石ヤンのテキトー日記00年6月(2)

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6月30日

 本日は久しぶりに何も用事がないので、自転車にてふらふら散歩。100円ショップを覗いてなにかニヒル牛で新しい作品の素材になるもんはないかいなーと探してみたり、今日まで割り引きセールをやっている漫画喫茶でウダウダしてインターネットも出来るのでやってみたら家のパソコンよりページが出るのが5倍くらい早くて、あぁこれならこの間のバグ直しも4時間ぐらいで出来たろうになぁ、とふぅぅぅと遠い目をしてみたり、古本屋をひやかして一冊50円の原田宗典の「こんなものを買った」と杉浦日向子の「東京イワシ頭」を手に入れてみたり。暑い中、ぼーっと自転車に乗って茶畑の横かなんかを走っていると、ひゅるりひゅるひゅると一陣の風が心地よい。なんかぼーんやりと幸福な時間だった。

 家に帰って、ハッと思いついて、ベンチャーズのCD(買った覚えがないのに何故かあった)をテケテケかけながら、オリジナル・エアロビクス「顔の表情付き」を5曲ぐらい激しく踊って汗をだらだらかく。ある人に40(才)の坂は予想以上に険しくて、体力的にも精神的にもガクリとなることがあるので、エアロビクスはお薦めだと言われたからだ。しかしそんな教室に通う度胸はとーてーないので、とにかく体をやたらめったら動かせばいいんだろうと、ひとりでいろいろと動かしてみたのだ。ブルンブルンのギクシャクギクシャク、フゴーフゴー、テケレッツのパッ。人間はどうあがいても年にはかなわないのはまぎれもない事実なので、なんとか少ないスタミナでも馬鹿馬鹿しく体が動くように考えないとな。・・・なんせ、それが俺の仕事だからな。

6月29日

 夕方よりニヒル牛へ。店内狭いので大混雑も知久君・広瀬君・笹山さん・あずささん・ネパールからのアヤコさんと友達多し。昼間にはメリィさんや坂本さんも納品に来たという。Gさんも初めてやってきて「俺の置く物の構想がまとまったよ」と不敵な笑いを浮かべていたという。さらには作家の方たちも顔を出すので、一種のサロンと化している。でももちろん一般のお客さんも淡々と作品を見ているので、混沌としたなーんか不思議な空間になりつつある。そういえば、メリィさんの新作「電動式クジャク羽根」の意味なしオブジェはかなりいいぞ。

 店内にてマネージャーと出版社の方と打ち合わせ。そのままちょいと飲みに行きますか、ということになり、いつも駅から来る平和通りの途中にあり、気になっていた「350円均一・JAZZ酒場又右衛門」というところに入ってみる。
 立て付けがちょっと悪いドアをガタピシいわせて店内に入ると、いきなりそこには羽織袴姿の武士が、刀を研いでギラリとした眼でこちらを振り返った・・・。
 いやっ、嘘じゃない。どうやらマスターは本当に剣術の達人で、店内の張り紙に「剣術教室」の文字も。そして店内にはジャズが流れ、奇妙な雰囲気のまま、テーブルがわりになっている透明なピアノの席に通され、酎ハイと焼き鳥を頼む。こっそりマスターの姿を見ると、脇差しも立派につけた、完全な武士。完全な武士が酎ハイを作っている。完全な武士が焼き鳥を焼いている。しかし注文に応じている時以外は、もちろん完全な武士は常に「シューッシューッ」と刀研ぎに余念がない。まさか「この焼き鳥、焼きが甘いな・・・」などと言おうものなら、次の瞬間、己の首が遙か遠くに血しぶきとともに飛んでいくわけではあるまいな・・・。だって、本当に真剣を脇に差しながら無言でおつまみを持ってくるんだから。でも安くて旨くて満足。西荻に来たら、ぜひ一度は寄ってみるよーに。

6月28日

 マンダラ2にてたまライブ。雨なのに超満員で嬉しい。しかもお店の人によると「見たことない客(つまり常連さんじゃない、ということね)が多い」との事。男性の割合も以前よりグンと増えている。いったいどーいうきっかけでたまを初めて見にくるのであろーか。はっきりいって最近はテレビとかにもほとんど出ていないし、ヒット曲があるわけでもないのに。宣伝もこれといってしてないし。でもライブのテンションは落ちていないと思うので、口コミで来てくれているなら、嬉しいな。たまのライブはその「同じライブは2度となし・ハプニングてんこもり性」では、決して損はさせねえぜ。

 本日のサポートはロケットマツさん。言わずと知れたパスカルズのバンマスだ。「らんちう」ではセリフ(?)を叫んでくれ、「おなかパンパン」では俺が顔面指導(!)したとおりの素晴らしい顔で演奏してくれた。俺も「南風」の間奏で『唇人間』になってメンバーにキスしてまわって、3番になったので急いで自分のパーカッションに戻ろうとして、壁に肘をズジャーッと擦りむき、「326」で知久君とマツさんが体をクネらせながらセッションしているのを見て、俺も加わろうと鶏の形の笛を吹きながら前に飛び上がって出ようとしたら、天井に頭をゴワンと打ち付けたりしながらもがんばった。がんばったともさ。

 打ち上げは吉祥寺「168(イロハ)」阿佐ヶ谷「8039(パオサンキュー)」とはしご。足すと8207だな。明け方、帰宅。

6月27日

 明日のライブの為のリハーサル。結構みっちりやるが、睡眠不足で眠くてフニャフニャのクラゲさん状態でみんなにめーわくかけた。前日たっぷり寝てしまってそれは別にグースカしてて気持ち良いのだが、すると次の日ちっとも眠れない、というのが子供の頃からの俺の体の不器用なところだ。今日も明け方5時ぐらいから寝ようとしたが目が意味もなくギンギラギンにさりげなく開かれ、もうとっくに世間の人々が出勤し終わって朝礼や点呼、ラジオ体操もイチニーサンシと終え、会議のひとつも始まろうとする朝10時によーやくトロンとしてきたものの、お昼の2時前には起きなくてはならず、ちょびっとつらかった。

 だいたいスタジオでの飯は近くのファミリーマートで弁当とかカップヌードルとかがみんな多いのだが、今日の俺の晩飯は「チーズパン」だ。これはスティック状のあまり味のついていないパンにスライスチーズをホオリャッ!! と捲いて延々それだけをモサモサ食す、というもの。その他におかず等は一切無し。ものすごく単純だが、俺は実は単純な物をただ延々と食すのが結構好きなのだ。
 2,3日前の飯も「豆腐一丁丼」だったしな。これは読んで字のごとく、ライスの上に豆腐一丁をドカンと載せて、ただ醤油をビシャビシャにかけてワシワシ食す、という大胆な物だ。ネギもカツオブシもショウガもねぇ。本当にショウガネエ食い物だが、これも意外とクセになるぜ。嘘だと思ったら、やってみな。なんとなく「俺は男だっ!! 細けえことは気にしねえぜっ!!」という大らかな気分になるぜ。

ドドーン! (波の音)

6月26日
 朝起きたら背中が痛い。どーやら3日前の引っ越し作業の疲れが出たようだ。年を取るごとに体を動かしてから痛くなるまでの時間がどんどん長くなっていくのはどういうわけだ? とにかく痛いので起きるのはあきらめて午後までゆっくり眠って風呂につかってようやく痛みを取るが、今日もやっぱり事務所で引っ越し作業だ、トホホホホ。
 キッチンの奥に何年か前にお中元かなんかでもらったと思われるカルピスがあって、
「まだ飲めるかなぁ」
 と知久君が蓋を開けてみたら、
「ウワッ!!」
 の声。どーやらいったん誰かが蓋を開けてしまってたらしく、真っ白きはずのカルピスがまっ茶色にと変色。ウゲゲゲゲェーッ。ちっともさわやかじゃねぇーっ!!

 もちよった私物のマンガや、いろんなプレゼント品の書籍がいらなくなったので、近くの「ブック・オフ」に3人で売りに行く。6~70冊あって2700円ぐらい。面白かったのは、どーでもよさそうな本が意外に高く(っても150円ぐらいだけど)売れたり、「こりゃ貴重でショ」ってな物が逆に「これは値段がつかないので、お持ち帰りになりますか・・・」と言われたことだ。
 といってもそれもまぁ最初からわかっていたことだけど。そもそも「ブック・オフ」とか「よむよむ」とか最近郊外に出来ている大型古本チェーンは、正確には「古本」ではなくて「新古本屋」だからな。要するに、新しくきれいな本が新刊書籍より安く手に入りますよ、というのが売りだからな。珍本や、初版本などは別に価値がないのだ。そーいう本は所謂昔ながらの「古本屋」に持っていけばそこそこ値段を付けてもらえると思うのだが、いかんせん、このスタジオ近辺にはその手の本当の古本屋がない。結局、値段のつかなかった本も処分してもらうことにしたが、きっとそれらはまとめて担当の人が本来の古本屋に持ち込んだりするんだろうなーっ。くそぉっ。

6月25日

 夕方からニヒル牛へ。たいてい日曜日とかは友達が遊びに来ているので楽しい。本日も健さん、くす美さん、ふたご(あかね・うつお)などが来ていた。ふたごが「まさこ」と書いたボードに匂い袋を貼り付けているので「誰だ、それは!?」と聞いたら、なんとふたごのお母様だという。娘たちが出品しているという話を聞いたら、矢も楯もなくたまらなくなったのだろうか。うーん。ニヒル牛は家族をも巻き込んでいくなー。
 あと、掃除機よりでかい機械をサンプルで持ってきた人がいて、大仰に電源入れて一体なんの機械かと思ったら、「ただコショウをふりかける為だけの機械」でうーむ、なかなかいいぞ、意味がなくて。しかもコショウの蓋は最初から開けておかなくてはならず、ふりかけ終わっても蓋が閉まることもない、というまさに別の意味でのコショウ品だ。ま、ニヒル牛というより俺が時々審査員をやらせてもらってる「たけしの誰でもピカソ」向きの作品だが・・・意味のない動きはなかなか馬鹿馬鹿しくて良いので、7点あげるぞ。

 帰りに上石神井の駅前のマンガ喫茶に行き、「ドラゴンヘッド」を最後まで読む。どーしても「サバイバル」とか「漂流教室」とかパニック物が好きなのは、俺が男子である、数少ない証拠か!?

6月24日

 ホームページの「ニヒル牛」のコンテンツで「写真が見られない」の反応が続々。めそめそ。俺の使っている「インターネット・エクスプローラー」で動作確認して大丈夫だったので、安心してワッハッハーッとプログラムしてたら、もう一方の閲覧ソフトの雄、「ネットスケープナビゲーター」で見られないなんて。(ちなみに俺は略語が嫌いなので「○スケ」なんて言わないぞ! えぇえぇ、言うもんですか)
 ということで、どうせなら写真点数も増やして、コメントも入れられるページにしようと気軽に臨んだら、午後3時から始めて、まぁ途中飯ぐらい食ったものの、終わったのは朝の7時だコケコッコー!! 俺も思わず鳴くぞっ!!
    なんといっても150以上ものページがあるので、ちょっとした誤植や確認作業でも、ボーダイな時間がかかっちまったのだ。もう駄目パソコン画面ちょっと吐きそうウゲゲゲゲーッ。

 ところで、この「石川浩司のひとりでアッハッハー」のトップページの一番上の文字は、みんなどうなってるかな? 実は「インターネット・エクスプローラー」では文字が右から左に流れ、「ネットスケープナビゲーター」だと中央で点滅するのだ。各ソフトごとに違うとそういう遊びが出来るのは面白いが、やっぱりなるべくなら統一してほしいなー。なんせ俺も俺の友だちもマックばっかりなので、「ウインドウズではちゃんと表示されないんです・・・」という苦情がもし来ても、どーすることもできないからなー。たのむぜ、基本は統一してくれよー、金正日さんよーっ。って、違うか。

6月23日

 今日も事務所。「たま通信」の仕事を少しして、あとは引っ越し作業。いつもはたいていスタッフが何人かいたりするのだが、今日は用事でみんな帰ってしまい、メンバー3人だけで黙々と箱詰め。
 途中、作業しながらテレビで宇多田ヒカル見る。実は・・・俺は宇多田ヒカルのファンなのさー! メジャーな物には基本的にあまり興味がなく、みんなが「いい、いい」と言っている物にはついつい「そうですかねー!?」と言ってしまうひねくれ曲がった性格の俺様も、宇多田ヒカルだけは駄目だ。この声質の奥深さには、何度聞いても涙が出そうになっちまうよ。もしかしたら「平成の美空ひばり」みたいなもんか!? まぁ、インターネットで日記もチェックしてるしな・・・。
 あと、宇多田ヒカルは漫画家の西原理恵子嬢と実はすごく似ている。顔もどことなく似ているし、なんといっても性格が酷似。照れ加減、その反動のちょっと粗暴な感じのつっぱり加減。でも実は人に気をすごく使ってるのが丸わかり。頭の回転も早い。とにかくふたりは(宇多田ヒカルには会ってないけど)同じ類の人間と見たぞ、俺は。

6月22日

 リハーサルの為、スタジオへ。自転車が盗まれてから交通手段がないので最寄り駅からタクシーに乗っているのだが、タクシーの運ちゃんはなんであんなに絶妙なのだ!? というのも、必ず、
「ここで降ろしてください」
「はいっ!」
 でキュッと止まった途端、ワンメーターあがるのだ。そして俺はその瞬間、心の中で涙するのだ。
(キュッ、で80円かい、キュッ、で80円かい!! ) と。
 本当、俺みたいな小心者はタクシーには向いていない。80円あれば、マルフクのフーセンガムが、コリスの笛ガムが、おかしカンパニーのベビースターラーメンがいくつも買えるじゃないか、と忸怩忸怩と思ってしまうからだ。
 ま、そんなもなぁ、買わないけどな。
 それがあの「キュッ」の一瞬でフイになっちまうかと重うと、ハンカチ囓って、
「キィィィッ! くやしいぃぃぃ!」
 と叫びたくなってしまうのだ。
 ま、そんなこたぁ、叫ばないけどな。

 帰りにGさんのミニで駅まで送ってもらう途中、Gさんが、
「今日は(みっちり練習して)ちょっと疲れたねー」
 というので、最近甘い物好きになっているGさんを揶揄するつもりで、
「甘い物でも食って疲れ取ったら!?」
 と言って車を降りたところ、そんな話をした自分の方が甘い物を食べたくて食べたくて食べたくて食べたくてたまらなくなって、駅に行ったらちょうど電車出たところであと20分も来ないのをいいことに、「なんだ、それじゃしょうがない」と近くのセブンイレブンに脱兎のごとく頭から飛び込んで白玉ぜんざい180円也を有無をも言わさず買い求め、駅のホームにあるベンチにシュウゥゥゥゥッと走って座り込み、他の客と視線を合わせないように下を向いてモサモサ白玉ぜんざいをプニュプニュとプラスチックのスプーンで食っている自分は、我ながら格好悪いな、と思った。思ったが、こんな単純な欲望に40近くなっても忠実な下部になっている自分をちょっとかわいくも思った。でもやっぱり俺のことを知っている人には見られたくないな、誰も俺のことを見ないでおくれとも思った。でも例え誰か気づいても日本人は優しいので、きっと白玉ぜんざいをホームでかっこんでいる「たまのランニング」のことは、みんな見て見ぬ振りしてくれるだろう、とも思った。そんな風にいろんなことを思って、白玉ぜんざい180円也を食べ終えた。・・・うまかった。

6月21日

 事務所へ。引っ越しの片づけ。個人の引っ越しとは違い、事務所だと、いちいち捨てていいかどうか全員に確認を取ってからじゃないと捨てられない物が多く、時間がかかる。プレゼント品などは、そもそも誰の元に届けられたのか今となっては判然としない物も多く、かといって捨てるのには忍びない絵画とかもあり、馬鹿なのでみんなで雁首そろえて困り果てる。あと、変な取っ手とか、変な部品とか、変な蓋とか、歯ブラシ大量とか、なんであるのかよくわからない。

 義母の美重子さんが、夏のちょっとさわやかな帽子をプレゼントしてくれる。俺は頭の先がとがっている。つまりはイコール頭が小さいので、なかなかに普通の紳士物では合う物が少ないのだが、これはバッチリ。オシャレに町を闊歩するぜ。
 そういえば、この間、何故か理由はよくわからないが、「抱き枕」もプレゼントしてくれた。抱き枕は抱き枕としては使っていないが、寝ながらもゴロゴロせわしなく右へ左へ忙しく動く癖のある俺は、抱き枕をしていればどっちに転がっても常に頭の上にちゃんと枕があるのでバッチリ幸福だ。義母の美重子さんよ、今夜もどうもありがとう。


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