穴掘り男

ドッカーセー、セニョリータ、ドッカーセー、セニョリータ。
オイラは穴掘り男だぞ。
ズッチャラズチャッチャッガシガシガシ。
三つ子の魂百までも、子供の頃からジャジャリジョリ。
片手に必ずシャベルを持って、
ジャンボジャボジャボジャンボジャボジャバ。
いつでも穴掘りしていたさ。
シャッパーシャッパーシャパシャパシャッパー。
道路工事にビル工事、墓の穴まで掘ったのさ。
エンヤートット、トットコホイ!
エンヤートット、トットコホイ!

ところが最近困ったぞ。
不景気とやらがやってきて、
穴掘る仕事がこないんだ。
これじゃオイラは干上がるぞ。
穴が掘りたや、掘りたや穴が。
ズンドコドッコイ、スットット。
クサッタコケシワ、アナノナカ。(石川)

こうなりゃもはや、仕方がねぇ。仕事じゃぁねぇが、穴でも掘るか。
ウントコどっこい、よっこいしょ。ウントコどっこい、よっこらしょ。
かぁちゃんのためなら、エーンヤコーラ。結婚しちゃいねぇが、エーンヤコーラ。
仕事じゃなくても、エーンヤコーラ。意味なんてなくても、エーンヤコーラ。
穴さえ掘ってりゃこの世は天国。オイラに掘れないものはねぇ。
ウントコどっこい、よっこいしょ。ウントコどっこい、よっこらせ。

おいおいこれは、どうしたことだぃ? こっから先が掘れねぇでやがる。
やけに固てぇな、この土は。ウントコどっこい、よっこらしょ。
ヒー、こりゃいけねぇ、歯がたたねぇや。ここらでちょいとメシでも食うか。

今日のおかずはメザシにタクアン。忘れちゃいけねぇカブの古漬け。
ぱくぱくむしゃむしゃ、おーうめぇ。むぐむぐごっくん、茶はどこだ?

さぁて腹に力も入ったし、も一度固てぇとこ掘ってみるか。
おっとと、うん? ありゃなんだぃ?(KAZ)


よく見りゃ、これは化石じゃねえか。
ジュラ紀、白亜紀、縄文時代。
詳しい事は知らねーが、こいつはデカイ恐竜だ。
その時突然地響きだ。
フワーフワワワ、フワワワギューン。
「誰だい、俺が寝てるのに」
そして恐竜立ち上がり、
「オヤオヤなんだい、もう朝か」
もう朝か、って、何万回目の朝かいなっ!
「ちょいと寝過ぎたテヘヘヘヘ」
そしてオイラの方を見て、
「起こしてくれたのあんたかい。どうもすまんね。歯、磨こ!」
でっかい歯ブラシ取り出して、ゴシュゴシュゴシュッと磨き出す。
オイラハショージキ、ブッタマゲータ。
ブッタマブッタマ、ブッタマゲータ。(石川)

「さてさてなんだか腹減った」
お腹が鳴ってるグルバルグルバル
そりゃあーそーだ、そりゃそーだ。
ガリガリの人は「骨と皮」
だけどもあんたにゃ皮すらない。
骨だけなんだよ、ボーンボン
ボーンボンと鐘が鳴る
ちょうどお昼だランチ・タイム
そこで恐竜のっそりと
オイラの方を振り向いた。(プヨ)


ギョギョギョギョッギョッ
ギョギョギョッギョッ
オイラは正直ブッタマゲータ。
ブッタマブッタマ、ブッタマゲータ。
「オッ、オイラ食っても旨くはないよ、
虫歯、イボ痔に、水虫に。エトセトラー、はぁエトセトラ」
そこで恐竜ニヤッと笑い
「おいおいそれは勘違い
 カンカンカンカン勘違い。
 俺は草食動物さ。
 あんたなんかは食やしない
 それよりどこか旨い草
 生えてる所を教えてーな」
オシエテ オシエテ オシエテーナ!
オシエテ オシエテ オシエテーナ! (石川)

オシエテアゲテモイーケレド、
まずは穴掘り手伝いな、
ドンドンドンドン掘るうちに、
そのうち草も出でこよう。
太古の草が出てこよう。
草がなくなるそのころにゃ、
とうに太陽沈むだろ。
沈めばみんなオネムネム、
みんなでお休みなさいませ。
朝になるのを忘れてさ、
グーピーグーピー眠るのさ、
朝の怖さを忘れてさ。
アサノコワサヲワスレテサ。(ともこ)


ズンドコドッコーエラヤッサー
ズホホイズホホイズホホイホイ
こいつぁ、いいや。こりゃいいや。
ショベルカーよりすげえなぁ!
どんどん穴が掘れてゆく。
そして太古の草も出た。
「オホホホ嬉しうれしいねー
 こいつは俺の一番の
 好物なんだムシャパクポイッ」
それは良かった恐竜さん。
おやおや段々肉が付き、
ホントの体が出来てきた。
「それじゃお礼をしなくちゃね。
 何かお望みアリゲーター?」
そこでオイラは答えたさ。
「それなら羽根で空に飛び、
雲の上まで乗せとくれ
何故ならオイラあの雲を
掘ってみたいと思ってさ」
恐竜ニコリと笑ってさ
「お安い御用だガッテンだ。
ほらほら背中にお乗りよダンナ」
そしてオイラは飛び立った。
雲の上まで飛び立った。(石川)

スゲー、スゲーヨ急上昇、やっぱりチキューは丸かった。
毛唐の軽々兄弟だって、こんなの見たことアルマイト。
向こうじゃノロマの田舎者、ジャックが豆の木ヒーコラサ。
オイオイそんなヘッピリ腰じゃ、キントン雲さえ見向きもしねえ。
笑わせやがるぜ、ぬっくい部屋で、せいぜいキントン炊くんだな。
ヘイユー、お先に失礼するぜ、こちとら江戸っ子、ベランメェ。
チカイ、チカイヨ、フカフカ雲チャン、オイラの着くのを待ってらぁ。
ダイオキシンゼロ空気はミルク、チキューのドンチョはピンクのシルク。
酸素もウスくてエエキモチ、どーにもアタマがハッピッピ。
阿弥陀如来にゴータマブッダ、天女も菩薩もホホエムお空、
首にレイかけホッペにチュッチュ、エーオイ、コリャまた、照れくさい。
じっちゃもばっちゃも変わらん顔で不肖ムスコをお出迎え、
シワシワクシャクシャ手ぇフリフリ、エーコラ、ワンワン、なつかしい。
見てておくれよ晴れ姿、穴掘り男の大出世。
ダ~レもオイラの一大事業、夢にも気づいてイヨマンテ。
サテサテ、目の前、ブアツイ雲だ、降ろしておくれヨ、ヤイ恐竜。(端削)


そしてボワンと雲の上 ウンジョーウジョジョ ウンジョージョー
世界で最初の雲掘りさっ! 
クモホー クモホー クモクモホー!
カミナリ様もやってきて
「すごいわゴロゴロ ゴロニャーン~」
雲の上にもアラ、ニューハーフ
エレキバンドでお出迎え
電源コードは自分のヘソで
テケテケテケテケ景気がいいぜっ!
オイラもチョーシが出てきたぜっ!
チョーシっぱずれは犬吠埼で
ホレホレ ヤレホレ もっとホレ!
ニュードーニュードーニュードーグモッ!
ヒコーキヒコーキヒコーキグモッ!
イワシニウロコニヒツジモクモッ!
電線音頭はもう古い
だけども足元ぐらついて
ヨイヨイヨイヨイ オットットット
ヨイヨイヨイヨイ オットットット
それでも掘るぜ オイラも男
ところが穴は雲を突き抜け オイラはすべって落ちちゃった
アラアラアララ アラアララ
ヤバイデスウ ホレヤバイデス! (石川)

パラリラ パラリラ キュウコウカ
お空の地面けっとばし かえるとびをしてるのさ
泳いでみようかスイスイと まったくもってすすまねえ
キャット空中3回転 イヤイヤ止まらず8回転 マダマダ止まらぬ17回転
ちょいと後ろをふりかえりゃ 向こうに見える巨大な建物
あいつぁ オイラがその昔 土台の穴掘った建物よ
百万階建てのビルディング いまだに建設してやがる
ムササビのように両手を広げ
体中に風を受けてやらぁ おっととこいつぁ 手ごわいぞ
右へ左へ グラグラグラ フラフラ まっすぐなりゃしねぇ
もっともオイラの左手にゃ 大事なスコップ抱えてた
これじゃまともにとべねえな
しかし こいつはオイラのキョウダイよ 
何があってもはなしゃしねえ
ハナシャシネェと誓ったさ(めめ22歳)


ハナシャシネェと誓った途端
やつは突然話しやがった
「おいおいしょーがねーやつだ
 俺もオメーと一心同体
 ここはひとつ踏ん張るか」
やっぱりシャベルは喋るんかい!
魔法使いが箒に乗るなら
オイラはシャベルに乗るってか
「風の向くまま気の向くまま
 穴掘り旅に出かけるぜっ!」
シャベルがオイラに提案したさ
オイラもそれにゃ異議はない
イギイギイギイギ異議はない
シャベルにまたがり空を行く
ビュワーンビュンビュン風を切る
砂漠を掘ろーか 海掘ろか
それとも誰かの夢の中
こっそり掘ろか落とし穴
オイラとシャベルが力を合わせ
地球に穴を掘りまくる
エッサカホイサ ホイサッサー
ヤッセカウントコ ドッコイショー!




それから男を見たものいない
だけども穴は増えている
小さな穴も 大きな穴も
知らないあいだに出来ている
きっと男が掘ったのさ
こっそりあらわれ掘ったのさ。

今でも耳をすませれば
あんたの耳にも届くだろう
ドッカーセー、セニョリータ、ドッカーセー、セニョリータ。
シャッパーシャッパーシャパシャパシャッパー。
エンヤートット、トットコホイ!
エンヤートット、トットコホイ!
エンヤートット、トットコホイ!
    エンヤートット、トットコホイ! (石川)


-了-


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