誰も起きてこないよ

(CD「おいしいうそがいっぱい/石川浩司」収録)
            
真っ赤に塗られた歩道橋の夜はガタゴトのたうつ洗濯機だ
街路灯の柱にはセミのようにマネキン10人眠っているよ

ハイキングに出かける水子達
リュックサックにはお菓子がたくさん詰まってる
その頃その森じゃテングの鼻が伸びすぎて
木にひっかかってテングが森から出られない

真夏の105人の兵士達が
ロシアに向かって帰ろうとしたけれど
子供の捨てたチューインガムが長靴の裏にへばりついて
離れなくなってロバになった太った男の夢を見てうなされる
 
町ほどの大きさのオートバイが一台
歩道橋の下を轟音を立てて通り抜けていった
裏道にある埃っぽい爺さんの経営する時計屋の
全部の目覚まし時計がひょんな時間に一勢に鳴り始めたけれど
誰も 誰も起きてはこなかったんだ

誰も起きてはこないのさ 誰も起きてはこないよ
誰も起きてはこなのさ  
こんなに騒いでいるのにね・・・


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