テキトー日記87年7月
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7月1日
野方青年館「街探検クラブ」の講座(広瀬勉、徳山雅記講師)にゲストでコレクション展示。
空き缶、麺日記、納豆、マスク、スナック菓子、菓子パン、来客コレクション(スーパーボール)と脈絡無くB級コレクションの展示。
後、野方「ロマネスク」で飲み、広瀬、楢橋部屋に来て納豆で再度飲むが、いつのまにか眠ってしまった。
7月2日
バイト終えて10時過ぎ帰ってくるがひどい頭痛。会議の原稿書かなくてはいけないがダウンする。
横では、健さん、山下さん、水上さん、マージャンはじめ、青木さんも寝ている。
痛い、っちゅうに。
7月3日
まだ頭痛し。亜古ヤン、徳山君など原稿持ってくるが、まだヤギのくちすら書けていない。なんとか薬屋に行って頭痛薬を買い、強引におさめる。山下さんにコピー行ってもらう。R君、たかやまさん、古賀さん、水上さんと来て、会議制作。
後グッドマンにて「地下生活者の夜 第52話」。
久しぶりの中村順一、久しぶりの笹山照雄、毎度おなじみ徳山雅記スライドショー、そして僕のソロ。水上さんに横でリンゴむいてもらって歌ったり、カブラギにとんでもない格好で踊ってもらったりした。新聞を破く音を楽器にした歌等も歌った。
後「鬼無里」で打ち上げ。部屋に戻って山下、カブラギ、健さんとマージャンと、昼間とはうってかわっての元気。あー、今日で26才になりました。
7月4日
山下、カブラギ、島田、古賀とモカで飯食ったあと、新宿駅でクニちゃんと待ち合わせて、川崎のフルーツパークというところに全員で行く。途中道がよくわからず、畑の中や変な住宅街うろつく。みんな疲れてきたので「行こう」と言い出しっぺの僕と島田さんは、延々と冗談を言い続け、みんなの気をまぎらわすのに大わらわじゃー。
で、やっと着いたが、ようはただの梨園やないけー! 一応小さな博物館があって、出荷するフルーツに貼るちゃちな包装紙等が展示されていて、俺はそれなりにそのちゃちさが面白かったが、一般の人にはどうなんだ!?
今日が今年初日という固い桃食って山道抜けて、小田急読売ランド前でフラッペで頭が冷えて痛いよーで、そのまま新宿に出て、バイト泊まり。
7月5日
埼京線の十条に、夕方、R君、笹山さん、SEIKOさんと待ち合わせして、「廃墟めぐりツアー」。十条と赤羽の間に、突如谷底に沈む感じの廃墟部落へ潜入。一部は火事の為焼けこげ、そのまま放置されてる家も。仕入れてきた焼き鳥とビールで、トタンの上に新聞紙引いて乾杯。木の電柱には裸電球。まるっきり戦後の世界。異様に猫が多い。
それから駄菓子屋や無人アパート、中国風石造り山門など見つけてうろうろ観光、赤羽へ。
R君とは池袋の友達の家に寄ってから帰る。
7月6日
夕方、R君と古賀さんち行ったりしてうだうだする。
夜中、アフタービートにてたま練習。後、柳ちゃん、知久君と「つぼ八」で朝5時まで飲む。
7月7日
バイト泊まり。南伸坊「哲学的」読む。
7月8日
Gさんの車で玉川学園の練習場へ。ちょうど練習が終わろうとした時、付近住民の高岡(建築家)から、
「てめーら、太鼓の音うるせぇ!」
の苦情の電話あり。嗚呼、また場所換えか。
高円寺に戻ると、また一直線に柳ちゃん、知久君と「鬼無里」へ。「ちょっと一杯」が一杯ですんだ例は、今までない。
7月9日
夜はバイト。名古屋より少年王者館の田岡さん来たので、夜中は「一休」にて、知久、マルタ君、亜古ヤン、あかねとまじえて、今宵もベロベロ、ベーロベロ。
7月10日
R君と市ヶ谷で待ち合わせして、渋谷にプラネタリウムを見に行く。お話のおじさんがいかにも学校の先生という感じで、懐かしかった。渋谷の町をうろつき、飲み屋でネギトロを逆さにする。
高円寺に戻って、亜古ヤンちでまた飲む。後、R君と、亜古ヤンの家にいたミニコミ「桃の月」同人の小川さん、宮口さんの女4人で僕の部屋来てウダウダしていると、その女の匂いを嗅ぎつけた山下、健、永尾、島田の面々が夜中の2時過ぎ怒号とともになだれ込んできたので、一杯だけ茶をめぐんで、とっととお引き取り願った。
7月11日
バイト日勤・帰り。夜中、山下、飯塚、水上と来て早速マージャン。富山から大谷も来るが、寝られないと古賀さんちに行ってしまった。
6年前の缶ジュース飲ませたら、飯塚突如苦しみだし、バッタと倒れたので、しょうがねえな～、と3人でマージャン続行する。
7月12日
昼過ぎモカ行ってから、また山下、飯塚と打つ。勝ったが、飯塚金持ってない。
大谷、僕のギター借りて「あるぽらん」でライブ。人はたくさん入ったが、ライブはイマイチ。
後、大谷、健さん、カブラギ、水上さん、たかやまさんと飲む。
部屋に戻ると、さっき分かれて、二子新地の自宅に帰ったはずの山下さん、何故か生還してきて、極道6人揃い踏み。打って打って打ちまくる。
7月13日
バイト少しだけしてから、市ヶ谷でR君、大谷、とっちゃん、カブラギと待ち合わせ。マイナー1号(※注・大谷の娘で、みのりちゃん。ローマ字で書くとminori＝マイナー1号)もとっちゃんの腹にくくりつけられていて、まだ宇宙人の顔だった。表情の変化が激しいが、おとなしい。どんな子に育つやら。
そのまま上野に行って大谷・とっちゃん見送り。駅の真ん中で大谷、ガラスの哺乳瓶を激しく割る。
後、R君、カブラギと上野で飯食って、カブラギ仕事に行く。
それからR君とふたりでアメ横でズボンを買い、上野公園でリアルな鯨を見て、下谷の街を徘徊する。
古ぼけた一軒の飲み屋に入ると77才の老人がひとりで店をやっている。ビール旨し。壁に、
「飲食代はひとり2500円以内にして下さい」
「うたはうたわぬように」
「9時半閉店」
で、店の真ん中に樽がドーンと置いてあって、昔ながらが実に良い。気に入った。
後、夜11時からアフタービートにてたま練習。終わって、知久、柳ちゃんと自転車でぼそぼそ走ってると、おまーりに止められる。「つぼ八」で朝までまた飲む。
下谷で買った300円のおもちゃのレール付きゼンマイ機関車は、あっという間に壊れた。
7月14日
バイト後、R君と高円寺駅前市場へ。まぜご飯、きんぴら、ニラ炒め、納豆汁で飯。亜古ヤンちより掃除機借りてきて、部屋掃除する。掃除機のホースを首に巻いて傘をさしながら街を闊歩すると、人はよけて通る。
R君を野方の駅まで送って、帰りレンタルビデオ屋を覗くが、どこもベータの品揃えが悪くてプンプンする。
夜中2時半頃、ひとりジュース狩りに真っ暗な早稲田通りを西に向かう。今回はリストを持っていき、メジャーのジュースの買い洩れのおさえにまわった。例の如く、朝刊を読んでから、寝に入る。
7月15日
扇風機もない40度の傾いたこの部屋は、1時間おきに僕をまどろみからカクセーさせる。昼は家具屋に行ってプラスチックのボックスを買ってきて缶ジュースの整理をする。夕方からは納豆詩集の作成。夜12時よりアフタービートにてたま練習。後、朝まで「つぼ八」ベロベロ。
7月16日
いい。これはいい。クーラーのある知久家にて、ウダウダ。玄米ご飯に生卵を恵んでもらって、食う。
夜、マンダラ2にてたまライブ。本日は曲順を決めず、曲順を書いた紙を小俣君にステージ上でシャッフルしてもらって、出た曲をやる、ということに。1曲目にいきなり「こわれた」はやはり普通では思いつかない選曲。紙を見てから、メンバーがいちいちあわてて、その曲の準備をする。
僕は台の上にブタの蚊取り線香とうちわを置いて、さらに瓶ビールをコップにそそいでの、「夏だね～」モードライブ。
吉祥寺「養老の瀧」高円寺「鬼無里」と今日も今日とて夜は長し。トテチンシャン。
7月17日
昼過ぎ、水上さん部屋に来てウダウダ。バイト後、R君と待ち合わせて巣鴨へ。道すじの寺で、でっかい地蔵と笑い象と逆立ち狛犬を見てから、「ときわ食堂」で腹をパンパンにして、でっかい駄菓子屋のくじで当たるは、その店のサンデー引換券で、またこの町に来なくてはならないなー、と思う。板橋まで歩いて、池袋で少しウダウダしてから帰宅。
夜中、三上寛「上京入門」読む。
7月18日
昼から夜10時までバイト。
帰ってくると健さんが、「ドライブに行こう」で古賀さんがバイトをしている松屋で飯をかっくらってから、午前1時出発。練馬の付近で「知らない道を行ってみよう」で細い道をグルグル。結構、不気味。埼玉に抜けて、またわざと道に迷ったりしてキャッキャッしていると、延々と新興住宅地がゴーストタウンのようにつづく「鳩山ニュータウン」が突如のウエストコースト風にあらわれ、現実感がない。田んぼと畑ばかりの田舎道をグニャグニャ曲がったら坂戸に着いた。そして入間を過ぎ、帰りは意外と早く着いた。4時半頃戻って、2人でマージャン。朝9時頃になってから、寝た。
7月19日
バイト泊まり。雨なので患者少ない。
尾辻克彦「優柔不断読本」
神崎清「山谷ドヤ街」
藤原マキ「幸せって何?」
と暇にまかせて本をむさぼり読む。
7月20日
夕方、R君現れて一緒にザ・フーの「トミー」のビデオ見る。
午前0時よりアフタービートにてたま練習。
後はもちろん、閉店の朝5時まで「つぼ八」で飲む。
7月21日
バイト帰り。帰ってウダウダしてると、飯塚来る。酒飲んで、散歩に出る。
南口の公園のところで休んでたら、背広を着た60過ぎの老紳士が突然ひとりで歩いてきて、僕らの方を見て、
「わかりました。もうわかりました」
と静かに微笑んだので、あぁ、この人は今、悟ったんだなぁ、とほのぼのと見上げていると、飯塚が意味不明に突然怒りだし、
「ジジィ、早くあっち行けよ! おらっ!」
と怒鳴ったので、老紳士は植木の方に行って静かに立ち小便をして、去ってゆきました。
後、7/12のマージャンの借金を8月末までに全額返済することを条件に飯塚に「桃太郎寿司」をおごる。
部屋に帰る途中で、近所のチビ黒猫をつかまえて、首輪の背中に、先日恐山で買ったリアルな地蔵の形をしたお菓子をくくりつけ、逃げていく姿は、ちょっとシュール。
7月22日
R君と夕方、京浜急行に乗って逗子へ行く。R君は僕の部屋で得体の知れない虫に刺されて(ちなみに僕はひとっつも刺されーん)足首がプクプクにはれて、皮膚科の医者に行ったと、両足に包帯を巻いて登場。もう陽が落ちて暗くなった海に裸足になってチャプチャプ遊んだが、包帯が濡れたので、陸に上がる階段のところで、包帯を解いた。
「京樽」で飯を食って、バス停を探して歩いたけど、ないので、お屋敷の多い住宅街に紛れ込んで、酒屋で珍しいジュースなど買っていると、バス停のある小道に突然出たので、バスに乗って鎌倉へ。バスは途中から客は僕らだけになった。そして江ノ電で藤沢、小田急で新宿、西武線に乗って所沢に帰るR君を見送って、野方より歩いて帰る。
帰ると山下さん来ていて、ふたりでマージャン。朝6時頃カブラギ来て3人でマージャン。8時過ぎまで打ったので、寝る頃にゃすっかりおてんとさん頭の上で、暑くて1時間おきに目が覚めてしまう。
7月23日
バイト帰り。夜11時頃帰ってきたら、朝仕事に行った山下さん戻ってきて、夜中の1時頃よりマージャン。3時過ぎにやめて、ラーメン食って、山下さん寝たので、今、朝5時過ぎ、ひとりビールとウイスキーでヘベレケに酔いながら、この日記を書いている。
7月24日
バイト泊まり。
宮脇俊三「旅の終わりは個室寝台車」
嵐山光三郎編「インスタントラーメン読本」
末井昭「東京爆発小僧」読む。
7月25日
朝10時頃バイトより帰ってきて、チューハイ飲んで寝る。午後、目を覚ますと凄い雷雨。カミナリはかなり近くを長いこと来襲、アパートが揺れる。今日は本当は江ノ島の花火大会に行くはずだったが、これでは駄目だな、と思ってたら夕方、さっと晴れ上がる。でも江ノ島は遠いし、国電もストップとのこと。電話待ちとかしてなんとか夕方6時過ぎに、R君と新宿で会い、隅田川の花火大会に行ってみる。すごい人出。公園の植木の中に新聞紙広げて、R君手作りのおにぎりほおばりながら「たまや～」。その後、浅草うろつく。今日は歩きづめで、人ゴミにもまみれて、何だか疲れてしまった。
7月26日
夜0時過ぎに寝て、2時半には起きてしまった。何もすることがないので、ボーッとギターを弾いたりして朝を待ち、朝9時にR君と待ち合わせ。片瀬海岸に海水浴に行った。
片瀬で泳ぐのは、数年前、島田さん、とっちゃん(当時独身)の3人で行って以来、久しぶり。あの時は大谷が「とっち(とっちゃん)の水着姿を俺より先に他の男に見せやがって!」と怒ってたな～。
今日はやけに魚の死んだのが沢山、波間をプカプカと漂ってた。
お昼、境川より江ノ島の岩屋まで300円のポンコツ船に乗る。船頭はジィさんで、切符切りも、船着き場の係員もみなジィさんだった。船にはハンドルもなく、子供用学習机付属の赤い椅子をむりやりくくりつけた操縦席は、船の客が取り巻くど真ん中にあり、船の中央部から伸びた長いカジ棒を、ジィさんは尻であやつって、船を進ませていた。
と、突然沖に出た時、何事かジィさんは叫んで、船を全速力でUターンさせた。すわ、土左衛門かと、客は総立ちになると、
「スズキでねぇか?」
「なんだ、コイだわ」
と、単にでかい魚の死骸を見つけただけで、満席の客を道連れに、Uターンしたのだった・・・。
後、眺望の良い食堂でお昼を食べて、土産物屋の射的は玉がいくら当たっても一向に倒れず、1000円なくなく支払った海の家にて昼寝してから帰ってきた。帰り、大久保の友達の家にちょっと寄る。
7月27日
昼、ひとりで中野のオフ・シアター武蔵野ホールにて、アラン・レネ監督の「去年、マリエンバートで」とルキノ・ヴィスコンティ監督「異邦人」見る。が、「異邦人」の時はうたた寝してしまいました。映画がつまらないんじゃなくて、久しぶりに朝起きたので、生活パターンが狂ってしまったのです。
夕方バイト帰り。夜中はアフタービートにてたま練習。本日は久しぶりに練習後飲みに行かなかったので、ひとり部屋でウイスキー煽りましたとさ。
7月28日
バイト泊まり。薬価点数早見表をしこしこ作る。こういう作業は意外に好きだ。ケフラール、ボルタレン、ダーゼン等々。
7月29日
夕方、R君と高円寺で桶探し。意外と金物屋にも置いてない。風呂道具の展示場のようなところで、ようよう購入。R君、ゴジラ屋でバンビの大きなビニール人形買う。
8時に亜古ヤンや杉元先生と会って、4人で「大将」で飲む。夜中はアフタービートでたま練習。終わった後、スタジオのテレビでウルトラQ特集見る。
7月30日
バイト泊まり。
吉田桂二「なつかしい町並みの旅」
難波利三「てんのじ村」読む。
7月31日
山下さん遊びに来る。ふたりでウルトラQ夜中2時半頃から見たりして、あとは漫画読んだりして、楽な一日を送る。あぁ、一生こうして楽でグータラにしていたい。(してるけど)
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石川浩司のひとりでアッハッハーに戻る