汽車には誰も乗っていない

(CD「汽車には誰も乗っていない/たま」収録)

           
僕は今片足をひきずって
街のはずれを歩いている
印刷ずれした黒い鉄路
小児科医院の灯りは暗い

真夜中の似顔絵描きが現われないうちに

どこかで鉄が錆びている
乾いた砂ぼこりが懐かしい
永遠のだいだい色の中に
何匹もカラスがやってくる

真夜中の似顔絵描きが笑わないうちに

駄菓子屋が今を越えて
ガラスの風ほほにつき刺さるよ
誰かの家少女のピアノの音
星を見るのは怖すぎるよ

真夜中の似顔絵描きが僕を見ている


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