テキトー日記87年3月

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3月1日

 朝から夜までバイト。如月小春「都市の遊び方」読む。
 異様に眠くて、はらみ猫抱いてこたつで夢に行きます。
 あぁ、眠るのって、鹿鳴館の舞踏会より素敵だなぁ。

3月2日

 朝6時カブラギ来る。お昼に杉元さんきて、友達が出演しているというエロビデオとマルクスブラザーズのビデオ見る。バイト後、女の子と「すずめのおやど」で飲む。

3月3日

 バイト泊まりで、自殺未遂、浮浪者、謎の死と患者オン・パレード。
 蘆原英了「サーカス研究」読む。

3月4日

 バイト終わって朝、中野をうろつく。なくなったと思われていた「ラーメンライス」見つけて感涙。
 たま野方で練習後、知久の部屋でウダウダして、柳ちゃんと車で初台に行き、「ラーメン大車輪」でメシを喰い、中野の「ホンキートンク」で水割りを飲む。

3月5日

 朝、カブラギ来る。ツインカセットを意を決して買う。
 杉元さんと柳ちゃんが三岳荘(※注・俺の住んでるアパート)に入りたいというので、家賃払いにいくかたがた、管理人のヤギヒゲジーサンに聞くと、
「近々壊すので新しい人は入れられない」
 との事。昼、杉元さん来て「残念でした」
 杉元さん、「チホーコームインの冒険」という本を上梓するというのに、そのコームインをやめて、日本青年館にうつるとの事。
 村上春樹・安西水丸「村上朝日堂」読む。バイト泊まりだけど、尾形さんにがんばってもらって、僕はずっと寝ています。新人がいっしょに泊まりだと、こんな楽なバイトはないなぁ。

3月6日

 最初に来たバスに飛び乗り、降りたことのない中板橋というバス停で下車。現実にありそうで実はないような町で、まん中に川が流れていた。ここはいい町だ。2~3時間観光の為、うろつく。
 それからかって知ったる江古田の町にも立ち寄るが、ここはつまりませんでしたね。

3月7日

 LP「移動式女子高生」発売記念結成バンド「とうじ魔とうじバンド」の練習に初参加。サラマンドラ館(※注・とうじ魔とうじが過去にやっていた二人組バンド)時代から久しぶりね、の横山さん。不気味さが少し薄れたかな? 後「鬼無里」で飲む。

3月8日

 昼はボーッとしながら、高円寺の町を3周ぐらいする。
 夜、久しぶりのソロライブを古賀博之、水上純一とともにグッドマンでやる。ファンだという女の子からお菓子をもらう。後、「鬼無里」で飲む。
 ファンの子、山下さん、部屋に来る。スーパーボールのクジをさぁ、ひいてくれ。(※注・駄菓子屋の問屋で買ったスーパーボールのクジが部屋にあり、初めて来た人はそれを引いて、スーパーボールと引き替えに、そのボールのあったところに名前を書いてもらうことにしていた。俺の部屋の一種の「芳名帳」)

3月10日

 僕とカブラギは山下さんに1万円ずつ負けました。
 くるしーなー くるしーなー マージャンくるしーなー

3月12日

 夜、明日のディズニーランドツアーの為、つぶら次博、栃木より来る。陰陽物の形状した饅頭みやげに持ってくる。ふたりでビール飲む。

3月13日

 今日13日は金曜日。この日、背筋も完全に凍りつく様なことが起こった。
 メジャーの総本山として名高いあの東京ディズニーランドに、マイナー勇士8名が剣も怒れと乗り込んだのだ。まずは敵を知るべし、ということで、フリーパスを購入、「イッツスモールワールド」けっ、だまされやしないゼ・・・「ホーンテッドマンション」へん、ただのユーレイ屋敷じゃねぇ・・・な。「ベアーカントリーショー」子供だまし! はかわいいな。「カントリー鉄道」うわぁ、本物の川だ。「カリブの海賊」ワヒー、しゅ、しゅごいーー「スペースマウンテン」キャーキャー キャキャキャーードヒュービュワ~ン・・・と完全に相手を倒した。
 ところでこの日本当にセンリツすべきは、ok嬢が、×才サバをよんで「17才以下」のジュニア券で入場を果たしたということは、今、ディズニーランド従業員のあいだで知らぬものはいない。

3月14日

 江古田、所沢にジュースやラーメンの採集に出かける。やはり東京都からちょっと出ただけで採集物件が目白押し。おいおい、かばんがパンパンになって、ヒモがひきちぎれそうだよ。おたすけー。

3月15日

 今日も今日とて、バイトもなく採集旅行。西船橋→徒歩→葛飾、立石、柴又→徒歩→金町、松戸、池袋とウロウロ。きのうほどの成果はなかったですね。
 池袋の駅前で地べたにペタンの青木さんの唄久しぶりに聞いて、古賀さん、知久君と3人で「一休」で飲む。

3月16日

 パルにてとうじ魔バンド練習。初めて全メンバーが顔をそろえる。後「鬼無里」で飲み、ベロベロになったまま、家内安全中心に行き、また飲む。

3月17日

 床屋に行き、三分丸刈りにしてもらう。明日の名古屋行きが早い為、早く寝ようと思って部屋でガンガン酒を飲むが、昼過ぎに起きてゴロゴロしてた為、体が疲れておらず、一向に眠くならない。ようやくウトウトし始めたのは、起床時間の1時間前。

3月18日

 朝6時に知久君の家に行き、バンの「おまた号」にて出発。イキル他のテープをガンガンにかけながら、東名を行く。途中、浜名湖サービスエリアで猫をからかったりして、名古屋到着、お昼。デニーズでゆっくりメシを喰ったあと、がらん屋へ。
 山下、楢橋、広瀬、三十三( さとみ)らもう来ていて、ミカンをむいたり、おむすび作ったりしている。リハーサル後、例の如くスーパーめぐり。寿がき屋ががんばっている為、インスタント麺収穫あり。
 5時頃Gさん来て、他の人はメイクして8時よりライブ。ちょうど最後の曲のところでおまーり来ておしまい。(※注・住宅地の中にある、防音設備のない画廊で演奏した為、近所の人に「うるさい」と通報されたようだった)
 それからは例の如くいろんな席に蝶のように舞って飲み歩く。寝不足でフラフラ。Gさんと「おまた号」のバンの中でここちよいねむりにつく。

3月19日

 10時頃起きて、がらん屋の後かたづけをフニャフニャやっていると寿司が出たので、食べ終わったら即座に山下さんとふたりで帰途につく。
 途中、蒲郡でスーパーめぐり、弁天島で島をウロウロ、静岡でも下車して、いつのまにかバッグはラーメンとジュースでパンパン。それだけじゃ足りなくて、スーパーのビニール袋を片手に持ち、サンダルばき。しかも頭は坊主ということで、すっかり地元の人気分でした。

3月20日

 バイトで泊まり。尾形さんに仕事やらせて僕は後ろで会議(※注・その頃僕が作っていたミニコミ「官報 地下生活者会議」)の原稿書き。表紙に、不気味なくり抜き面の絵を描いていたら、たまたま横に煙草を吸いにきていた尾形さんは、見て見ぬふりしていました。

3月21日

 「会議」コピー、知久、楢橋、青木、あかねに手伝ってもらって、家内安全中心で作る。今日はグッドマンで「地下生活者の夜 第49話」出演は、あかね、Gさん、小田慶子(紙芝居・スライド)。
 後、「鬼無里」で飲んで、僕は明日仕事だから寝なくちゃと言っているのに、青木・島田・クニ・笹山・SEIKO・山下・カブラギ・健さん、よじょー半におしかける。しかも毛布の下でいちゃつくものあり、山下、カブラギ、健さんはマージャン始める。おいおいおい。

3月22日

 昼はひとりで日勤さばく。
 夕方から野方にて公称「環境音楽研究会」(※注・公共施設なので、普通のバンドには貸してもらえなかったので、アカデミーな名前で誤魔化した)にて、とうじ魔バンドの練習。横山さんのバンで送ってもらう。

3月23日

 バイト泊まり。江戸川乱歩「少年探偵団」なつかしみながら読む。いったい死ぬまでに、昔読んだ本で読み返せる本が何冊あるのだろう。

3月24日

 夕方、コインランドリーから帰って来ると、知久、少年マルタ、あかね来てる。後、SEIKOさんきてラジオ・ホームラン(※注・コミュニティ放送)の「漫画愛好者に聞く」の録音。SEIKOさんにタイのみやげのファンタストロベリーや、変なお菓子もらう。後、知久と家内安全中心に行き、うだる。

3月25日

 昼、パルにてとうじ魔バンド練習(「女と死体」他)早引きして、夕方4時半より30分だけの労働に病院へ。すぐに夜はたまの練習があるので、早く帰りたかったのに、こんな日に限って、寺元、小室さんの引っ越しの為、40分遅刻。甘田、野球部の合宿の為、1時間10分遅刻。6時10分、あわてて西武線に乗り、野方に直行。たま練習後、Gさんの車で4人ギューギューにつまって高円寺へ。おばさんがポツンと経営するブス猫のいるお好み焼き屋へ。後、柳ちゃんの新居へビール持ってみんなでおしかける。酒の飲めないGさんの為に柳ちゃんが「コーヒー入れるよ」と言って、新しく買った前時代調コーヒーメーカーを出したが、ネジがわからず、完成に1時間を要した。

3月26日

 マンダラたまライブ。客50人。共演、うわさ野キリン太バンド。一次会吉祥寺「養老の滝」客30人。二次会高円寺「鬼無里」客20人。三次会ファンの知り合いの人の部屋、本人不在無断使用客10数人。朝まで飲む。

3月27日

 お昼頃、きのうからの流れで知らない人の家で目覚めると、家主さん帰ってきて、知久君らと5人位で「ジョナサン」に行って飯を喰う。みんなで僕らにおごってくれました。
 それからバイト。朝日ブックレット「日本大正村」岡田喜秋「山村を歩く」読む。バイト泊まりだと、暇にまかせて本ばかり読んでしまう。

3月28日

 朝いったん家に帰ると、この間1才の誕生日を迎えたばかりの子猫なのにはらみ猫というとんでもない非行猫が膣が大きくなり、汁を垂らし、異常にギャーとかヒーとか体の痛みを切々と訴えているので、こりゃ生みまっせこいつは、と思って、その出産シーンをとくと拝ませてもらおーと思ったが、残念なことに夕方よりまたバイトで睡眠時間がわずかしかないので、仕方なく寝ると、2~3時間後に岡田が、
「東芝、今月いっぱいで辞めて浮浪者になるんじゃい」
 と部屋に入ってきた時はすでにみっつの小さな動く物体が、いつのまにか部屋に増えていた。
 眠さこらえて今日もバイト泊まり。深沢七郎「庶民列伝」読む。

3月29日

 夕方より、野方にてとうじ魔バンド練習。横山さんのバンで高円寺まで送ってもらって「鬼無里」で飲む。始めはとうじ魔さんとふたりで知久君待つが、すぐにビール2本なくなり、テーブルの下に隠す。知久君、三十三、あかね連れてきて5人で飲む。
 いやーこう呑んべえが集まってはいては、ちっとも割り勘が安くならなくてアタイさみしいわぁ。

3月30日

 12時間もたっぷり寝て、バイトに行く。小室さん来てて4時半からの毎日の仕事(※注・「泊まり」「日勤」の他に、俺だけ病院の都合で毎日30分だけ特別に引継で仕事に出てた。そのまま仕事をすることもあったが、30分だけで帰る日もあった)明日までで良いといわれる。その代わり、収入3万円減。何の予告もなしに突然のそれはないぜベイビーと思って腹が立った。
 子猫(親も子猫だが)イタズラして遊ぶ。ミケとブチと黒。
 たまのデモテープダビングして、資料を夜中コピーしに行きました。
 ひとりでチューハイ作って、飲む。

3月31日

 野方青年館音楽室にて「環境音楽研究会」(実はとうじ魔バンド)の練習だが、知久君欠席で、横山さんもどういうわけか来ず、しょーがないので、とうじ魔さん、八重樫さん、とうじ魔さんの弟で照明をやってくれる昭三君と4人でのお話し会に必然的になる。9時過ぎ、青年館切り上げて、野方の「呑ん兵衛」で八重樫さん除く男3人で飲む。本日は行きも帰りも独りとぼとぼ歩いて帰ります。
 家に帰ってぶ厚い秋山祐徳太子「通俗的芸術論」やっと読み終える。


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