このふたりも自殺だったなー。なんで作家は自殺が多いんだろう。左脳を使い過ぎると「自殺スイッチ」が押されてしまうのか? 何も関係ないとは、到底思えないなー。

6月15日(土)

 「久米川」カメラ散歩。どこの公園にもピンクの象さんいる。町の決まりだよ。
 ところで、このホームページの写真をアップしているサーバ(本体のホームページの方のサーバはあまり入れられる容量メモリが少ないので、別の大容量のサーバに、写真コーナーだけリンクしてアップしているのだ)が、数日前から「メンテナンスの為、只今更新等を停止しています」になっている。普通はメンテナンスとか1日ぐらいで終わることもあるが、もう3日も経っているので、メールで「いつ頃復活の予定でしょうか」とか質問してみたが、返事なし。最悪、サーバの営業停止という事態も考えられる。
 そもそもこの「西武新宿線カメラ散歩」も、ホームページにアップすることをひとつの目的として撮っているので、そうなったらとても悲しい・・・。ただちょっとメンテナンスが長引いているだけでありますよーに。

 俵万智「チョコレート革命」読む。
 恋のうたもいいけど、俺が気に入ったのは、次の句。

 「にんげんの役には立たぬ湿原」にとって役には立たぬにんげん (釧路湿原にて)

6月16日(日)

 小平でカメラ散歩。小平霊園の町なので、墓地の中をうろうろと2時間くらいもさまよう。最近出来た墓は、妙に「愛」とか「夢」とか、また、くっさ~いセリフが書かれているものも多く、墓ウオッチャーとしては、面白かった。
 後、西荻のニヒル牛へ。秋に、とあるライブハウスでやる「ニヒル牛ナイト」の打ち合わせ。今まで店内で「似顔絵描き」やら「喋り屋」やら「陶芸教室」やら、「世界一周旅行お話会」やら「生音ライブ」やらやったことはあるが、遂に店を飛び出しライブハウス界に殴り込みするよ~ん! 素人アートの逆襲だいっ!
 どうなることか、詳細はしばらくお待ちあれ。もちろん司会進行は俺だよ~ん。

 帰りの電車の中で、R君がやけにそわそわしている。
「何?」
 と聞くと、
「あそこの網棚の上に、今日発売の『ビッグコミック・スピリッツ』が!」
 の声。
 それから、各駅ごとに、下車する客がそれを盗っていかないか、女豹のごとく、するどくチェック。
 そして、結局俺達の降りる駅まで、それはそこにあった。そしてその時の妻の網棚から盗み取る素早さといったら!
 ・・・さすがに、俺の妻はかっこいいなぁ! ヒューヒュー!!

 糸井重里「豆炭とパソコン」読む。80才の母にパソコンを使わせるユーモア・ドキュメント。

6月17日(月)

 花小金井にカメラ散歩。駅前の西友の屋上にミニ遊園地があって、あら懐かしや。商店街や住宅街を数時間うろうろしているうちに、結局きのうの小平まで戻ってしまった。毎日よく歩いてるな~。

 ホーキング青山「笑え! 五体不満足」読む。
 まさに俺が普段思っていることが書かれており、ブラックだけど、爽快。やっぱり当事者じゃないと、言えないことってのもあるもんなー。必読。

6月18日(火)

 事務所へ。「新潮45」の取材。竹中労さんについて。思えば、もう没後10年も経つんだなー。
 今でも、時々年輩の、元・運動家みたいな人に会うと、必ずと言っていいほど竹中さんの名前が出てくる。硬派ジャーナリストで、言いたいことは相手が誰であろうと言う。気鋭の論客だったからな。ビートルズ、美空ひばり、沖縄音楽と語ってきて、最期が「たまの本」だったからな。それだけ評価してもらえた事は単純に嬉しいが、なんせもう余命がわかっている時点での、ハードスケジュールな取材や対談だったからなぁ。もう少し時間があればゆっくり話すことも出来たと思うのだが・・・残念。

 ワールドカップ、日本トルコに負けて、日本中に「アア~」のため息。が正直、予選通過もしないと思っていたので、健闘したのでは。って、俺は本当は全く興味がないんだが、さすがにみんなテレビに釘付けになっているので、嫌でも耳に入ってしまうのだ~。でも本当は日本人は、PAのオマちゃんに顔がそっくりの中田しか知らない。あと、ベッカムって何? 食べ物?

 グループ2001「コンビニは火曜の朝変わる」読む。

6月19日(水)

 最近、昼間はカメラ散歩に出ているものの、遠くには行かないので、基本的には家にいる時間が長い。なのでR君が、優しさなのか鬱陶しいのか、もちろん前者であることは間違いないと思うが、
「気分転換にどっか旅行でもしてきたらー」
 と言うので、それもいいな、と思ったが、例えば大阪あたりでも、新幹線を使えば往復で3万円弱かかってしまう。そこでインターネットで検索したところ、台湾なら2万2千円程度で行けることが判明。急遽次の日曜から4,5日台湾にカメラ散歩に行くことにした。
 本当は韓国でも同じくらいの料金だったのだが、韓国は現時点で、ワールドカップを勝ち抜いている。ということは、国中がフーリガンで溢れかえっている、ということだ。
 楽しく、
「ランラララ~ン」
 とか鼻歌まじりで町を歩いていて、負けたチームのフーリガンに韓国人と日本人の区別なんかつかないだろうから、ボコボコにされる可能性は、ほぼ、100%だ。腹を蹴られ、内臓が飛び出し、顔を蹴られて目玉がビヨヨヨヨ~ンと飛び出す。これじゃ帰りのパスポートチェックの時に、
「目玉がビヨヨヨヨ~ンと飛び出ていて、パスポートと顔が全然違うので、連行します」
 とか言われて、シベリアに強制労働は必至。
「あぁ、あの時、台湾にしておけば・・・」
 と嘆くことは目に見えてるので、頭のいい俺は、台湾にしたのだ。フォッフォッフォッ。

 さて、しかしここで問題がある。
 出発まですぐなので、旅行会社にチケット代を急いで振り込まなければならない。
 しかし・・・もちろんひとり暮らしの時は銀行のキャッシュカード等使っていたが、結婚してからは、そういう仕事はすべて妻にまかせっきりで、銀行のカードさえ持たされていない。しかるに、すぐに銀行の機械で振り込みをしなければならないのだが、妻は仕事に出かけるので、俺が自力でやらねばならない。
 むむっ、言うなれば「はじめてのお使い」ならぬ40才にして「はじめての現金振り込み」だ。
 果たして、そんなことが俺の力で出来るものなのか? もしも途中で力尽きて倒れてしまったら・・・
 とにかく俺は、R君に教えてもらった駅前のキャッシュディスペンサーの前にたどり着いた。しかし!!
 その振り込み先の銀行のキャッシュディスペンサーがどこにも見あたらない!
 第一の危機せまるっ!!
 そーだ、もしかしたら、駅の向こう口かもしれないと、自転車をシャコシャコシャコーッと走らせて向こう口へ。なんせ、「午前中に振り込んでくれ」と言われたので、もう11時過ぎなのであまり時間がないのだっ!!
ところが向こう口にもデイスペンサーはない。
「うわあぁぁぁぁ!! もうお手上げじゃいっ!!」
 とR君の携帯に電話で「緊急SOS」を発信することに。生死にかかわる事態だからな、仕方ないな。
「あっ、R君、よく聞いてくれ。デ、ディスペンサーがな、ないっ!!」
 するとR君は、
「えっ? 外のディスペンサーじゃなくて銀行の中にあるディスペンサーだよ。駅前の銀行だよ。」
 と言うではないか。
「なんと!! 銀行の中に隠れておったか!! むむぅ、それは面妖な!!」
 俺はまた自転車をシャコシャコシャコーッと走らせて元の口に戻る。
 すると、その銀行は、駅前にズドーンと建っているではないか。
 むむむ・・・富士山に登り始めると、富士山が視界からかえって消えてしまう、というあの戦法だな・・・
 敵もなかなかやりよるわい。
 そう言いながらも、中に。おっ、ディスペンサーが。これだな。
「ボタンを押して下さい」
 ううっ!! 誰もいないのに、俺が前に立っただけでそんな声が機械からっ!! むむっ、敵め。どこで見張っておるのじゃ・・・怖ろしや。
 そして機械の言うとおりにボタンを押したりしていたら、ふむ、なかなかスムーズに行くではないか。俺もやるもんだな、ムハハハハハッ。と思ったのも束の間、奴はとんでもない事を言いだした。
「それでは振り込み金額と、手数料105円の合計を、投入して下さい」
 ま、待った~!! その手数料、っていうのは何じゃい。何も考えずに、そのまま入れてしまいそうになったが、俺は別の銀行に振り込もう、ってんじゃない。同じ銀行なのに、なんじゃいっ! そのぐらい自分の銀行のことなんだから、自分で払わんかい!!
 じゃ何か!? 俺達のCDをライブハウスで売る時、事務所から運んだからって、手数料105円いただきます、が通るんかいっ!! 通らんじゃろう。他の銀行に振り込むなら、まだ道理も通るかもしれないが、自分とこの銀行に移し替えるだけじゃろ。そっ、それは通らんっ!!
 直ちに「許せん」とか「やだ」とか「手数料拒否」とか「イヤイヤ駄目よそんなの」とかのボタンを押そうと思ったが、なんと画面にはそのボタンがない。つまりは、
「おめーらは、俺達の言うとおりに素直に金払えばいーんだよ。ああんっ!?」
 ってな、ヤクザまがいの商売かい。銀行員もスーツなんてきて、一見、普通のサラリーマンに見えるが、要はインテリヤクザかい。くっ、くそう。105円あれば、105円あればな・・・俺が子供の頃だったら、「ホームランバー」が1本5円だったから、それが21本も買えるんだよっ!! 21本のホームランバー・・・食いきれねーんだよっ!! 食いきれねーほどの金額を「手数料」なんて言葉で置き換えて搾取しやがって!!
 今回は時間がないので、一旦折れてやるが、今度は、今度はなぁ、ただじゃおかないぞ!! どお、ただじゃおかないかっていうとだなぁ。うーうーうーうーん・・・。うっ、うんこだっ!! 現金の代わりにうんこ振り込むからな。昔は汚穢屋っていって、農家の人が肥料として使う為に、うんこ買いとってくれただよ。だで、その「手数料」分はうんこで払うからな。うんこをキャッシュディスペンサーに流し込むからなっ!! かっ、覚悟しとけよ!!

 夕方から、たまのスタジオにて、パスカルズのレコーディング。
 俺はコーラスを入れたのだが、メインは知久君とあかねちゃんのツインボーカルの曲。つまり男と女がユニゾンで歌うのだが、音程が割と高い曲なのに、男が裏声でもなく同じ音で歌う、って気色悪いもんがありますなー。なんか「もののけ姫」歌ってた人に通じる何とも言えない感じ、ってえのかな。
 確かに知久君は、地声でかなりな高音が出るのが売りだが、それが女性ボーカルと重なることで、かえって強調されて不思議な世界。
 でも、こういうのって、最初はちょっと「ゲゲッ」と思っても、慣れると癖になって、何度も聞きたくなっちゃうんだよね。ってことで、もうすぐ出るパスカルズのニューアルバム、お楽しみにー。

 椎名誠「ハリセンボンの逆襲」読む。

6月20日(木)

 雨。R君も休みなので、ふたりでずっと、布団の中からしばらく雨を見ている。
 雨をゆっくり見るなんて、随分久しぶりだ。雨粒って、結構風情があるもんだなー。

 さて、寝室からはテラスが見えるのだけど、この間買ったおじぎ草がなんと枯れてしまった。普通、おじぎ草って枯れるか? 雑草みたいなもんじゃないのか? そもそも誰かにもらった鉢植えを、何の手入れもしてなくてホーチしてたら、意外にも綺麗な花を咲かせたので、柄にもなく、
「おやっ!? ガーディニングってえのも悪くないじゃないかえ」
 ということで、とりあえず手間があまりかかりそうもないおじぎ草を買ってきて、今度は自分で買ったものだから、ちゃんと毎日霧吹きで水もやったりしていたのに・・・うーむ、やっぱり俺達夫婦に、ガーディニングは無理か・・・。
 しかも猫の餌も、猫が遊びに来るように置いたのに、それまで時々通りかかっていた猫まで、餌を置いた途端、パッタリ現れなくなってしもーた。だもんで、乾燥餌が、深皿の中で雨に濡れてグチャグチャになっとる・・・。むー、どーもいろいろと思惑通りにはいかんなー。

 しかし悪いことばかりではなかった。ホームページで画像をアップしていたサーバが、やっと1週間ぶりぐらいに復旧したのだ。ある日突如「メンテナンスの為、ページ更新等出来ません」と表示されたまま、サーバが固まってしまい、「メンテナンスはいつ頃までかかるのでしょうか」等メールを何回か送っても、なんの音沙汰もなかったので、サーバ閉鎖かと思って、ちょっと憂鬱だったのだ。なんせ、一回他のサーバでもそういうことがあって、プログラムを移すのに相当時間がかかった経験があるので、今回も駄目かと、悲観していたところ、復旧していることがわかり、ひそかに大喜び。
 今ちょうど「カメラ散歩」というのをしているので、俺としては、日記→写真→日記→写真という風に立体的に更新していきたかったのだが、写真がアップ出来ないので、順番がうまくいかなくなってしまったのだ。
 ということで、しばらく写真アップの日々。この日も夜中まで作業。ガンセーヒローになっちゃうよー。それにしても最近、パソコンのせいもあるかも知れないが、目が悪くなってきた。いわゆる老眼、っていうやつだな。近くの物が見えない。何でもある程度以上離さないとぼやけてしまうのだ。昔っから遠視気味だったからなー。そして、遠くも昔ほどは見えなくなってきた。ふーっ。
 ちなみに、趣味や好物が結構違う「たま」の唯一の共通点は「目がいい」ことだったのだ。3人だけじゃなく、柳ちゃんもそうだった。日本人の半分以上が近眼と言われている現状の中で、結構珍しい共通項だったのでは。でも、それも老眼によって終焉を迎える・・・か。ヨボヨボ。

「黒田三郎詩集」読む。

『道はどこへでも通じている(中略)それなのに、いつも道は僕の部屋から僕の部屋に通じているだけなのである 群衆の中を歩きつかれて 少年は帰ってくる』


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