ママとパパには内緒だよ6
第六回 ネコのお嫁さん?
本日の取材はこの連載始まって以来の都内脱出。千葉県の鎌ヶ谷市というところ。
もっとも僕は埼玉県に住んでいるのでエッチラオッチラ2時間かけて到着。
集合場所は市制記念公園。緑の多い中にSLや飛行機が置いてある楽しそうな公園だ。
そこにやって来たのが小学四年生のはるきくん。お母さんと妹のかのんちゃんも一緒だ。
この日の取材は7月20日。そう、なんと夏休み初日!これから遊ぼうって矢先にごめんね〜。
お母さんとかのんちゃんには離れてもらって僕と杏さんがはるきくんを挟むようにしてベンチに腰掛けて話を聞く。
「夏休みの計画ってなんかある?」
「うーんとね、プールとキャンプと、あと図書館」
「図書館行くんだ〜。本好きなの?」
「ネコの本。ネコの本をずっと観てる」
「あっ、ネコ好きなんだね。家では飼ってないの?」
「お母さんとお婆ちゃんが動物嫌いだから…」
「そっかあ」
「ネコはマタタビを喜ぶんだよ」
「あっ、それオジサンやったことあるよ。ネコ釣り」
「えっ、何それ?」
昔、高円寺のアパートに住んでた時の話をした。
たまたまマタタビが手に入りアパートの二階から棒の先にマタタビのニオイを付けたおしぼりを付けて外に垂らした。
だけど全然ネコが来る気配が無い。
しょうがないのでそのまま放置していて数時間後ふと外を見ると、なんとまわりの別のアパートや一軒家の屋根などに十匹以上のネコが居て、マタタビの方をじーっとみんなで黙って観ていた。
ネコは釣れなかったがあの光景はシュールでスゴかったなあ。
そういえばネコを可愛がる優しそうな顔してるね。
「オレ、女子力高いって言われる」
この場合のオレは「オ」に強くアクセントを入れるんだよね。子どもの「オレ」だ。
「オカマじゃないの?」
「それは違う」と断固拒否。
話を聞くとはるきくんは絵が上手で楽器もホルンを吹き水泳でも平泳ぎで模範演技をみんなに見せてあげるほどの腕前だそうだ。
へえ、確かに文武両道というか文化的なこともスポーツも出来たらモテるんじゃない?
「うん、オレモテるよ!」
と直球でモテ男宣言。
「どうやったらモテるの?」
「普通にしてればモテるよ」
「普通・・・オジサンは普通にしてたけどモテなかったなあ」
「でも上級生から睨まれたりするんだ」
「ああ、モテる子はね。それは嫉妬っていうやつだから気にしなくていいよ。で、大人になったらなりたいものある?」
「何もない。ネコを飼いたい」
女の子に結構「好き」とか告白もされるようなのだがそれよりやっぱりネコがいいんだね。
「そうだ。ヒミツがあったら教えてよ。家族に何かふだん言えないこととかある?」
「あのねえ、お父さん。『ゲームは一日一時間まで』って決まってるのでそれを超えたら怒られる」
「あっ、それは家のルールだからしょうがないね。オジサンも子どもの頃はテレビは一日一時間までだったからね」
「でもね、ぼく知ってるんだ」
「何を?」
「お父さん夜中にパソコンでゲームやってるの。一時間以上だよ」
「うっ・・・それはお仕事で大変だから許してあげなよ」
「あとねえ、妹」
「ああ、さっきいたかのんちゃんね。かわいいじゃない」
「生意気でケンカになると変なとこさわってくる」
「ああ・・・急所を知ってるんだね・・・」
「『おいっ』とか言って男子か、つうの!」
もしかしてはるきくんが女子力高い分、男子力が強くなってしまったのかもしれないね。
「でもそんなにモテたら結婚とかいろんな女の子の中から選ばなくちゃならないから大変そうだね」
「それはどうでもいい」
「そうなんだ」
「ネコがいればねっ!」
お母さんとお婆ちゃん。
もしかしたらはるきくんのとこにはネコのお嫁さんが来てしまうかもしれませんよ・・・。ニャオ!
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