テキトー日記03年6月(2)

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6月16日(月)

 PLタワーに2度目の挑戦で、富田林に。
 このタワーはいつもこの地方に来る度に凄く気になっていて、というか普通の感覚をしている日本人なら誰だって気になるはずのタワーなのだ。
 なんせ日本で唯一のガウディ調というかラピュタというかなんというかすんげーグニャグニャの真っ白なタワー、しかも見た目だがおそらく通天閣なんかよりよっぽどでっかい。そんなタワーなのだが、野球で有名なPL(ピンクレディじゃないよ、パーフェクトリバティだよ)のタワー、つまり新興宗教施設なのですんげえ目立つ建物なのに、ガイドブックとかにもほとんど紹介されないのだ。
 そして以前、この付近でたまのライブがあった時、Gさんらと「行ってみよう」とチャレンジしたが、どーしてもそのタワーはすぐそこに見えるのだが、近づいたと思ったらいつのまにか通り過ぎている。まわりを一周してもどこにも入り口がない、というまさに謎のタワーだったのだ。

 俺はどーしてもそれがあきらめきれず、こーして今日は大阪から小一時間かけてやって来たのだ。
 前回はなんせ車だったが、今度は徒歩。
「車で見逃しそうな小さな入り口でもきっと見つけたるでー!」
 と駅からタワーに向かった。どんどんタワーは眼の前にその巨大な勇姿を現す。
 しかし・・・結論から言うと、結果は同じだった・・・。
 近づいたと思ったらいつのまにか通り過ぎており、「じゃあこっちから攻めるか」と思ったらいつのまにか離れていってる。そして歩くこと2時間、俺も遂にギブアップ。
 すぐそこにあるのに、決して辿り着けない・・・。SFの世界。
 いっ、いや、行き方の道順を知っている人、教えてくれなくていい。せっかくの不可思議物件だ。謎は謎のままの方が夢があっていい。なんでも分かってしまっては、かえって面白くないからな。いつか自力で辿り着てたる!
 その日まで、崩れないでいてくれ、PLタワー!!

 永六輔「沖縄からは日本が見える」読む。

6月17日(火)

 夜、元「たま」のマネージャーだったMさんと会う。
「あぁ石川さん。今、わしのまわり女の子いっぱいいまっせー」
 というので、まさかキャバクラとかか!?
 俺、そーいうところ行ったことないんだよね~。
「初めてのキャバクラ」に応募かっ!?
 ちょっとドキドキしながら指定の場所に行くとそこはイチゲンでは絶対入れないような妖しいビル。
 暗い階段をカツコツ上がり、ドアをそーっ開ける。と、小さな店のようだ。そして女の子が5、6人。手にはみんな・・・
 何故かウクレレ!!
「こっ、これはどーいうことですか、Mさん!」
 と言うと、
「あぁ、今わし、ウクレレ教室の先生やってんねん。これ、みんな教え子や」
 ・・・このMさん、「たま」のマネージャーの前は「プレイボーイ」にペンネームでエッセイ連載してたり、「キノコ盆栽」というわけのわからん物の第一人者(というか、他にやってる人いないから第一人者なのだが・・・)だったりの謎のオッサンだ。そして今度はウクレレの先生かいっ!

 きのうのPLタワーと言い、なんでこうも大阪は謎が多いのだ。
 ついでに言えば、阪急の切符の「梅田」の「田」の字もおかしい。おかしいったらおかしい。大阪に行ったら是非みんな確認してくれい・・・。

 田口ランディ「スカートの中の秘密の生活」読む。

6月18日(水)

 ミュージカル「ドント・トラスト・オーバー30」大阪初日。
 東京や名古屋に比べ舞台が狭い為、出はけ口も左右ひとつずつ少なかったり、いろいろと微妙に演出を変えねばならないところもあり、またまたスタッフ・出演者ともに大わらわ。わらわ、わらわじゃー、わらららら!

 北杜夫「マンボウ博士と怪人マブゼ」読む。

6月19日(木)

 昼夜二公演。
 このミュージカルにはフライング、よーするにピーターパンとかエンノスケのよーに空中を飛び回るやつがあるのだが、これは「ハーネス」という物を背中につけて、ピアノ線みたいなもので釣って動かすわけなんだが、これが舞台裏では結構大変な作業。
 なんてったって、40~70Kgぐらいの人を高速で飛ばしたりするのだが、これが全部人力。もちろんコンピューターのもあるようだが、コンピューターは逆に操作ミスがあると暴走したりして結構危険らしいので、少なくとも今回は人力。
 で、それだけの体重の人達を動かすのだから、当然いかつい男達4、5人が現場監督みたいな親方の指示に従って、上に飛ばす時は鉄の階段に素早く飛び乗って、シーソーの要領でエイヤッ! と飛び下りて飛ばしたり、また動きは上下だけじゃないので「横移動」係りの人達と連係プレイで、とにかく慌ただしく、なおかつ命がけの汗が飛び散る現場の職人芸なのだ。
 もし俺がホモっ気があったら、この「男の汗の職人」に絶対クラッとくるな。間違いねえ!
 それほど格好良かった。音楽業界では滅多に見られない、久しぶりの「男の世界」を見た気がしたなー。

 夜はケラさん犬子さん博文さんらと何故かダーツ・バーへ。

 菜摘ひかる「菜摘ひかるの私はカメになりたい」読む。

6月20日(金)

 本番。
 昼、ひとりで会場近くの喫茶店でハンバーグランチを頼んだら、形は違うが、味が見事にあぁ懐かしやーの「イシイのチキンハンバーグ」そのまんま!!
 あきれるというより、かえってふいうちバキューンで嬉しくなってしまった。「チープ故の美味しさ」ってあるよねー。本当に大阪はいろいろ意外なことがあって楽しいにゃー。しばらく住んでみたいなー。一生住みたいとは思わぬところが味噌だが・・・。魅力あるよなー。

 ジョン・ロバートソン「ビートルズ全曲解説」読む。

6月21日(土)

 本番。
 夜、1日早い全員打ち上げ。
 何故なら、スタッフの人達は最終日は片づけが朝までかかるからだ。ところが行った店は最後、精をつけてがんばりましょうやっ!! ということか「ニンニク屋」。当然ニンニクが主体の店だ。
 俺達はいい。明日、いくらお互いにセリフごとに「ウグエェェェ!!」となっても。全員共犯者なんだから。
 しかしお客さんは・・・。
「演技、踊り、歌にくわえて臭いまでサービス!!」
 まさに「千秋楽スペシャル」だな。損か得かは知らんがな・・・。

 乃南アサ「鍵」読む。

6月22日(日)

 稽古2ヶ月、本番1ヶ月の計3ヶ月に渡った長かったミュージカル「ドント・トラスト・オーバー30」も遂にこの日、大阪で千秋楽。昼夜公演。
 怪我をした人もちょっとでたりはしたが、まぁ無事に公演も終了。
 カーテンコールでユースケ君、号泣。
 彼もテレビや映画ではおなじみだが、舞台は初めてでなおかつ座長公演なのだ。相当な緊張もあったろう。他人には見せないが。
 もっとも、前の日から「俺、絶対明日は泣きますからね!!」と「泣き宣言」は皆にしまくっていたのだが。
 そして奥菜さんも泣いた。後でマネージャーさんに聞いたところ、奥菜さんは舞台経験は豊富だが、それでも泣いた事はほとんどない、というのだからよほど感慨深いものがあったのだろう。
 とりあえず、お疲れ!!

 ちなみにこの日の昼夜公演のわずかな合間に俺が一番端っこの楽屋にまで聞こえるすざまじいイビキをかいて寝ていたら、ハッと気づくと奥菜さんがカメラでその姿を激写していたけど、それは公表しねーでくだせえっ! 君の青春の記念アルバムに貼って、時々取り出して見ては、フフッと笑ってくだせえ。
 あっ・・・公表は駄目だけど、捨てるのはもっと駄目だぞっ、メグミ!!

 綱島理友「全日本荒唐無稽観光団」読む。

6月23日(月)

 久しぶりに奇矯。いや桔梗。いや気胸。いや帰京。

 俺のいない間、ニヒル牛では「ニヒル牛3周年謝肉祭」が行われていて、店内に数十個の長い靴下がぶら下がって客がそれをチョン切れる日があったり、小川テツオという男がただ店内に段ボール敷いて寝転がってたり、炊飯器で飯を炊いて食ったりのパフォーマンス(?)の日があったりと、もし初めてニヒル牛に来た人がいたら、ギョッギョギョギョッとなるシーンが次々と展開されていたようだ。
 今後も予想のつかない「なんじゃこりゃ」店を目指しまっせー。
 あっ、でもこれから初めて来ようという人、別に怖い店じゃないですので、躊躇しないで大丈夫でーす。
 ひやかしも大歓迎でーす。もちろん買ってくれる人は店員の頭の中ではクラッカーがさり気なくパンパーンと破裂するほど大歓迎ですが。ほのぼのと、馬鹿な店をよろしゅー。

 綱島理友「お瑣末探偵団」読む。

6月24日(火)

 突然段ボールの兄が体調がすぐれず、医者が言うにはもうステージでのパフォーマンスは無理とのこと。
 俺の創作活動に、そのパフォーマンスも含めて多大なる影響を与えてくれた人なだけに残念。
 ステージに、汚い作業着来たまま自転車普通にこいで現れた時は驚いたなー。しかも全然演技ぽくなく。
 だが、今後もスタジオ作業は行うとのこと。ちょっとほっとした。無理しない程度にがんばってくだせえ、親方!
 ちなみに俺と合作の「ワカラナイ」というアルバムで叫び声を担当してくれた当時小学生だった息子のクリア君は、今は大学生になり、クリア・アルファという名でデビューしたそうだ。
 なんか人の子供の成長って、無茶苦茶早い気がするんだよなー。

 「大岡信詩集」読む。

6月25日(水)

 このホームページの取材で「ぴあ」に。ライターの方に、
「アーチストのホームページでも、ここまでやる人誰もいませんよ」
 と誉められ、嬉しい。
 しかし逆に考えれば「ここまでやる馬鹿、誰もいませんよ」とも言える。
 それなら、尚嬉しい。

 「中村稔詩集」読む。

6月26日(木)

 ビデオで昔の映画「アジャパー天国」見る。トニー谷が出演となっていたので期待していたら、彼が出たのはほんの2分程度。ひどいーっ。詐欺じゃ~っ。

 ホームページを見てみたら、画像のホームページがななななんと、全部消滅していた。
 メインに使っているホームページではメモリ容量が足りないので、別の無料サイトを見つけてリンクしておいたものだ。何百枚もの写真をせっせとアップしたのに・・・。ウギャー!! いやいやえん!
 こっちの方がよっぽどアジャパーだぜ・・・。

 群ようこ「ヒヨコの蠅叩き」読む。

6月27日(金)

 国分寺の駅で車両故障とかで、ホームのベンチに座って待っていたら、突然50才ぐらいのオバハンが俺の前に立つやキッと睨まれて、
「あたし、腰痛なんだけどっ!!」
 と、強引にどかされる。
 あの~、腰痛はしょうがないですけど、言い方ってものが・・・。
 しかも他の席には明らかに俺より若い人達が座っている。
「こいつなら、どかせられるなっ!」
 とオバハンの獣の直感で気づいたのでしょうか。
 まっ、実際、
「あっ、はい」
 とか言ってそそくさとどいたんですがね・・・。

 「安西均詩集」読む。

6月28日(土)

 ワーイ、熱が~出た出た、熱がぁーー出た~~あっ、ヨイヨイ。
 でもこれはしょーがないのだ。まじで虚弱体質なので、昔から必ず大きな仕事がひとつ終わると熱をだすか、身体のどこかに故障がでてしまうのじゃ~。よろよろ。まー、いつもたいしたことはないから癖みたいなものだけんども。
 たぶん意識してないところでテンションがボワーンと上がってるので、その緊張が取れた時にフニャフニャ~となってしまうのだろーなー。
 なので、次の発熱予定はたまのラストライブが終わった後です。
 そしてその次はパスカルズのヨーロッパ公演から帰国した時です。
 ぼくって、弱くてカワイイ小動物。きゃぴぴぴびっ!

 椎名誠「旅の紙芝居」読む。

6月29日(日)

 昼は新宿「ミノトール」で朗読CD「雨の日の水族館」発売記念の朗読会。
 夜は西荻「ニヒル牛」で「へなちょこ物語朗読会」と朗読二連チャン。オッチャン、オバチャン、アグネスチャン。

 葛西瑞絵「雨の日の水族館」読む。お客さんの前で。

6月30日(月)

 「ドントラ」メンバーみんなにお疲れ様でしたメール送る。
 本来、年賀状も書かないタチなのでほんの気紛れなのだが。なにせ、もしかしたらもうあまり今後会うことのない可能性の人も多い気がして。なんとなく。
 芝居って、やっている間は濃密な時間を長く一緒にいるのに、終わるといきなりバッと会わなくなってしまうので、なんか夢みたいなんだよね。

 で、あとひとつの理由としては、公演の最後にみんなのプライベートの連絡先を書いた物を交換しあったから。せっかくだからちょっとお疲れ様、言おうと。
 しかしその「連絡先記入帳」には、項目には3つしかなかった。つまり氏名、携帯電話番号、メールアドレス。
 俺は携帯電話は不所持なもののギリギリパソコンのメールアドレスがあったが、知久君、Gさんは携帯電話なし、パソコンもなしなのでつまるところメールアドレスもなし。書くとこ、氏名だけ・・・。
 いっ、意味なーしっ!!
 まっ、いいのさ。どーせ俺達アナクロ族さっ!! 世間からどんどんどんどん離れていって「昭和」を守り続けるぜっ!

 渡辺淳一「遠い過去近い過去」読む。


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