石ヤンのテキトー日記00年7月(2)

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7月24日

 ニヒル牛へ。ついこの間まで「SPA!」でへなちょこショップを紹介していたライターで放送作家の吉村智樹さんも来てくれて、箱を借りてくれるという。なんでも「スクープ写真館」みたいな感じで、吉村さんが各地で撮ってきたアッと驚くスクープ写真を見せる箱を作るという。普段は布かなんかで隠しておいて、10円払うと、それをめくれて写真が見られるようにするという。毎週替えるというので、吉村流スクープを物にしたい人は10円払って毎週それをめくって話題をゲットしよう! しかし10円だからな。それがどんなスクープでも、返金はしないからな!

 それから日々目が離せない箱、といったら山中さん、という人の箱が最近面白い。
 この人の箱には、段ボールで出来たひとつの家(アパート)があり、その外にはちょっとしょんぼりしたやっぱり段ボールで出来た管理人とおぼしき人が箒で前の道を掃いている。しかもその家の周りには、ギャングともヤクザともつかないなんとも柄の悪い人たちが物陰から伺っているのも見える。   その箱の横にその管理人らしき人の日記帳があるので、それを覗いてみると、
『あぁ、ついに最後の住人も出ていってしまった。これからどうなるのだろう・・・』
 と書かれてある。そういえば、「高層マンション絶対反対」等のビラも壁に貼ってあり、どうやらこの古ぼけた建物が立ち退きを迫られているのがわかる。
 そこでそこに「入居申し込み用紙」があり、この家の中のバーチャルな住人になる人を募集しているのだ。白黒なら50円、カラーだと100円で本人(もしくは架空の人の設定でも良い)でその人の特徴を書いて申し込むと、数日後にはその資料を基にその人がその段ボールの家の中に人形として現れる、という設定だ。
 ちなみにちょうどその箱を設置している時近くにいたカブラギが早速申し込み用紙に「趣味・カメラ 武器・三脚」と書いたところ、数日後に見てみたら、カメラをぶらさげたカブラギがいて、恐らく立ち退きを強行しようとやってきたギャングを三脚で殴ってやっつけているところだった。
 定員が決まっているので、俺も即日入居したかったが、残念、間に合わなかった。
 しかしこのあと、このアパートにどんな物語が展開していくのか、週に2,3回は来て、人形の設定を変えたり、日記を更新していくそうなので、とても楽しみ。こんな小さな箱の中でバーチャルな物語が展開していくなんて、なんか昔の紙芝居屋みたいな感じだな。とにかくニヒル牛ファンはちょくちょくこの箱をチェックして、物語を楽しむといいと思う。

 まぁ、吉村さんの箱にしても山中さんの箱にしても、実験的な物はほとんど店の売り上げにはならないのだが、そんなことはこの際、どうでもいい。箱が作品を売るだけではなく、こんな使い方も出来る、といういい例だ。これこそ、ニヒル牛でしかできない遊びだもんなぁ。

7月23日

 スタジオ建設も大詰め、全員で肉体労働者になって作業。いらない端材を集めたり、楽器を設置してみたりして、暫定的にリハーサルできるところまでこぎ着ける。でもまだ防音が完璧ではないので、電車の音はガッタンゴットンよーく聞こえる。なので、当面はリハーサル専用。録音物を作ったら、喜ぶのは鉄道マニア(例・カブラギ君)だけだからな。「あっ、このバックに聞こえるのは『キハ61』だっ!」とか言ってな。そうなると本来の歌を聴かせる、というのとちょっと違ってきてしまってわけわかんなくなるからな。とりあえず、みんなでビールで乾杯する。

7月22日

 数日前、R君が、
「ドロメシ買ってきたよー。冷凍食品だから、あたしのいない時、チンして食べなー」
 と言う。
 ド・ドロメシ・・・!?
 いくら売れないミュージシャンだからって、泥飯はちょっと・・・。飯の上に泥が山盛りに盛られているのだろうか。それとも泥とご飯が炊き込んであるのだろうか・・・とにかく、俺はミミズ以下かっ!?・・・と、思ったら「ドロッとしたソースがうまい そばめし」だった。
 おいっ、変な風に略すな!!
 ということで、本日の朝飯はドロメシ・・・じゃなくそばめしを食う。

 夜はちょいと小粋に荻窪のフランス料理屋へ。「ニヒル牛」はたくさんのスタッフが製作にかかわってくれたけど、「みんなー、儲かったら、バリ島連れていってあげるねー」というほとんど子供騙しのような口約束だけでただ働きしてもらっていたので、少しは恩返しと、フランス料理のコースを奢ることにしたのだ。全くフランス料理に似合わない小汚いメンバーで店に入っていき、ついついでかい声で笑ったりして、店の雰囲気を台無しにする。
 でもどーしてフランス料理を食う時は、少々緊張して、背筋をピンと伸ばしてお行儀良く食べてしまうのだろうか。腹の中に入ってしまったら、泥飯・・・いや、そばめしと大差ないのになーっ。

7月21日

 本日もスタジオ建設に文字どおり、汗を流す。ケッヘッヘヘ、俺たちゃ肉体労働者、流す汗水100万トンだー!! 作業場では完全に序列が作られている。まず、頭領はなんといっても小俣佳久、通称オマちゃん。自ら設計図を書き、「本業はおまえさん、PAじゃなくてデエークだろう!?」と見まごう程の手際の良さで、黙々と作業を進める。高いところにも、スルスル登っていく。その頭領の副官が、Gさん。オマちゃんの指示を聞き、ハァハァ言いながらも着実に電動ノコギリを使って木材を切断したりしている。そしてその脇を固めるのが、知久君。細かいネジ止めなどをのたのたスローながらも着実にこなしていく。で、残った俺は・・・ケヘヘヘッ、下男でごわすー。何の役にも立たないでみんなの横でジャマになっていますー。
 なぜなら、小学校の図工の時間で、彫刻刀を使った授業をしている時、ひとりで1時間の間に3箇所も4箇所も己の手の平や指などを彫刻してしまい、保健室に連れ込まれ、
「・・・もう、石川君は何もしなくていいわ・・・というか、先生の責任になるから何もしないでちょうだいっ。お願いよっ!!」
 とまで言わせた俺は特殊な能力の持ち主だからなー。
 なので、せいぜいが釘拾いとか、板の押さえ役とか、ゴミの掃き出しとかの下男の作業でごわすー。ま、人には適材適所というもんがありますからなぁ。下男で充分でごわすー。

 夜、それでも腰が痛くなったので、マッサージ機のある漫画喫茶に行ったら、マッサージ機空いていず。仕方なく、家よりだいぶ性能のいいインターネット席へ行って、ナイロン100゜Cの女の子・・・女の人たちの日記とか読んでニヤニヤする。・・・○○さんはやっぱりかわいいなぁ。(○○は自粛)

7月20日

 スタジオ建設に作業員として働く。ヒット曲連発じゃぁぁぁい、よっしゃーーーーいっ!! の金持ちならば、はなから業者に頼むだろうし、アマチュアならば逆にスタジオなんて作らないだろうから、中途半端物のつらさ、全部自分たちで手作り。
 壁に防音材を貼り、隙間にグラスファイバーを詰めていくのだが、このグラスファイバーが曲者。作業をしていると細かい毛針のような物が体中に突き刺さり、チクチクと痛い。あまりにもチクチクするので「なぜチクチク!」と知久君の方を睨もうとしたら、今日は知久君はお休み。オマちゃんとGさんと3人での作業。世間は休日だというのに、黙々と3人で働いたので、晩飯は思わず、
「会社の領収書で食っちまおうぜ!」
 とGさんが勇気ある発言をし、780円のしょうが焼き定食を会社の金で食ってやった。うわはははは。俺たちも相当な、悪だな。しかも消費税は、別払いだけどな! うわはははははははっ!!

 ニヒル牛、取材多し。今日は「ホットドッグプレス」明日は「ジッパー」といういずれも流行に敏感な雑誌だ。ファッションのことならニヒル牛におまかせ、ってわけだな。なぁ、俺についてきて良かったろう、ニッポン国民よ!!

7月19日

 ニヒル牛にて「フロムAマンデー」の打ち合わせ。昨年、「ポエムマスター」としてポエム批評の連載をしていたところだが、この秋から新企画の俺の「すごろく旅行」の連載が始まるので乞う、期待。それから「月刊まんがくらぶ」で缶ジュースコレクションの取材。このホームページで見て、企画してくれたようだ。ありがたいこった。

 夜は西荻「ターニング」というライブハウスで、「地下生活者の夜」というライブ。大谷氏、健さんらと「マグロモドキ」という即興バンドで出演。俺の新曲「エチケット番長」等やるが、途中でネタ切れになり、何も歌詞が思いつかなくなったので、健さんに「おぉ、シャツが脱げてゆく・・・自分の意志とは反して、どんどん背中の方から脱げてゆく・・・あぁ、醜いたるんだ腹が現れる・・・みんなの前にさらけ出してしまう・・・いやなのに、嬉しい・・・」と上半身ストリップショーとかやらせて、場をつなぐ。社会的には健さんは建築会社の専務だが、ステージの上ではそんな肩書きは関係ないからな。なんといっても、健さんは俺よりひとつ年下だからな。しょうがないな。

 夜中、ネットをやっていると、大阪のレッドライオンが突然の閉鎖との情報。どうやら、お店の入っているビル全体が売られたらしく、マネージャーの岸田君にとっても青天の霹靂のようだ。  名古屋のシュークラブといい、「しょぼたま」やソロなどで感じよく使わさせてもらっていたライブハウスが次々なくなっていく。悲しいというより、商業的にならない限り、音楽を続けていけない状況に虚しさを感じる。まだまだこの国、ジャッパーンは、文化の面では後進国だよなー。

7月18日

 ビデオに撮ったダウンタウンとかロンドンブーツとかを見ながらニヤニヤ笑ってR君と食後のダラダラをしていると、台所に黒い影、走る。
 誰だ!
 パッとドアを開けてみると、2匹の子猫が大あわて。
 あわててドアを後ろ手に閉め、台所に閉じこめる。
 ふっふっふっ、もう逃げられないよ。
 おとなしく俺達の手に落ち、一夜の遊び道具になりなさい。
 そういって、悪魔のように両手を広げて迫る。
 ところが、勝手口のドアがほんの少し開いていて、子猫たちはストトトトッと凄いスピードでその隙間に逃げ込む。
 ムムムッ、しかしその勝手口は実は袋小路。外に出られるわけではなく、横の物置に通じていて、そこからはどこにもいけないのさぁ、フワッファッファッファッファーッ。
 と思ったら、わずかに天井近くに隙間が開いていて、見事にジャンプ、逃げられてしまった。
 どうやら二階の窓が開いていて、そこから音もなく階段を下りてきて、何か食い物を物色していたようだ。でもゴキブリがゴソッと小さな物音を立てても気づくのに、なんてこっそり人に気づかれずに侵入してくるのだ、猫という生き物は。
 本来、うちの夫婦は猫好きなんだから、ちゃんと遊びに来てくれたら、おもてなしのカツオブシぐらいご馳走するのに。
 今度はそんなこそこそせずに、ちゃんと呼び鈴鳴らして玄関から入ってくるんだよ、ネコヤン。

7月17日

 夕方、ニヒル牛へ。結構、作品を微妙に先月と替えている人が多く面白い。夏向けの作品になっていたりして、季節感あってなかなかよろしい。暑中見舞い用「夏の腹の手術跡写真ポストカード」とかな。さわやかな夏の風が吹いているな、田中のうなし子よ。今後もみんな、変に守りに入らず、たかだか7坪、されど7坪の小さな店だ、ころっころ新しい作品にチャレンジして欲しい。いろんな意味での「面白い」が最優先の店だからな。だって「面白い」って実は、生きていくうえで一番大事なことなんじゃないかと思うんだよなー。もちろん限りなく広い意味でだけど。主義主張なんて後でいくらでも理由付けできるんだから、そんなもの無視してわけもわからず突っ走ってくれい!!

 閉店時に友人数人いたので一杯ひっかけにいく事に。数日前に行って面白かったJAZZ酒場「又右衛門」へ。今日もオヤジ(マスター?)は真剣の大小を脇に差して注文を聞く。
 ところが、ちょっとこの間とオヤジの印象が違う。この間来た時は、ほとんど顔の表情を変えることもなく、淡々と飲み物や焼き鳥を運んで来たオヤジが、今日はやけに愛想が良い。
「いらっしゃいませ~」
 はまだ良いが、
「これ、食べてみる?」
 なんて頼んでもいないツマミなんてサービスしてくれて、どーも様子がおかしい。
 この間との相違点・・・!?
 ムッ、あった。それは、今日は女子が多い、ということだ!
 この間は男3人で入って来たが、今日は女子が4名もいる。
 と言っても最もヤングでもミソの道はエッチラ越えてきているが・・・。
 その中でもどーやらオヤジは、くす美さんの事が気に入ってる様子だ。サービスのツマミも、くす美さんの前にさり気なく置いたし・・・。
 くす美さんと言えば、知る人ぞ知る、「こけし女」。なんとなくこけしに似ている自分の顔を最大限に活用し、こけしのように耳の横にツーッと髪を伸ばし、こけしのようにあまり表情を動かさず、こけしのようにツルッとした服をいつも着ている「動き、時々思い出したように喋るこけし」だ。
 そのこけし女にどうやらオヤジは一目惚れしてしまったようだ。
 さすが両者時代錯誤同志、相通ずる物があったのだろう。
 そしてそのオヤジが一目惚れした愛の言葉を放つ瞬間を俺達は見てしまった。
「ごちそうさまー」
 会計も済ませ、店を出ようとした時、オヤジはパッとくす美さんの方を見ると、少々頬を染めて、はにかみながらも、こう聞いてきたのだ。

「刀・・・好き?」
「・・・・・・。」

 さすがのこけし女、くす美さんも咄嗟に何の言葉も返せなかった・・・。

7月16日

 暑い。外に出てコールタールに足を取られてそのまま一緒に溶けていくのは嫌なので、一日中家の中で読書。最近読んだ、もしくは読んでる本。小林紀晴の紀行文「ハノイの犬、バンコクの象、ガンガーの火、」、水木しげるのエッセイ「ねぼけ人生」、いとうせいこう編のラジオ台本「マルクス・ラジオ」、西原理恵子・鴨志田穣の旅行記「アジアパー伝」など。どれも読みやすく(俺は読みやすい本しか読まない)なかなか面白い。
 西原さんから著者進呈で送られてきた「アジアパー伝」以外は、みな古本屋で手に入れた本。俺は小学生の頃から週に3回は古本屋に行っている。あの古本屋の独特のカビ臭さが、なんとも俺にはたまらなく合っているんだよなー。最近の大型古本屋はアルコール消毒とかきちんとなされていて、なんかあの独特の臭いがなくて、物足りないんだよなー。あと妙にテキパキとした若い店員の明るい「いらっしゃいませ~ ヨーコソ○○へ!」はファーストフード店だけで充分だろう。やっぱりちょっと偏屈そうなジーさんがひとりで愛想なくムスッとしているのこそ古本屋の本筋だと思うんだよなー。

 マックがいよいよ窮地に追い込まれている。暑い昼間は特にひどく、5分かけて起動して、1分で完全バグ。画面がメチャクチャにぶれたり、壁紙だけ残して一切のアイコンが消えてしまったり。夜は比較的調子が戻ることが多いので、その間に急いでこうしてページをアップしているのだ。さぁ、今日は間に合うか!? これが読めてれば、とりあえずギリギリセーフだったと思ってくれたまへ。

7月15日

 夕方から健さん・くす美さん来てR君と4人で久しぶりのマージャン。でも健さんとくす美さんは日本酒ガンガンに飲んできていたので、へろへろで、「夏の大チョンボ祭り」。いや、構わないんだよ。チョンボは愉快だから本人以外のみんなの気持ちがなごむからね。それに・・・いや~ふたりとも突然のお中元すまんねー。何のお世話もしてないのにねー。遠慮なくいただいておくよ。フフフフフ。

 戦い終わって雑談をする。俺達のまわりでだれが一番すごい才能を持っているか、という話になり、結果選ばれたのは3名。くぼあつこさん・Gさん・クニちゃん。くぼさんとGさんはシンガーソングライターとして。クニちゃんは「食卓カルタ」他総合評価として。この3人、方向性はまるで違うのだが、ひとつの大きな共通点がある。それは「ある種すごいことをやっているのだが、それと自分のキャラクターが微妙にズレている点があり、それを本人が半分は理解し、半分は全くわかっていない」という点だ。そしてそれが絶妙な「作品のモワレ状態を作っている」のだ。確かに作品だけ見れば才能のある人は他にいくらでもいるのだが、たいていは本人がちゃんと意図していて、その意図の元、ある程度「演出」されて成果を生むのだが、この3人はそこに天然の淡々とした状態が入り込み、なんともいえない不思議な結果を産み出しているのだ。全員、ニヒル牛に作品が置いてあるので、興味を持った人はその作品を見たり聴いたりすることは出来るが、その真の意味での「凄さ」はライブを見て初めてわかることなのかもしれない。尚、天才の常として、この3人、出来不出来の差が激しい、ということも一言付け加えておこう。とにかく、注目に値する3人だ。

 朝方メールチェックすると、ネパールのアヤコさんから、「メール開通」のお知らせ。数日前、ソーメンの話とかこの日記に書いて羨ましがらせたが、あっちでは「夏といえば・・・ダルバート(豆カレー)」って、ネパールは春も夏も秋も冬もダルバートだろっ!!
 ちなみに先日、茨城の実家から夏野菜が送られてきた。インゲン、トマト、ナス、紫タマネギ・・・。和え物にしたりサラダにしたり。うまいんだなー、これが。ふーっ、やっぱり夏は、日本に限るなー。(とイジワルしてみる) そーいや、アフリカからもファンらしき人からメールが来ていたな。「Iam from Africa. Mr.Isikawa looks like my daddy.」とだけ書いてあった。なんのこっちゃ・・・。

  7月14日

 今日も事務所の引っ越し整理。よーやく片づいてきた。舞台の大道具で作った大きな玉が事務所にでかすぎて置けきらず、ビル内の俺たちの借りてない空き部屋の目立たない場所にそっと隠す。ドアのところからはちょうど死角になって見えないところなのさー。ふふふふふ。かる~いズルって、ちょっと好き。でも大家が見つけたら、謎の球体物体発見に、しばし頭にクエスチョンしちゃうかもなー。

 今年の後半は、ツアーというほど大規模ではないけど、なるべく地方にひょいひょい気軽に出かけて行ってライブしよう、と打ち合わせする。なので地方の人は、もうちょいと待っててね。あと、学園祭とか秋祭りの実行委員をやっている貴方! まだいくらか空いている日にちがあるので、すぐに企画立てて0426-21-5133たま企画室マネージャー・溝端まで連絡しとくれ。いいライブしまっせ~。

7月13日

 俺の部屋にはクーラーも扇風機もなく、ものの1分で全身玉汗人間1号になって息絶えてしまう完全サウナ。なので、昼から喫茶店に行って息をピューッと吹き返す。ニヒル牛に出している「ポエム・フォー・ユー」という「あなたの付けたタイトルで詩を書きます」がたまっているのでそれを書いたり、とうじ魔(とうじ)さんに頼まれたCDのレビューを書いたりする。

 そういえば突然思い出したが、今日は小中と同級生だったサッチンの誕生日だな。俺の誕生日のちょうど10日後なので憶えやすいのだ。小学生の時「旅協同組合」を作って自転車でふたりで知らない道をどこまでも行ったり、中学の時「安山・南山」という漫才コンビを組んで、ものすごいエゲツナイ公開交換日記をつけてクラス中に見せて毎日話題を振りまいたり、大学の頃は学校は違ったけど同じ高円寺に住んでいて、高円寺内で引っ越しをするというのでリヤカーを借りて一気にふたりで荷物積んで運び出したら、道の真ん中でリヤカーが転倒して、家財道具一切合切が道で思いっきり店開きしてしばしボーゼンとしたりと、思い出はつきない俺の友だちだが、ここ数年連絡を取ってないな。子供が産まれたところまでは知っているけど、最近はどこでなにしてるのかな。
 昔、「コゲパン」とも呼ばれていた、男なのに「俺、乳首が一番感じるんだ」とほざいていたサッチンの名前にピンと来たら110番、じゃなくてその頃の友達がもし今これを見ていたら、メールをちょーだいね。まさかサッチン本人は見てないだろーけどな。インターネットとかやりそうじゃねーからな~、奴は。

7月12日

 昼は事務所で引っ越し作業。「フンゴーッ」と気合い入れて段ボールを運ぶ。体重はあるけど意外なほどか細い腕の俺にゃあ、力も根性もからっきしないけど、俺達がやらねば他に誰もやる人のいない中小企業、がんばってメンバー自ら運びますよ。
 で、運ぶのはいいんだけど、たいていは昔のアイドル(?)時代の雑誌の切り抜き資料とか、なんかよくわからない領収書の束とか、無数のファンクラブ会報用に撮った整理もされていないオチャラケタ顔を作ったスナップ写真とか、もう絶対売れない古いカレンダーや下敷とかうちわとかのしょーもないグッズとか、ファンの人から送られてきた俺達の顔を描いてくれてどうもありがとうでも飾る気はあんまりしないんだだって自分のでっかい顔なんてあんまり見たくないんだもんの絵だとか、資料用に録ったもう聞いたり見たりすることはほぼないであろうぼーだいな量のカセットテープやビデオテープとか、半分以上は捨てたいけど捨てられないビミョーな物ばかり。あぁ、ぜーんぶ捨てて心はアッパレ日本晴れですっきりしたい!! トロフィーや楯なんかも飾るなんてかっこ悪いことはしたくないしなー。でも捨てる勇気もない小心メンバーなので全部運んできちまったのよねー。
 まだクーラーが付いてないので、汗が顔と言わず体と言わずそこら中にしたたり落ちて、だっらだらのべっとべとで気持ち悪し。しかもそれでせめて風よ吹け! と窓開けっ放しなので、外の列車の轟音がグワタングワタンウゴゴゴゴーッと鳴り響き、戦場のごたる。ごたるぜよ。

 夕方からは、西荻のご存知ニヒル牛へ。六角タワーの中もほとんど埋まってきて、さらに充実。でも意外に「なんじゃい、こりゃあぁぁぁぁぁぁっ!!」というとんでもない物を作る人は世間にはあまり多くない、という実感もある。ま、とんでもない物はまず売れないんだけどな。それは確かなんだけど、もうちょっと素人ならではの「規格外」的なブットビ物があると面白いな。

 晩飯はR君と上石神井の台湾料理屋「岩虎」へ。
 カウンターにひとり、盲目のおっさんがいて、隣の席の人と話していた。
 で、あまりにニコニコ話しているので、マスターが、
「隣の人の顔ぐらいは見えるの?」
 と聞いたら、
「見えたら苦労しませんよ。ただ、黒い影が、ぼやーっとあるだけですよ」
 と言っていた。
 そうか。盲人は、ぼんやりとした影の世界で生きているんだなー。同じように酒を飲んでいても、全く違う世界にいるんだなー、と思った。でも逆に、俺たちが普通に見える物は見えないだろうけど、俺達が「見られない物」も実はたくさん見ているんじゃないかなー、ともふと思った。


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