石ヤンのテキトー日記01年3月(2)

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3月31日(土)

 撮影が、雨の為中止に。スタッフには悪いが、捻挫の俺には一日でも伸びてくれるのはありがたい。午後には、なんと雪になった。しかも巨大な天のフケのような、大きな固まりがバッサバッサと落ちてきて「明日から4月だっ、ちゅーねん!!」と何故か関西便になる。すごろく旅行原稿書き。

 廣田緑「バリ島遊学記」読む。この人のように、バリにはまって住み込んでしまう人が多いの、分かるなー。なんともいえぬ、「真の楽園」っぽいところあるもんなー。もちろん風景だけじゃなくて人もそうなのだが、人は観光客が増えれば増えるほど、楽園から離れていってしまうのは、気のせいではないだろう。
 バリに限らず、どこでも言えることだが、素朴な物が「金」によって駆逐されていく。悲しいほどはっきりとした形で。しょうがないと分っていても、観光地なんて、くそくらえだ、と思ってしまう。わずかな「便利」の為に本当に貴重だったものが失われていく事が、「金」によって理解不能になっちまうんだよなぁ・・・。ま、でも逆にその中途半端な状態が面白いとも、言えるんだけどな。ま、難しい問題だニャーッ。

3月30日(金)

 捻挫は、昨日よりは大分ましになっている。なんとか自転車に乗って通いつけの整体へ。そこでも処置が出来るとのことで、ちょっと安心。発熱も引いた。

 中島らも「西方冗土」読む。大阪の「靴磨き喫茶」のようなアイデア一発勝負! みたいな店の紹介が面白い。

3月29日(木)

 朝起きたら、右足が全く動かない。ウギャーと思って、芋虫のように這って階段を降りて、R君にタクシーを呼んでもらい、ふた駅先の整形外科へ。レントゲンを撮ってもらうが、幸い骨には異常なし。「靱帯損傷」つまり捻挫のひどいやつで、腫れが引くのに1週間、完治6週間と言われる。「なるべく足を使わないように」と言われる。ビッコを引きながら100mを5分かけて歩いて、電車に乗って帰る。
 怪我の為だと思われる発熱もあり、とても動ける状態ではない。本日飛び入りで出演予定だった、マンダラ2での三上寛vsJONのライブに出演不能の電話を入れて、詫びる。もしも俺を見に来てくれたお客さんいたら、すまねぇー。

 布団にもぐりながら、江戸川乱歩「虫」読む。

3月28日(水)

 映画撮影。メイクさんに、伸びたヒゲを前回の撮影の時撮った写真を見て、微妙に切り揃える。1週間近く経っているので、さらに浮浪者度が増してしまったからな。でも映画は順番通りに撮っているわけじゃないので、画面の中でヒゲが伸びたり縮んだりしたら、それはただの浮浪者じゃなくて、一種の妖怪になって、違う話になってしまうからな。
 主役の宮崎あおいちゃんは、さすがにカンヌまで行って賞を取っているだけあって、頭の良さそうな感じ。さり気なくまわりに常に気を使っているのがよくわかる。
 さて今日は、割とハイライトシーン的な場面。だけどもちろん内容はナイショ。俺は「たくさん投げたぜ~」とだけ言っておこう。

 待ち時間の時、付き添いで来ていたマニが携帯電話をなくした、と言ったので暗がりで探していると側溝に足をひっかけて捻挫してしまった。ううう、馬鹿だ・・・。撮影は問題なく終了。
 撮影兼控え室に使わせていただいた家で、そこのお婆さんに「あら、あんた知ってるわ!」と言われた。知っててくれてちょっと嬉しい。

 有吉佐和子「女二人のニューギニア」読む。何の気なしにニューギニアの奥地に行ってしまった話しで、あまりの場所に、手にヒルがいっぱいくっついているのに、普段だったら「ギャァァァ!!」じゃ済まないところを、他が凄すぎて、ただ淡々と手からペリペリ剥がしていく様子が、すごいところに行ってしまった感じがよくあらわれていた。

3月27日(火)

 映画撮影の予定がスケジュール変更の為、延期に。R君も休みだったので、一緒に整体行って(バンドだけじゃなく、ここでも老夫婦か!? ・・・もしや俺が「老人体質」なのかっ!?)漫画喫茶行って、あとは録っておいた「電波少年」とか「ダウンタウンのガキの使いやあらへんで」とか見て、心静かに過ごす。
「おぉおぉ、バアサンや、お茶を入れておくれでないか」
「・・・自分で入れな!!」
「はい・・・」

 本多勝一「戦場の村」読む。ベトナム戦争の実録記。とにかく「戦争は痛い」これだけは確かだな。俺は痛いところからは、とりあえず逃げるぞ。スタコラサッサ~。

3月26日(月)

 島田家にて、ニヒル牛の打ち合わせ。夜、黒澤明の「どん底」見る。酔っぱらっての、どん底人達のチャンチキセッションが音楽的に面白かった。

 寺山修司「両手いっぱいの言葉」読む。さすがに良いアフォリズムが多い。
『泥の中から出て来ながら、蓮は美しい花を咲かせる。だが、その蓮の花の鮮やかな赤色を、反逆者の血しぶきと見るか、生身の喩えと見るか、エロチシズムの煩悩と見るかは、私たちの自由というものでなければならない』
『美というものは、本来、何かを欠いたものです。完全な合理主義からは、美はおろかドラマも生まれてはきません』
『すべてのインテリは、東芝扇風機のプロペラのようだ。まわっているけど、前進しない』
『どんな鳥だって
 想像力より高く飛ぶことは
 できないだろう』
『作り直しのきかない過去なんて、どこにもないんだよ』
『青年というのは多かれ少なかれ様式を求める。様式が手に入ったと思った時から、青年じゃなくなるだろう』
『ホントよりも、ウソの方が人間的真実である、というのが私の人生論である。なぜなら、ホントは人間なしでも存在するが、ウソは人間なしでは、決して存在しないからである』
 寺山修司、もう少し長生きしてたら、会えたかもしれないなー。最も、尊敬している人に会うのって、結構、どー話していいのかわからなくなっちゃうのが本当だけど。

3月25日(日)

 マンダラ2にて「たまの月例会」ライブ。今日は俺が映画の為、ヒゲが伸びているということで、知久君やGさんも少し伸ばしてきてくれた。これぞ男にしか出来ない友情だな。ジョリジョリジョリ。ということで、サポートのライオンメリィさんも1曲目では、ふさふさのつけヒゲをたくましく付けてくれた。女装なのにヒゲ・・・しりあがり寿の「ヒゲのOL」の実写版の様だな。
 アンケートで「今日は石川さんの曲が多かったですね」という意見が多数あったが、それは錯角。曲目を並べてみよう。(ちなみに曲順は「デジたま伝言板」のPOOさんの書き込みから、コピー&ペーストした。チョー楽だわっ!! ありがとねっ!)

1)ヒゲのある暮らし
2)南風
3)リヤカーマン
4)東京パピー
5)いわしのこもりうた
6)まばたき
7)ジンガは静かにしなさい
8)とかげ
9)ゆめみているよ
10)夢の中の君
11)らんちう
12)方向音痴
13)パルテノン銀座通り
14)ハッピーマン
15)(即興)浮浪者ブルース~お昼の2時に
16)学習
17)サーカスの日
EN1)満月の丸バナナ
EN2)ハダシの足音

 俺のボーカルの曲は1,3,4,7,14,15の6曲。だいたい最近の月例会ライブでは「知久7・滝本5・石川5」の17曲というのが基本。但し、アンコールが行われるのが常なので、それが「知久1・石川1」の場合が多いので、俺の曲は計6曲。だから、いつもと曲数は変わらないのだ。ただ、最初の4曲のうち3曲が、たまたまなのだが、俺のボーカルの曲だったので、そういう印象だったのだろーか。ちょっと「へー」と思った。ちなみに曲数はいつもと変わらなかったのだが、短い曲が比較的多かったのか、ライブ時間はいつもより15分も短かかったそうだ。やっている方は全然わからなかったなー。

 林望「東京珍景録」読む。私信でーす。給水塔マニアのニヒル牛スタッフのくす美さんとニヒル牛作家の山中さん。世田谷の弦巻に、いい給水塔がある、とこの本に出てたよー。

3月24日(土)

 リハーサル。知久君が約束より2時間遅れてきたが、もはや別に怒る者もいない。「あっ、来たね。じゃ、やろっか」ってなもんだ。でもこのルーズさ、寛容さが長寿バンドの隠れた秘けつかもな。無理は一切しないという。・・・俺たちゃ、老夫婦か。

 原田宗典「見学のススメ」読む。

3月23日(金)

 「すごろく旅行記」原稿書き等。

 夏目漱石を読もうとしたら、脚注が多すぎて、いちいち巻末まで行って意味を探ってくるのが鬱陶しくなり、挫折。次に中上健次を読もうとしたら、巻頭に「登場人物相関図」みたいなものがあり、20人以上の人の相関図が書かれていたので、これまた挫折。俺は本でも映画でも、5人以上人が出て来ると、わっけわかんなくなっちまうのだー。なんせ俺は頭のメモリが1,4MBぐらいしかないからなー。フロッピーディスク一枚分くらいだな。CD-ROMや、ましてやDVDの脳みそ持っている人もいるんだろーなー。でも脳みそなんて適度にあればいいやー、と開き直って畳の上に胡座かく。あっはっはー。ということで本日の本は銀色夏生の「バリ&モルジブ旅行記」。これなら楽だ。あっという間に読み終えた。


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