石ヤンのテキトー日記00年10月(2)
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10月31日(火)
外は雨。庭の「ペンキをぶちまけたような」赤・黄・緑のモミジの落ち葉も、雨にしょぼ濡れて地面にぺったり貼り付いている。終日レコーディング。といっても、他の人が録音している時は結構待ち時間も長いので、読書もすすむ。
大江健三郎「芽むしり 仔撃ち」読む。感化院で戦時中集団疎開させられた村で疫病が流行り、村人たちに置き去りにされる子供たちの話。面白かったが、ひとつの文章のセンテンスが長く、形容詞や副詞がどこにかかっているのかわからなくなり、「んっ!?」と読み返すこともしばしば。読書はそこそこしていると思うのだが、いつまでたっても読解力がつかないなー。もう、お脳の成長止まっちゃたかなー。えへへへへーっ。笑っちゃえーっ。
10月30日(月)
昼、町に車で出て、スーパーで買い物。とにかく知久君が「ビール、ビール」とビールが切れる事に恐怖心すら感じているようなので、ビールを買ってから食材へ。地元にしか売っていない「ポンちゃんラーメン」と「一茶納豆」も買う。あとは終日レコーディング。曲名はまだ明かせないので秘密。
矢川さんの家にあったクマさんこと篠原勝之の「KUMA`SーKUMAのほとんど総て」を読む。「たけしの誰でもピカソ」で何度かご一緒しているが、さすが辛辣な批評をするだけあって、やる事はちゃんとやってんなー、という感じ。絵画、鉄、ガラス。どの作品もスバラシイ。さらには舞台美術や役者など、その活動はとどまることを知らない。ちなみにMOOK版みたいな本なのだが、途中に入る広告が、建設機器や建機レンタルのものばかりなのもちょっとおかしかった。クマさんファンはやっぱりクマさんと同じく、でっかい作品を作る人が多いということなのだろーか。
『しかしそのデッサンに導かれて、実際に製作が始まると、ゼニ計算は無視され、完成することになるとまたBINBOUに戻っている。苦痛ならやめればイイのだが、相変わらず続けているのは、これがオレの棲息方法なのだろう』
ちなみに、矢川さんとクマさんは何十年も前からの知り合いで、「クマも、若い頃は無茶ばっかりやってたわよ」と言っていた。
10月29日(日)
バスで群馬・沼田方面に行き、ファンの人達と一緒に、オルゴール館に行ったり、雨の中りんご狩りをしたり、「きのこ狩り」という名の栽培倉庫でのナメコむしり取りひとりふたもぎまでよ、と多少意味のわからない事をやりながら昼食。コンニャクの天ぷらはまだわかるが、いくら名産だからって、りんごを天ぷらにするんじゃなーい!!
夕方、ファンの人達と別れてレコーディングの為、黒姫高原の矢川澄子さん宅へ。ここの玄関ホールが高いので、そこに機材を設えて、一週間合宿をして、たまの新しいアルバムを録ろうという魂胆なのだ。
矢川澄子さんと言えば、少しでも文学を齧っている人なら知らない人はいないであろう、詩人・作家・翻訳家。特に翻訳は「象のババール」シリーズなどが有名だ。渋澤龍彦の最初の奥さんでもある。そんな方に家を貸してもらうどころか、毎度の飯の支度までさせてしまう、というのだから、いくら友人とは言え、矢川さんファンからは「先生にそんなことさせるなんて! なんて罰当たりなっ!」とお叱りを受けるかもしれないが・・・。すんませーん。甘えてまーす。ゴロニャーン。
それにしても矢川さんは、ほとんど俺の親の世代なので、つまりはそこそこ年輩なわけだが、いつまでも「はにかみ少女」の要素を失わないでいて、こんな事いっちゃ失礼かもしれないが、かわいい。でも、いくつになっても「かわいい」はかなり人として重要なことだからな。もう何度となく会っているのに、独特の「照れ」がいつになっても残っていて、おかしい。ま、俺も「照れさかげん」では負けないつもりもあるのだが・・・。で、だからかもしれないが、俺はやっぱり「照れ」のある人は好きだなー。というか「照れ」が全然ない人は、ちょっと苦手。
で、そんな矢川さんなんだけど、渋澤龍彦仕込みなので、上品な口調から突然「で、A感覚なんだけど・・・」なんていうトンデモナイ言葉が突如飛び出すこともあるので、ちょっとドッキリしたりもするのだ。何ッ!?「A感覚」ってなんだ、って!?・・・それは自分で勉強しとくれっ!
島田鉄也の「アジア アジア」読む。俺が旅行記を読むのが好きなのは、グータラだからだと思う。グータラ→今、やっている事を投げ出して、どっかに行きたい→せめて旅行記読んで仮想逃避、っちゅうわけだ。カンボジアの少女に写真を届ける為に、必死に舞い戻るくだりが面白い。
10月28日(土)
たまのファンクラブツアーで新宿に集合、バスで越後湯沢へ。ありきたりの「伝言ゲーム」や「わたしは誰でしょう」をやるが、結構盛り上がる。ホテルに着くや、ファンの人が温泉とかにつかっている間に、新曲を一曲アレンジし、夕食のあとのライブで初披露。
今日はホストみたいなもんだからと、つがれるままにビールを飲んでいたら本当にすっかり酔っぱらってしまい、雨が降っていたので、ホテル内のラウンジで二次会をやった時はすでに水割りをダブルで何回もおかわりして本当のただの酔っぱらいおやじと化し、ウォーッと女の子(といっても、家族連れで参加した4才の女の子を除いては、すでにティーンエイジャーはひとりもいなかったので『女の子』と呼んでは失礼かもしれないが・・・)に囲まれてハーレム状態で乾杯につぐ乾杯。へろへろへーっ。キャバクラとか行ったことはないが、もしかしてこんな感じか!? 写真だサインだと、一夜のスター。ウオッホッホッホ。あたしもまだまだ捨てたもんじゃないわねっ。さらに午前零時頃、お開きになっても俺の勢いはとどまることを知らず、まだ起きている、という、とある女の子達の部屋に侵入。しかし酒屋はもう閉まっており、晩茶を飲み飲み朝4時半ぐらいまでトーキング。もはやファンといっても、何年もファンクラブツアーに参加している人が多いので、ただの女友達気分。次の日、他のファンの人から「きのう、石川さん、隣の部屋にいたでしょう。他の人の声は聴こえないんだけど、石川さんの声だけが聞こえていて、ひとりで喋っていたのかと思った」と言われる。いやいや別に「石川浩司真夜中の独演会」をやっていたわけじゃない。おかしーなー、普通に皆と会話しているだけなのに、何故か俺の声だけ通るらしいのだ。普通低音の多い俺みたいな声はくぐもってしまうはずなんだがなー。俺の口はどーなってるのだろーか!? 二重歯(俺の前歯は前後に二重に生えている)が何か特殊なサイエンティックな作用を!?
伸びていた親指の足の爪が靴下の中で自然に痛くなく、ペロリとはがれる。それがあまりに大きくある種立派なので、なんか捨てるのがもったいなく、そっとGパンのポケットに保存しておく。そのうち加工してニヒル牛の作品にでもしたてあげるかな。象牙は輸入が禁止されているが、人の爪細工なら問題ないだろーからな。あっ、もちろんちゃんと洗ってから使うよっ! 俺は意外と清潔好きだからな! トイレのあとだってちゃんと手を洗ってハンカチで拭くしな! ちなみに女子の皆さんに言っておくが、男で小便して手をきちんと洗う人は半分以下だぞ。本当だぞ。つまり俺は平均よりも少しだけ清潔好きなのだ。なにっ!? そうは見えない!? そんな馬鹿なっ!! 清潔損かっ!!
ところで今回もまた、前回の観山寺温泉に引き続き、温泉に来ているのに温泉に入る時間はナッシング。なんの為に来たんじゃーい。でもその分楽しく酩酊したから、いいかーっ。あっはっはーっ。
10月27日(金)
今日はさほど体も痛くなかったのだが、一応整体の先生に「極力、毎日通いなさい」と
言われているので、かる~い気持ちで整体に行ったら、先生に
「これ、ちょっとすごいことになってるよ!」
と言われる。どうやら凝りすぎて、体が麻痺してしまっていたよーで、ありゃりゃりゃーと骨を真人間にポキポキ直してもらう。そーいやーきのうはライブで、またわけのわからん筋肉とか、何の生活にも必要でない筋とかを伸ばしたり縮めたりのクネクネダンスしたりしたからなー。って、俺はダンサーか!?
前にも書いたかもしれないが、今年の始め頃、あまりに背中が痛いのでカイロプラクティックに行ったら、
「これはちょっと普通の人の肩凝りの度を通り越している。首のヘルニアかもしれないから、でかい病院でCTスキャンで見てもらった方がいい」
と言われて調べてもらったが、結果はヘルニアではなく「とにかく、異常なほどの肩凝り」という診断。肩凝りじゃしょーがないので別の整体に行ったら、整体師が、
「ちょっと、みんな来て! この背中触ってみて!」
と他の整体師を集めて「すごい肩凝りの症例」のモルモットになっちまったぐらいだからなー。
でもとにかく子供の頃から人に肩を揉んでもらうのが何より好きだったから、「先天的肩凝り」のところに、それをさらに悪化させるように意味ない筋肉を時々極端に使い、かといって、それ以外の時は運動等一切しないで、だらりのたりーとしているのがイケナイんだろーなー。あーあ。
でも、おそらく普通の人だったら体験出来ないマッサージでの「イタ気持ち良さの極致」は、こんな肩凝りじゃなかったら経験出来ないだろーからなー。それはそれで君らの知らない幸福な世界なのさー。ふふふふふ。
夜は、すごろく旅行の原稿書きと、明日のファンクラブツアーのゲームづくり。
10月26日(木)
マンダラ2にてたまの月例会ライブ。客も超満員。「南風」の間奏で舞台の小道具で置いてあったススキの穂でメンバーの鼻先やお客の鼻先をくすぐったりして遊ぶ。「おなかパンパン」という曲でサポートのマツさんがランニング姿になり、「石川浩司第二号」になったので、「全裸でゴ・ゴ・ゴー」の時は「負けるもんかっ!!」と上半身を脱いでフッと後ろを振り返ると、マツさんもあわてて脱いでいる。ヌヌヌッと思い、しかし曲名どうり全部脱いでしまっては、さすがに客もひくと思い、せめてチャックを半分だけ降ろして見えそで見えないもどかしさ、おぉもどかしさ、でマツさんに対抗した。と、今度は知久君が「世界一長い」と言われる自分のズボンのチャックを降ろし、客に白いパンツを「ほおりゃっ!!」と見せつけていた。・・・いったい何やっているんだ、俺たちは!?
タイに出かけていたマネージャーからおみやげで「かわいたマンコー」と日本語で書かれたお菓子をもらう。もちろんマンゴーのドライフルーツだ。誰か日本人が、知っていながらわざとこう教えたんじゃあ!?
ちなみに裏には、「お年寄りから苦者まで、栄養たっぷりのスナック」と書かれていた・・・・苦者って、なんだ!?
ついでだから、今日は下品物でせめるぞ。突然段ボールの俊二さんが写真を撮ったら、奇妙な心霊写真(?)が撮れていたという。見たい人はここをクリックだ。18才未満は、見てはならぬぞ。思わず、爆笑した。
10月25日(水)
スタジオにてたまのリハーサル。晩飯はみんな「てきとーに俺、なんか買ってくるわー」とバラバラに買いにいったが、5分後、メンバー全員別のルートで歩いてきて、マクドナルドで涙の再会。気が合うにもほどがあるわーい。そりゃーハンバーガー65円じゃ、どんな物買うより安いもんなー。しょうがねーよな、この御時世。
藤本研の「ニッポン大貧乏旅行記」読む。食パンに塩コショウや、腐りかけたリンゴなどを齧りながらの日本一周徒歩旅行記。異常に食い物の値段の事に固執していて、巻末には全家計簿と、消費税を取られた場合の、1円単位まで細かく載っているのがおかしかった。
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