石ヤンのテキトー日記00年11月(2)
文章中の文字の色の違うところをクリックすると写真や詳細が見られるぞ。
11月30日(木)
つい何も予定がないと、12時間ぐらい眠ってしまう。途中何度か起きようと思うのだが、つい布団の中の青い鳥が「ここが一番幸せだよ、石ヤン!」とピーチク鳴くので、
「もうちょっと・・・もうちょっと・・・」
が積み重なってくうちに、夜の帳が落ちている。アッハッハーッ。
韓国風お好み焼きの「チヂミ」とか食べつつ、録画しておいた「ダウンタウンDX」とか見ながら夕食。R君とふたりでダラダラテレビ見ながらご飯を食べるのは、「眠りの至福」に対して、「覚醒の至福」だな。俺にとって。もっともリラックス出来る大事な大事な時間なのだ。
ライナー・チムニク著・矢川澄子訳「セーヌの釣りびとヨナス」読む。といっても半分絵本みたいなものなので、1時間くらいで読めてしまう。
11月29日(水)
しばらくたまっていたこのHPの日記とかをまとめて書く。本当は毎日書きたいところなんだが、なかなか仕事がつまってくると、メールや掲示板を見るだけで精一杯になってしまうんだよなー。疲れたら眠くなるしなー。眠くなったら寝てしまうからなー。ムニャムニャ。
阿刀田高「好奇心紀行」読む。読書ラリー、まだ続けるんかいーっ、俺よ。
11月28日(火)
体調はまあまあ良くなってきたが、一応かかりつけの内科に行く。と、ひとしきり医者が診断したあと、
「・・・結局、年ということです。もう、無理が効かない年になった、ということです」
と言われてしもーた。ガビビビーン。
確かに、以前なら一晩徹夜したくらいで仕事に穴を開ける、なんて事はなかったのだが、もう限界が来た、ということなのだ。あーあ、とちょっと嘆いてみたが、年には逆らえねーよなー。無理に若ぶっても、結局、はたからも痛々しく見られるだけだからなー。
ということで、年とともに多少ライブのやり方とかも変えていくと思う。10代、20代、30代、そして40代と、同じでいられるわけねーんだからなー。その時出来る最大限の「面白い事」をやるしかないんだもんなーっ。でもそれはその年代なりの「面白い」ことなので、過去にも未来にも出来ないことなんだから、まぁ、いいんだけど。
ということで、みんな、CDは残るけど、ライブは今年見られても、来年同じようなステージが見られるとは、限らない。というか、見られない。だから、後悔する前に少しでも興味があるなら、ライブだけは来ておいた方がいい。宣伝という意味じゃなくても、そう思うぞーっ。
関川夏央の「貧民夜想會」読む。と、パンパカパーン、いきなりファンファーレが鳴りました。なんでしょう?
そう、実はなんか最近「石川って割とよく本、読んでねえ!?」と思った人はいないでしょーか。そう、実は地道に「読書の秋スペシャル・1ヶ月連続本読みラリー」をたったひとりでやっていたのです。そして今日がその1ヶ月目なのです。バンザーイ!・・・と言っても誰も拍手をしてくれるわけでもなく、「案外、暇なんだな」と思われてるだけだったりするかもしれないが・・・。
思えば、始めたのはファンクラブツアーの次の日から。なんせ、さすがにファンクラブツアーでホストともいうべきメンバーの俺が、ファンの人たちと話しもせずに本なんて読んでいたら失礼だからな。ってなことでその次の日からなんとなく始めて、そのうち意地になってようやっと1ヶ月間読み続けた、ということなのです。
と言っても、日によって読む時間がたっぷりある日と、一日中仕事で、本など到底読む時間がない日もある。それではどうしてたか?
そう。一応「読み終わった所」がその日付けになるので、だいたいスケジュールを見て、忙しそうな時は事前に数冊、「あとがき」だけを残して読んでおき、夜中の0時を過ぎたところでその「あとがき」を読み、その日の分としていたのです。
その結果、知久君とかに、
「石川さん、何の本読んでるの?」
と聞かれて、書名ではなく、
「う~ん、これ、あさっての本」
とかわけわかんない答えをして、
「くっ、狂ってる!」
と言われ続けました、とさ。でもこんなに本を読んだのは、高校生の時以来。あの時もいつも教科書の影に隠して、いろんな本を乱読したっけ。ちょっぴり青春時代を思い出したな。
11月27日(月)
きのうのライブの神経の高ぶりがおさまらず、寝床に入るも一睡も出来ず、徹夜してしまう。昔から、ライブが終わっても体は疲れているんだけど神経だけがずうっとライブのテンションから落ちずに、朝になってしまうことはよくあるのだ。おいっ、神経。もう寝ろっ、ちゅうのに。
午前中は渋谷にてスカイパーフェクトTVの「北野チャンネル」に出演。『辛口屋台』というガタルカナル・タカさんの番組にカブキロックスの氏神さんと一緒に出て、「イカ天」時代の話等する。
あの当時は変にアイドル扱いされて、ついに俺が公開ラジオ番組で切れて、
「こんにちは。最近、まわりがうるさくって、すっかり耳が聴こえなくなってしまいました。ツンボリーノ・石川で~す!」
とやってしまった話などした。いやーあの時司会だった方、申し訳ない。あなたには何の罪もなかったけど、タイミングが悪かったんですよね~。ちなみにこれは生放送だと本当にやばい放送事故になるので、あらかじめ録音収録だということが分かっていたからやってしまったのですが。それくらいの配慮があるところが、まぁ俺の姑息なところだ。
それから、今日のパスカルズに使う楽器がきのうから置いてあるニヒル牛へ。と、眠くなったので、レジの後ろに段ボール敷いて時間までひと休み。段ボールの上で寝ていると、ちょっぴり浮浪者気分。と、お客からは死角になっていて見えないので、男のお客さんの声が聞こえる。
「この『ニヒル牛』っていう店名、いいですね。石川さんが考えたんですか」
なんて声が聞こえる。俺は思わず、
「いや~、ありがとー。俺って、センス、ありありですか~!?」
と、立ち上がって答えようとも思ったが、俺がまさか話しかけている店員のすぐ後ろでグーグー寝ているだ、なんて夢にも思っていないお客さんを驚かすのもなんなので、黙ってそのまま狸寝入りをして聞いていた。
さて、そろそろリハーサルにいかねばならない時間なのだが、なんだかきのうからの疲れがドッと出てきて、急に体調が芳しくなくなってきてしまった。このまま人前に立っても、
「明るいロンドン、楽しいロンドン、愉快なロンドン、ロンドン、ロンドン、ロンドン!」
の石川君は到底出来そうにない。申し訳ないが、マツさんに緊急の電話をして、ライブを休ませてくれるように頼む。心臓の辺がイヤな感じにカッと熱くなっているのだ。あぁ、マツさんやメンバーのみんなや、今日のゲストの友部さんに悪いな、と思いながら帰宅。
でも家に帰っても体調は優れないまま。無理していかなくて良かった、と思った。
桝田武宗の「いちど変装をしてみたかった」読む。少年男、パジャマ男、軍服男、中年フォーク男等に変装して、街行く人の反応を見る、お馬鹿ルポルタージュ。
でも是非、「坊主頭にランニング、半ずぼんに児童用靴下にサンダル履き男」もやってもらいたかったなー。
11月26日(日)
西荻・ビンスパークにて石川浩司+突然段ボールwithおにんこダンサーズのライブ。
共演は「ドドイツ」「おにんこ」「我々」で特に「おにんこ」は見物だった。「白痴美ロック」というか、俺が好きだった「サボテン」というバンドの流れを汲みつつ、それ以上のへたうまロックを聞かせてくれて「おおっ!」という感じだった。IQすんごい低そうで、つまりはただのお馬鹿さんが淡々と歌っている感じは、ありそうでなかなかないからな。もちろん誉めてるんだぞ。
「みんな大好きチョコレート、チョコチョコ歩いてチョコレート!」って・・・。
さて、俺達のライブは、相変わらずメンバーの中で俺ひとり馬鹿テンション。途中でパーカッションセットをバラバラに壊し、タンバリンを先にくくりつけた釣り竿状の物に組み立て直し、「ほおれいっ!」と客席にブルンブルンわけもなく振り回したり、丸美屋の「のりたま」ふりかけを己の頭からザバーッとかけたりして、おいしくなってパンクなパフォーマンスで歌った。
しかしこのバンドはそもそも、突然段ボール・兄と俺が交互にボーカルを取るスタイルだったのだが、兄が病気療養中の為、すべてのボーカルを俺が取ることに。でも「たま」とかソロとかと違って、バリバリのロックでテンポも早く、尚かつそれに合わせて激しく動き、踊り、歌うので、体力の消耗が半端じゃない。ライブが終わって1時間ぐらい経ってニヒル牛で休んでいる時も、まだハァハァ言い続けていて、R君が「なに、これっ!?」というほど体はまだ熱を発っしていた。
吉本ばなな「B級BANANA」読む。何度か面識のあるばななさんだが、本文中の「ばななさんに質問」みたいなページで、こういうのがあった。
『2000年12月31日から2001年1月1日になる時、何をしていると思いますか』
それに対して、ばななさんは
『ビデオをセットしそこなって、撮れない! とあわてているうちに過ぎちゃう』
と答えていたが、俺はもっと確かな答えを知っている。それは、
「吉祥寺・マンダラ2でたまプレゼンツの『トーキョースットンキョーvol4』を見てる」だっ!!
何故ならばななさんは自らの
作品の挿画なども描いてもらっている原マスミの熱狂的なおっかけで、原さんのライブはほとんど見ている。しかるに、この日のライブには、原マスミ+たま、のユニットが1年振りに出演するからだ。どーです。来ないですか? ばななさん!
11月25日(土)
近所の「バーミャン」にて、食事を兼ねてR君、島田夫婦とニヒル牛打ち合わせ。開店から半年が過ぎ、6ヶ月契約の人が多いので更新の時期なのだが、9割り方の人が延長を希望している。しかるに、現在予約は約100人待ち。このままだと、なんら店が変わらず、面白みに欠ける。ということで、何割かの方には、いったん退いてもらい、再予約という形で何ヶ月か後にまた入居してもらうことにして、新しい人も入れていきたい。でも、一体誰をその一旦退いてもらう対象にするか、ということで話しあった。
結果、元々のコンセプトのひとつである「今日はどんな見たこともない作品が入っているんだろうと、来る度にワクワクする店」を基準に、より頻繁に箱の中を更新している人、を中心に残すことにした。「アートギャラリー雑貨店」の「アートギャラリー」の部分に重きを置く人は、売る事をあまり念頭においてない人もいるので、例え売り上げがほとんどなくても、しょっちゅう新しい展開を見せてくれる人が、より楽しい空間として「店」を遊べるからな。なんといっても、まず店をやっている自分達が楽しむことが一番なのだ。お客さんは二の次じゃーい! というかそれが結局お客さんも楽しんでくれる店づくりだと思うからなー。
といっても例えばCDとかは毎月どんどん新作を更新する、というわけにもいかないだろうから、そういう人にはライブ情報を箱の中に宣伝するなり、どんな音楽なのかキャッチコピーを考えてもらうなり、箱が活性化していれば、良しということにする。
とにかく基本的に楽しければ実験的なこともどんどんやっていきたい店なので、「こんな物作っちゃったんだけど、どうかなー」という物も、躊躇している間もなく、置いてしまえ! 反応がなければ、引き上げればいいだけの話しなんだから。頼むぞ、ニヒル牛作家さん達!
4,5日壊れていたマックのインターネットとメールが復活した。これは妻には秘密なのだが、4,5日前にちょいとオイタをしてしまったのだ。つまり、ちょいとアダルトの、おっぱいとかお尻とかそんな柔らかそうなとろけるチーズのような肌が見え隠れしているホームページがあったので、
「なんだろう? これ。なんだかイヤらしいな。プンプン」
と忸怩たる思いをジクジ、ジクジとしながらも、マウスを握った手は俺の意志とは関係なく、いろんなところをクリックしていく。
「おいおい、駄目だよ。なんだよ『モロ見えバッチリよ』って。あっ、手! 馬鹿! どんどんクリックするんじゃない! おい、これっ!!」
と叱ってみても俺の手はおかまいなしにクリック、クリック。って「フニクリ・フニクラ」じゃないんだから。社交ダンスじゃないんだから。って、それは「クイック、クイック」か・・・。
などと言っているうちに、変なソフトが起動し始めた。
「んっ!? ・・・あぁっ!! 外国にマックが勝手に電話をかけようとしている。いっ、いかん!!」
そこであわてて、インターネットのソフト自体を終了した。もっともうちのインターネットは電話回線じゃなくてケーブル回線なので、電話はかけられないのだが・・・。
ところが、それからインターネットとメールが全く出来なくなっちまった。うんともすんとも言わない。まぁ、うんとかすんとか言ったら、それはそれで怖いが・・・ともかく、これは仕事にも差し支える。なんせ今や原稿でも何でも、メールで送っているからな。
ということで2日前のたまのライブの時、お客さんに助けを求めるMCをしたところ「ウイルスかも」とか「インストールし直した方がいい」と言われたけど、どちらもちょいとめんどくさい。そこでR君に、
「なんかちょっとソフトをダウンロードしようとしたら、動かなくなっちまってさぁ」
と言い訳してケーブル会社のサポートセンターに電話してもらったところ(俺はとにかく知らない所に電話するのがなにより苦手。怖いよ~!)、やり直したはずの設定の一部がやはり自動変更されており、そこを設定し直すことでやっと直ったのだ。
ということで、普通のソフトをダウンロードしていることになっているから、R君(妻)にはこれを見ているみんなよ、内緒だからな。どこかでR君に会っても、決して言うなよ! ・・・って、R君自身がこんなページ簡単に見られてしまうんじゃーい。くそおおっ、インターネットめ、融通が効かない野郎だな。ちょっとは気をきかせろ、ってんだ。
まぁ、R君よ。俺は40も近いが、精力絶倫、ということで。
「なーにが絶倫よ。絶倫の『ぜ』の字だけでもここに今すぐ持ってこいってんだっ!」
って、R君よっ、これ以上、家庭のプライベートを曝け出すことは、この俺が許さ~んっ!! さ~んっ!! さ~んっ!! ・・・ごめんなさい。
ウィリアム・サローヤン著、今江祥智訳「ワンディ・イン・ニューヨーク」読む。
『人は自分自身完成することなく、完成できず、死によってさえも完成できず、完成するべく生まれたのでさえなく・・・』
訳者の童話作家としても著名な今江祥智さんは、とある結婚パーティで一度お会いしたことがある。ちなみに昨年たまが出演したナイロン100゜Cのお芝居で、神父のお姉さん役で出ていた今江冬子さんは、今江祥智さんの娘さんだ。
11月24日(金)
スタジオにてMIX作業。本日にてようやく終了。わーい、終わりだ、終わりだ。11枚目のオリジナルアルバム「しょぼたま」完成!
みなみあめん坊「月夜のムラで星を見た」読む。いわゆる被差別部落の同和問題についての本。しかしシビアな事を言うと、「差別をなくせ!」と言っても、差別はなくならないと思うなー。何故なら、人はいろんな形で「人より優れること」を目指す生き物だからだ。それがいい言い方では「向上心」であり、その向上心と差別は表裏一体で、離れることが出来ないものだからだ。だから、ある意味「差別をなくす」ことは「向上心を持つな」と言うことであり、つまりは「人間として生きるな」ということだからだ。でももちろん現実に起きている差別問題は深刻だ。だから「差別をなくす」ではなく、もっともっと価値観を多様化させて、「一体何が本当に一番なのかわからなくさせてしまう」という混沌とさせる方法しかないのではないだろーか。つまり、あるところでは『下』のランクをつけられる物でも、別の見方では『上』になってしまうような。とにかくただ漫然と「差別をなくせ」というのは、言葉だけの上滑りで、現実性がないと思う。でも、実際進行中の物については、「そんなこと言ってる場合か!」というのも分かるのだが・・・。難しい問題だなー。
11月23日(木)
マンダラ2にてたまの月例会ライブ。久しぶりに「魚」や「かなしいずぼん」等をやる。「かなしいずぼん」のセリフは、細かい点は違うかもしれないが、こんな感じだった。
『奥さん、あんた私の乳首の上に、栗、のっけたでしょ。こっそりやって来て、寝相が悪くて露出している私の乳の上に、栗、のっけたでしょ。・・・最近、夜寝ているとミョーに乳のあたりがこそばゆいんで、薄目を開けてそっと見てみると、なんと奥さんが私の乳の上に栗をのっけて、右回転やら、左回転やらクリクリしているじゃあないですか! そりゃあ私は男にしても、ちょいと乳首が陥没しているというか、そんな感じなので栗でも置いてクリックリッとしたい気持ちは、よおくわかりますよ。もうすぐ20世紀も終わることですしね。ただ・・・栗の季節がもうすぐ終わるからといって、私の乳の上にそのうち鍋物を置いて、一家団欒で囲むのだけは、熱いので、やめてくださいなー!!』
たまの曲の中で「学校にまにあわない」「かなしいずぼん」「『お昼の2時に』のイントロブルース」という俺の3大即興歌、というか3大即興セリフ物、というのがあって、基本的にはライブの度にお話を代えて作っている。時には使いまわしすることもあるが、16年間で一体どれだけセリフを考えたろう。酷い時は一回のライブに3曲とも入っていることがあって、ライブ前にはセリフが思いつかなくって、直前までひとりでトイレにこもってウーウー唸っていたこともあった。まぁ、自分の蒔いた種だけどな・・・。もしかしてもうちょっと話しに肉付けしていったら「奇妙な大人の童話集」ぐらい出版出来たんじゃあ!? でもどれもその場でパチンとシャボン玉のように消えていってしまったのよねー。それがライブというもののサダメ也・・・。
打ち上げは吉祥寺「168」阿佐ヶ谷「8039」。途中、西荻のニヒル牛に荷物を置く為ちょっとだけ寄ったので、ついでに真夜中の1時に5分間だけ開店。JONさんが豚の置物を買っていってくれた。
阿部公房「終わりし道の標に」読む。
11月(1)の日記を見る
振り返り人生(もっと過去の日記を見る)
トップに戻る