第十一話 ゲスな奴




あっしの名前はイシカラコウジ。意思空小蛆と書きやす。
もちろん本名じゃありやせんが。
とにかくグータラでろくに意思もなく空っぽで、小さな蛆のような人間と思ってくれればいいでゲス。ゲッヒッヒ。
そんなあっしの、ささやかな日常をお話するでやす。
もっともあっしの日常を知ったところで、あなた様には一銭の得にもなりゃしませんがね。
でも見たところ、あなた様もあっしと同じニオイがするでゲス。
つまりちょっと捻くれていて、下品が大好きってことでやす。
それならあっしの話しに付き合ってくれるのも一興かもしれやせんなぁ。
どうせお互いろくでもない、くだらないジンセーなんでやすから。
さて、オナラを一発ブオーと豪放磊落に落として、あっしの日常でもお話しやすかぁ。

あっしはいつも昼過ぎに起きやす。
何故なら天性の夜型人間なので、夜中にゴソゴソゴキブリのように動いているので、起きたら常にお天道様はとっくに頭上高くあがっているんでやんす。
仕事はまぁ、ミュージシャンと言えば聞こえはいいでやすが、まぁ、若い時にちょっと売れたのをいいことに、その残りカスで仕事をチョーダイしているようなものでやす。

そしてある日のことでやす。
変な仕事依頼のメールがあっしの元に届いたでやんす。

それは、なんとも変なメールでございやした。
なんてったって文章はたった1行、
「明日の朝7時に西荻窪の駅で待っている」ってだけ。
メールのタイトルに『仕事依頼』って書かれてなかったら、あっしは借金取りの取立てかと思って逃げ出しちまうとこでやんした。

もちろん最初、こんなメールは無視しようと思いやした。
いくらタイトルに『仕事依頼』って書かれているって言っても、仕事の内容も書いていないようなメールは信用ができやせん。
ましてや朝の7時なんて言ったら、夜型人間のあっしにとっては真夜中みたいなもんでやんす。
こんなメールを信用して、わざわざ駅までなんか行く必要はありやせん。
ああ、そうですとも。あっしは断固としてこんなメールは無視をしやす。

……とは思ったんでやんすが、お恥ずかしながらあっしはもう1ヶ月も仕事をしていないんでやんすよ……。
若い頃はちょっとは売れてちやほやされたこともあったんでやんすが、最近じゃめっきり仕事も減ってしまいやした。
月に5回はあった仕事が3回に減り、1回に減り、そして今じゃ……。
そんな時に来たメールでやんす。
いやあ本当に、溺れる者ってのは藁にもすがるんでやんすねえ。
あっしは翌日、眠い目をこすりながら西荻窪駅へ行ったんでやんす。

朝7時の駅ってえのは通勤ラッシュとやらで大変な混雑でやんした。
スーツを着た人たちが津波のように押し寄せて来やす。
あっしはその波に飲み込まれて、自分がどこにいるのかすらわからなくなってしまいやした。
それでくらくらと目が回ってしまいやして、もう帰ろうと思った時、誰かがあっしの肩を叩いたんでやんす。
振り向くとそこには女性がひとり立っていやした。
若くて、それはそれは綺麗な女性でやんした。
そして彼女はあっしにこう言ったんでやんす。
「お金ならいくらでもあげるわ」って。(DO)


「い、いくらでも・・・そんな話し、眉唾でゲスなあ~」
あっしは若造を見る目でちょっと斜にかまえたでゲス。
「あっ、そっ。じゃあ他にも頼める人いるからそっちに・・・」
「待つでガス!」
あっしは思わず初対面の彼女の腕をグワシッと捕まえていたでゲス。
ハッと思ってすぐに気づいて離したけれども、多少の照れくささはあったでゲス。
「で、仕事内容はなんでガス?」
「うーん、それはまだちょっと言えないけど、あなたパスポートって持ってる?」
「パスポート・・・あぁ。あっしは免許を持ってないので、身分証明書代わりに常に持ち歩いていやすが、それが何か?」
「それは良かったわ。じゃ、すぐ行きましょ」
「すぐって、海外ってことでやすか?期間はどのくらいでやすか?ちょっとスケジュールを見てみないと・・・」
「あなたにスケジュールなんてないでしょっ!」
げっ、見破られて思わずオロオロしてしまったでげす。
「そ・・・じゃあ、せめて行き先だけでも教えてくだせえよ」
「チェンマイよ」
「チェンマイ・・・って、タイのチェンマイでげすか?」
「他のどこにあるのよ!」
そういうや、あっしは引きずられるようにそのまま彼女と一緒に空港に向かってしまったでゲス。

でも、まてよ。彼女どこかで会ったような・・・。まさか??
「もしかして・・・銀ちゃん?銀ちゃんなの?」
「も~、やっとわかってくれたのね。ほら、この通り、女性になりましたぁ~。」
銀ちゃんはあっしの高校時代の友人で、当時からオカマっぽいところがあったのだが、高校を卒業してからはニューハーフのパブで働いていた。あっしもときどきお世話になったでやんす・・・あ、お店の客として世話になったってことでやんすよ。
「実は、コウジちゃんに助けてもらいたいのよ。もちろんお金はいくらでも出すわ。」

彼、いや彼女はついこの前、タイで性転換手術をしてきたそうでやんす。
性が変わると人間、印象も大きく変わるもんだねえ。

「で、仕事は何でやんすか?」

銀ちゃんの口から出たのは・・・・え?マジ~?いいの?あっしなんかで? (ちちぼう)

「あたし、オカマの国を作りたいの」
「オ、オカマの国!?」
あまりの大胆な発言にあっしは仰天してしまったでゲス。
「国なんて、そんな簡単に作れるものじゃないでゲしょう!」
「それはそうよ。だからまず第一段階としてはどこかの島をオカマ・アイランドにしたいの。そして最終的にはそれを国家として独立させたいの」
チェンマイ行きの飛行機の中、銀ちゃんの壮大な計画を延々聞いたでゲス。
要約すると銀ちゃんの主張としては、これからの世界、男と女という境界線はますますあやふやになり、同時に性同一性障害のオカマやオナベも大量発生する。
然るにまだ国によってはそういう人たちに対して激しい差別があったり、厳しいところでは法的処置が行われることもある、そんな現状が許せないと。
そこで銀ちゃんが中心になって「性差別のない島、そして国」を造ろうというものらしいでゲス。
「で、なんでチェンマイに行くでゲスか?」
「タイにはオカマが多いのコウジちゃんも知ってるでしょ?」
「それは聞いたことありやすが・・・ムエタイの選手や確かバレーボールのチームか何かでもオカマが活躍しているらしいって話は、よく聞くでヤス」
「そうなの。つまりタイはオカマ意識に対しては最先進国なの」
「ほほお、そうなんでゲスか」
「あたしもタイでちょん切っちゃったしね!」
そう微笑んだ銀ちゃんには薄っすら髭が生えはじめていたでヤンス。
「しかし、あっしはノンケでやんすよ。オカマ島を造るにしたって、あんまり関係ないんじゃないでゲスか?」
「それは違うわよ。むしろ一般の性趣味の人が入ってこの活動をさらに広げていきたいのよ。そうじゃないと『オカマだけが何か言ってやがらあ』ってことになるでしょ?」
「確かにそうかもしれないでゲスね。・・・なるほど。」
「それに今、あたしのまわりで暇そうなのコウジちゃんぐらいだけだし」
ゴホゴホッ、思わずむせたでゲス。
そう言っているうちに飛行機はチェンマイに到着したでゲス。
ホテルに荷物を置くや、
「今日、オカマ仲間たちが集まる約束をしているところがあるの。あなたを紹介するわ」
と言って、川沿いのカフェ「レズーナ」に連れて行ってくれたでゲス。
到着すると、まだその仲間たちは来ておらず、オープンカフェのその店の飼い猫らしい猫がニャアと出迎えてくれたでゲス。
「ごめんね、タイの人たちってのんびり屋さんが多いから」
「いや、いいでゲスよ。あっしもちょっと一服するでゲス」
古くからあるカフェらしく、いい感じに朽ちかけた椅子に座り、あっしはビールを頼んで、川の向こうの市場の灯りをボーッと見てたでゲス。

その時、店のドアが開いて派手な集団がクネクネと入ってきたでやんす。
「ギンチャ~ン!アイタカッタワ~~ン」
「ソノヒト、ダレナノ~?カレシ~?」
「キャー!ショウカイシテヨ~~」
どうやら銀ちゃんが待ち合わせしてる人達のようでやんすな。オカマ達は、銀ちゃんとあっしを囲んでキャッキャと騒いでいでいるでゲスよ。
ひとしきり再会を喜んだ後、銀ちゃんが、あっしの肩に手を置いて、オカマ達に紹介してくれたでやんす。
「彼はコウジ。私達の計画に協力してくれるの。みんなよろしくね!…残念ながら彼氏じゃないのよ。今はまだ…ねっ」
そう言うとバチン!とウインクをしてきたでやんす。まともにくらって、ちょっとクラクラしたでゲス~。でも何故か顔が熱くなってきて心臓もドキドキ…。あっしはどうしたんでやんしょ?
「みんな揃ったから作戦会議をするわよ。あっ、その前に友情を固めるためにコウジに歌をうたってもらおうかしら?みんなで一致団結出来る様なのを頼むわ!」
無茶な事を言われて一瞬困ったでゲスが、正直みんなの為に歌いたい気持ちになっていたのも事実でやんす。このタイの青空がそう思わせたのでやんしょか…。壮大な『オカマ・アイランド』計画に挑む、みんなの為に!あっしは心を込めて腰をくねらせながら即興で歌ったんでやんす。
「カマっちゃ~う~な~。ゲイトに誘われて~。ホモっし~よ~う~。まだまだ早いかしらっ」
思いが伝わったのか、オカマ集団が盛大な拍手をしてくれ、ハグとキスの嵐。
すると店内のお客もスタンディングオベーション!しまった…。ここがお洒落カフェのレズーナなのを一瞬忘れていたでやんす…。ちょいと恥ずかしいでゲス~。みんなに囲まれて照れていると、店の隅に座っていた品の良さそうなお爺さんが、こっちに向かって歩いてくるじゃありやせんか。な、なんでやんしょ? (まくら)

と、オカマさん達の表情がサッと変わり、道を開けたでヤンス。
老人はあっしに近づくと、
「これは、遠いところをご苦労様じゃった」
と丁寧にお辞儀をされたでヤンス。
「は、はあ」
とりあえず何らかの大御所である気配はビンビン感じたでゲス。
「紹介が遅れましたな。ワシは一応この集まりの代表を務めさせていただいております、江口と言います。ま、もっともみんなはワシのことを陰では江口ではなく、カタカナ読みして『エロ』と呼んでるらしいので、エロさん、と気軽に呼んでくだされ」
まわりのオカマ達も苦笑して、
「ごめんね~、エロさあ~ん!」
などと嬌声があがった。
「さて、早速じゃが、ギンから聞いたが、なんでも貴方は音楽のプロフェッショナルじゃそうですな」
「え? ええ、まぁ・・・そうで・・・ヤンスね」
これには正直困った。
確かにデビューしたことはあったが、ガラクタをチャカポコ叩いたのが人目を惹いただけで、まともにドラムも叩いたこともないのだから。
「そこでわしの作戦なのじゃが、オカマ・アイランドは平和的に作りたいんじゃ。無血でな。そこでまずそういう意図をあまり見せずに音楽界に一石を投じるようなイメージソングを作って欲しいんじゃ。」
「は、はぁ・・・」
「世界には何億ものオカマがいる。予備軍まで入れればもっとじゃ。そこでまず、そんな人の心に届く歌を作って欲しいんじゃ」
「そ、それは、やってみてもいいでゲスが、確実なヒット曲を作れる自信は・・・」
と、老人、もといエロさんの表情がガラリと変わったでヤンス。
そして静かにしかし有無を言わせぬ声であっしに言ったでヤンス。
「・・・やるんじゃよ!」
「はっ、はい、わ、分かったでゲス!」
思わず直立不動になって敬礼までしてしまったでゲス。
と、エロさんはまた柔和な顔に戻ってこう言ったでゲス。
「大丈夫じゃ。世界中に華僑と呼ばれる中国人が地球のあちこちに点在してこの世界を裏から牛耳っているのは知っとるじゃろ?」
「そ、それは聞いたことがあるでゲスが」
「オカマ界にも裏のネットワークがある。それは膨大な数じゃ。彼ら・・・いや彼女らも協力は惜しまんじゃろう。なんたってワシらの夢、オカマ・アイランドの建設なんじゃからな。」
そういうやエロさんはあっしの手をガシッと握り締めた。
「やってくれるな!」
「は、はい! ・・・でヤンス!」
あっしにはその時、それ以外のどんな言葉も思いつかなかったでゲス。

その後、酒宴に突入してしこたま飲まされたのでヤンス。
いやいや、目の前で起きている事から逃げようとしたあっしは、しこたま飲んで現実逃避をしようとしたのでヤンス。
盛り上がった酒宴は、場所をどこかに移して酒池肉林状態(全員オカマなのでゲスが)に突入して、あっしのムスコを引っ張り出されたまでは覚えているのでヤンスが、目覚めたら知らない部屋のベットの上でゲシタ。

天井から視線を移すと、同じベッドの上に絶世の美女が裸体を晒したままスヤスヤと寝息を立てていやした。
透き通るような白い肌、張りのある乳房と臀部、見事にくびれた柳腰。
寝起きにこんな美女の裸体を目にして驚いたあっしは、ゴクリと生唾を飲み込んで、昨夜の記憶を辿るのですが、どうして今の状況になったのか繋がる記憶が無いのでゲス。とっても素敵な事態になっていたのかもしれないのに、勿体無い事でヤンス。

その見事な裸体の口元に耳をあて、寝息を聞いて熟睡しているのを確認するとその肢体を舐めるように隈なく見たのでヤンス。

ゲヒヒヒヒ。見事なボディでやんすな。でも、中身は男か女か解からないでゲス。でも美人なので関係ないでヤンス。据え膳喰わぬはなんとやらでヤンス!残っていない昨夜の記憶の穴埋めを、穴埋めでするでヤンス!ゲヒヒヒヒ!

こみあげてきた劣情を抑えきれなくなったあっしは、いよいよ行動に出ようと思った刹那、ふと気がついたのでヤンス。

あっしのムスコが居ない…。

天を仰ぐほどの勃起感は、いつもと変わらずにあるのでゲスが、そこに屹立しているべきムスコがいないのでヤンス…。
ツルンとしてしまった股間をまさぐっても、そこに居るはずのムスコは消えてしまって跡形も無いのでヤンス!

よくよく探すと、ムスコのあったところにポッチリと小さな突起が。
我が息子は極限まで小さくなってしまっていたのでゲシた…。

夢だと思って、夢から醒めようと色々してみたのでヤンスが無駄でした…。

しばしの間、虚無感、喪失感、虚脱感に襲われて茫然自失に陥った後に、我に返ったあっしは、小さな突起に変貌してしまったムスコを再確認したのでゲス。
ポッチに変貌してしまったムスコに恐る恐る指を伸ばして触れると、

「あっは~ん!」

無意識に大きなため息が漏れてしまったのでヤンス。なんとムスコは超敏感なボタンに変貌を遂げていました。

あっしの大きなため息で、隣で寝ていた美女が目を覚ましました。彼女は混然としているあっしの顔を暫く見つめると、やがてニッコリと微笑んで口を開いたのでゲス。

「うふふ。おはようコウジ。良く眠れた?」

ボタンの驚きから言葉を失っているあっしに、彼女は二の句を告げてきました。

「あら、早速エロさんの魔法が効いたようね。彼との約束を果たさないと、一生あなたのムスコは帰って来ないわよ。頑張る事ね。私達の世界に入りたいのなら別だけど。うふふふ…。」 (T.E.E.)

「そっ、それはどういうことでゲスか!?」
「慌ててもしょうがないわよ。ま、説明してあげるから顔でも洗ってらっしゃい。一緒にブランチでもしましょ」

あっし達は小一時間後、西欧人観光客の多いターペー門近くのカフェにいたでヤス。
「で、あのエロさんっていう人は魔法使いなんでやすか!?」
そう食い入るように聞くあっしに、彼女は嫣然と答えたでヤス。
「馬鹿ね、本当の魔法のわけないじゃない!」
そう笑いながらコーヒーをすすると、
「ま、エロさんは要するにお医者さんなの。・・・いわゆる『ちょん切り名人』のね」
「ちょ、ちょん切り・・・!!」
「だから、エロさん自体はオカマじゃないの。貴方と同じノンケ。でもあたし達の活動にはすっごい共感してくれて、代表まで引き受けてくれたってわけ」
「で、でもあっしのアレはどうなるんでゲスか!?」
「大丈夫、あなたのは再生出来るようになってるわ。・・・約束さえ果たせばね。まぁ、今はこんなだけどねっ!」
そう言うと、彼女はテーブルの下であっしの股間をギュウウッと握ってきたでヤンス。
「ううっ!」
あっしは痛みと気持ち良さの微妙な感じに思わず声を出して目を白黒させてしまったでゲス。

と、「お待たせ~」と銀ちゃんとエロさんがカフェに入って来たでヤンス。
エロさんは「ミユキは相変わらず色っぽいのー」
と言いながら、彼女のお尻をペロリと撫でたでゲス。
彼女はミユキちゃんと言うんだな。
ミユキちゃんは、
「もう、エロさんはー!ねっ、これで皆が江口さんのことをエロさんと呼ぶの分かったでしょ?」
「はっはっは、女にしてやったのは誰かな!?」
「んもー、なんとか言ってやって!」
そう言いながらもミユキちゃんは嬉しそうで、結局ふたりはキャアキャアじゃれあっているだけでヤンした。
エロさんがみんなに慕われているのは良く分かったでゲス。
みんな仲良しなんでゲスなぁ~。
その時、横の銀ちゃんがあっしに声をかけてきたでヤンス。(バクシーシヤマモト)

「昨日、ちょん切られちゃったんだってね!」
「うっ」
その事実を再び突きつけられるとなんだか悲しくなってきたでゲス。
「あ、あっしのモノは・・・」
するとエロさんはかんらからから笑って、
「大丈夫。ミユキちゃんに聞いたじゃろ?わしがまた魔法のようにくっ付けて差し上げますよ。約束さえ守ればじゃがな」
そうでやんした。あっしは歌を作らなければいけなかったんでゲス。
「で、出来そう?」
昼間っから象さんのマークの付いたチャンというビールを銀ちゃんは飲みながら、あっしに聞いたでヤンス。
「そ、そうでヤンスね。まぁ昨日の今日なんでまだ何とも言えないでゲスが・・・メロディはなんとなく思いつきそうなんでヤスが、歌詞が難しいでヤンスね。オカマを世界に認めさせる詩っていうのが・・・」
「まぁ確かに難題ね。・・・じゃあどうかしら。コウジちゃんにももちろんこのまま頑張ってもらうけど、保険として、一般の人からも歌詞を募集する、っていうのは」
「そ、それは助かるでゲスが、ある意味秘密裏に行うんでゲショ?そんな、公に募集なんかしたら、作戦が見えてしまうんじゃないでゲスか?」
「そんなことは分かってるわよ。実は私の知り合いで奇人ばかりを集めてホームページを作っている人がいるの。そこで募集をかければ、一般の人はまず見ることがないし、面白い歌詞の応募も来るかもしれないわ。」
「そんな奇特な人がいるでゲスか?」
「ちょっと待ってね、今、彼にツイッターでダイレクトメッセージ打ってみるから」
「電話の方が早くないでゲスか?」
「それがその人、電話が大嫌いでね、未だにケータイも持ってないの」
「ええっ、そりゃ変わってるでゲスなっ!もう21世紀に入ってから10年も経つでヤンスよ!」
「・・・と言っているうちに返事が来たわ」
「は、早っ!」
「そう、電話は嫌いだけどツイッターやメール、ミクシィなんかは大好きらしいの。変わってるわね。」
「で、返事はなんて返ってきたでゲスか?」
「あ、OKだって。『銀ちゃんの為なら』だって。フフフ、実はあたし昔、彼と色々あってね。」
「色々・・・。まぁ、それはともかく、ちなみにその人はなんてえ名前でゲスか?」
「それがね、笑っちゃうのよ。地宇湖若椎って言うの」
「ジウコワカシイ? ・・・随分変な名前でヤンスね」
「その名前、逆さから読んでごらんよ」
「逆さ? イシカ・・・イシカワコウジ!あっ、あっしと一文字違いでヤス!」
「そうなのよ。単なる偶然なんだけど世の中って面白いわね」
「そうでゲスねぇ・・・。それで返信の続きは何と書いてあるでゲス?」
「『それではオカマアイランドのテーマソングを募集してみます。もしも採用された人には、50ポイント差し上げます』だって!」
「なんでやすか、そのポイントってえのは?」
「なんか彼は投稿型のホームページをやっていて、そこでポイントを貯めると、いろいろしてくれるらしいの」
「・・・なんだかよく分からないでヤンスけど、藁をも掴む気持ちでヤス。いい投稿が来るといいでヤンスね」
「なになに、まだ続きがあるわ。『これは本当の歌詞募集です。応募する方はミクシィメッセージかメールにてタイトル「オカマ」で送ってください』だって」
「へえ、応募があるといいでヤンスね。」
「それはそうだけど、あくまでこれは保険なんだからねっ!コウジちゃんが作詞作曲するのが本来なんだからねっ!」
「わ、分かってるでヤンスよ。」
「とにかく、よりオカマの世界を知ってもらう為に、今日はあるイベントを用意してあるのよ」
「イベント?昨日みたいな飲み会でヤンスか?あっしはメコンウイスキーをミリンダ・ルートビアで割ったやつが好きでヤス!」
「違うわよ!飲みは後!ちょっと一緒について来て!」
そうしてあっしはカフェを出ると、驚愕の現場を目にしたでヤス。

「何なんすか?この奇妙な集団は?」
ど派手なメイクと服装の集団が店の前に現れたっす。
「ああ、この人たちはドラッグクイーンよ。私たちのオカマアイランドプロジェクトに賛同してくれたのよ。」
これがドラッグクイーンでやんすか・・・。
ピンクフラミンゴに出てくるディヴァインをさらにパワーアップしたのがうじゃうじゃとたむろしてたでゲス。
その中にディヴァインそのまんまの巨漢のドラッグクイーンがあっしたちに歩み寄って来たっす。
「銀ちゃ~ん、オカマアイランドを作るなんて素敵な計画ね~。私たちも協力するからいつでも相談してね~。ところでそこの坊やは?」
「ああ、彼はコウジよ。オカマアイランドプロジェクトのイメージソングを作ってくれることになったのよ。あ、コウジちゃん、この人はね、私の親友でデブインちゃんよ。」
「コウジ、よろしくね~。」
あまりのすごさにに鼻血が噴き出てしまったでやんす。
「も~、コウジちゃんたら、鼻血なんてみっともない。」
「じゃ、私たちは先にバンコクに行ってるね~。」
そう言うとデブインたちは店の前から去って行ったでゲス。

「私たちもバンコクへ行くわよ。」
「え?今から行くの?」
「オカマの世界を知るには、まず、バンコクよ!」
あっしは銀ちゃんにせかされるまま、バンコクへ向かったっす。

あっしたちはバンコクの大きなショーパブに着いたっす。
そこにはエロさんとデブインが待っていたでゲス。
「待っていたよ。君にオカマのことをもっと知ってもらいたくてね、素晴らしいショーを用意したよ。存分に楽しんでくれたまえ。ギンとデブインはショーの準備に行っていいよ。」
あっしの目の前には大きくて、ど派手な舞台があったでゲス。
「はっはっは。いよいよ始まるぞ。」 (ちちぼう)

ショーはそれはそれは素晴らしかったでゲス。
最初は日本の宝塚にちょっと似ているかな?と思ったでヤスけど、さらに深かったでヤス。
元男としての力強さと意識としての女性の繊細さの両方が表現されていて、ショーとして単純に面白いだけじゃなく、非常に奥深いものがあったでゲス。
今までオカマと言えばせいぜいテレビのオカマタレントか、銀ちゃんのいたオカマバーに遊びに行った程度でやしたが、なんだかその軽い意識を根底から覆されるような、大きな意味での性差を超えた人間というものを見せ付けられたような気分でやした。

「どうだったかな?」
終演後、エロさんが声をかけて来たでヤンス。
「いや・・・凄かったす。オカマの深さが分かったような気がしたでヤンス」
「そうだろう。ワシもそもそも、ショーでガツンとやられた口でな。オカマは男女の区別をも取り払った、言わば人類の最終形だと思っておる」
「人類の最終形・・・でヤスか」
「もちろん男には男の、女には女の良いところもある。しかし第三の性として、今のある種見世物としてだけではなく、存在する意義があると思うんじゃ」
「確かにそうでヤスね・・・。」
その時でゲシタ。
ショーを終えたデブインがノッシノッシとあっし達の方に走ってきたでヤンス。
「ちょ、ちょっと、エロさん!大変なニュースよ!」

「どうしたんだい?ずいぶん慌てているようじゃが・・・。」
「とにかく来てよ~。もー、ホントに大変なんだから!」
デブインにせかされるまま、あっしとエロさんは楽屋へ向かったっす。

「エロさ~ん、これ見てよ~!」
ミユキちゃんがパソコンの画面を見せてくれたでゲス。
「このYapooニュース見てよ!これ、どう見たってウチらのパクリよ!」

Yapooニュースには、こんな記事が載っていたっす。

『人気TV番組「オネェの部屋」が、番組内でニューハーフや女装男子、ドラッグクイーンのための「オネェの国」を立ち上げることを発表した。番組では、「オネェの国」プロジェクトの開始からドキュメンタリで放映する予定。なお、「オネェの国」プロジェクトのイメージソングを番組のパーソナリティーで人気アイドルグループのZOKIOが担当する・・・』

「ウチらが先なのに~!くやし~!」
ミユキちゃんとデブインが大声をあげて泣いていたでゲス。泣いている姿はどう見ても男にしか見えないっす。
そんな中、エロさんだけは冷静だったでゲス。
「うう~む。こいつはやられたな。じゃが、わしらの「オカマアイランド」は、 あんなものとはスケールが違う。じゃが、こうしてはおれんのう。コウジ君、とにかくイメージソング作りを急ぐんじゃ。」

楽屋に銀ちゃんが血相を変えてやって来たっす。
「今、TV局の人が来て、取材させてって言っているの。「オネェの部屋」って番組だって言ってるけど、どうしよう・・・。」 (ちちぼう)

「んんっ・・・」
エロさんは唸った。
「んんんっ・・・」
エロさんはさらに唸った。
「んんんんっ・・・」
エロさんはさらにさらに唸った。
「ゴホッゴホッ」
唸り過ぎて、むせ込んでる。

「よしっ、取材を受けよう。そして・・・我々も実は「オカマアイランド」建設計画があることをズバリ実直に話そう。
よく考えてみれば、確かに先を越されたのは悔しくもあるが、元々「オネェの部屋」の人たちだって、敵というわけじゃない。むしろ、仲間だ。
ただ、それがテレビのバラエティ的な企画と、ワシらのような本格的に未来の国家建設を考えたものとは違うだけじゃ。
これはむしろ一部始終を話して、こちらが如何に大きな規模で動いているかを話した方が得策かもしれん。
そして一緒に出来るところは結託していくののが最善の策なのかもしれん。
ただ・・・イメージソングだけはコウジ君に作ってもらわんと、主導権が握れんな。
バラエティだけで終わらされてしまっては元も子もない。
コウジ君、なんとか急いでくれ給へ!」

しかし現段階では詞は全く出来ていなかったでゲス。
慌てて地宇湖若椎氏にメールをしたものの、確かに投稿はいくつか来ているものの、決定打になるものは来ていないようでゲシた。
「どうしたらいいんでゲショウ・・・」
「そういえば、コウジちゃんは即興で歌を作るのがうまかったじゃない。あの要領でやったらどう?『こちらはもう出来てますっ!』って」
銀ちゃんが俺に囁いた。
「即興!?そんな大舞台で!?そりゃあ、あんまりでゲス!」
あっしは頭を抱えた。
「なんとかいい投稿が突然来ないでゲスかな・・・」
そんなことを思っている間に、部屋にドカドカと大勢の人がやって来たでゲス。
そして眩しいライトやカメラ。
と、そこにあっしは意外な人を発見したでヤス。

それはソケット・マヅというあっしの友人でやした。
ブスカルズというバンドのリーダーで、あっしの音楽仲間でもありやす。
「な、なんでマヅさんがここに?」
あっしが聞くと、彼は今まで聞いたこともないオネエ言葉で喋りだしたでやす。
「ふふふっ、コウジちゃん、驚いた?
あたし、隠してたけど実はオカマだったの。
それで、最近タレント活動もはじめたの。
そこではソケット・マヅじゃなくて、マヅ・デラックスとという名前でやってるの。よろしくねっ!」
「そ、それはもろ、マツコ・デラックスのパクリじゃないでげすか~!」
思わず突っ込みを入れようとしたけど、とりあえず先輩なので、
「は、はぁ。そうだったんでゲスか。でも、いやあ、ビックリしたでゲス!」
「でもコウジちゃんこそ、なんでこんなところに・・・あっ、あたしレポーターだから突撃取材しちゃおうっと!」
そう言ってマヅさんは俺にマイクを向けて来たでゲス。 (ぽのぽの)

「みなさ~ん、聞いてちょうだい~」
マヅさんが声をあげたでヤス。
「ここにたまたま、あたしの知り合いがいました。彼に聞いてみたいと思いま~す!」
ま、待つでやす!マヅさんだけに待づでやす!
と思ったが、もう彼のマイクがあっしの鼻っ先にきてたでゲス。
「この人、コウジちゃんって言うの。あなたもあたしたちの仲間だとは知らなかったわ。もうう~、言ってくれたら可愛がってあげたのにい!」
「いや、違うんでゲス。これには訳が・・・。とにかくあっしはオカマじゃないんでゲス!」
「えええ~っ、そうなの?つまんなーい。じゃなんでこんなとこにいるの?」
「それは・・・」
そう言って事の経緯を説明しようとした時でヤス。
あっしの携帯がメール受信を知らせてビビビと震えたでヤス。
「ちょ、ちょっと待ってくれでゲス」
そう言ってメールを見た瞬間、あっしは急に腹が決まったでヤス。
ちらりとエロさんの方を見ると、目で「お前の好きなように言え」と合図があったので、あっしは言ったでヤス。
「ええと、実はこの番組とは関係なく、こちらはもっと大きな規模でオカマアイランド、ひいてはオカマ国の建設まで考えていたでヤス!」
おおーっ、という声がまわりにどよめいたでやす。
「そして、あっしはそのテーマソング担当でこのプロジェクトに関わっており、実はそのテーマソングも既に出来ておりやすっ!」
マヅさんは事の展開のあまりの早さに驚きながら、
「あらっ!本当に!?それはどんな歌かしら!?」
あっしは一呼吸置いてから、答えたでヤンス。
「まだメロディは内緒でやすが、歌詞だけここでお伝えするでヤス。
これでヤス!

『オカマアイランド☆テーマソング』


カマってー
カマってー
オカマをー
カマって!(キメポーズ)

お髭!(きゃ~!)
スネ毛!(いや~ん!)
それが何だというのカマ?
世界はオカマで回ってる

差別や偏見気にしてナイ(ナイ!)
意地悪したらば
お仕置きよん(ドキュン!)
先生もオカマ
総理もオカマ
みいんなオカマに
なっちゃいな(チャイ!)
おカマカマカマ
アイランド☆


(セリフ)
「みんなの背中にも羽が生えているのよ!さあ羽ばたいて!」


男?(好物!)
女?(ライバル!)
性別気にしているのカマ?
宇宙はオカマが作ったの

恋愛純愛し放題(イェイ!)
恋をするのは
フリーダム(LOVE!)
社長もオカマ
ポリスもオカマ
みいんなオカマに
なっちゃいな(チャイ!)
おカマカマカマ
アイランド☆               」

「まぁ、素敵なお歌!これは素晴らしいわっ!」
マヅさんも絶賛でヤス。
本来なら自分の番組でもテーマソングを作っているのだから、対決姿勢を見せてもいいのに、変にピュアで感動屋さんなところもオカマさんにはあるでゲス。
「これはコウジちゃんが作ったの?」
「いや、あっしは作曲で、これは(ペンネーム:まくら)という作詞家が作ったでゲス」
「まぁ、まくらなんて素敵な名前ね。まさか枕営業じゃないでしょうね?」
「そ、それは違うでゲス!」
「ふふふっ、分かってるわよ。でもこれは私たちが用意していたものより素敵だわ。それは認めるわ。こんな素敵な歌が既に出来ていたなんて・・・あなたたち、本気ね?」
「もちろんでゲス!」
「分かったわ。どう?私たちはメディアで応援するから、一緒にやってくれない!?」
それは願ったり叶ったりの展開でヤンス。
「ありがとうございやす。でもあっしはテーマソングだけの担当なので、ちょっと代表者に出てきてもらいやす。」
そう言って、あっしはエロさんの方を振り返ったでヤス。

と、エロさんは妙な顔をして入り口のほうを見ていた。(ドン・ぶら子)

「んっ?」
あっしもその表情に不穏なものを感じ、振り返ったでヤンス。
と、そこには柄の悪そうなタイ人が数名立っていたでヤンス。
「△×…▼!!」
と、突如タイ語でまくし立てられたでヤス。
これはただ事じゃないと察し、横にいた銀ちゃんに聞いてみたでやす。
「奴らは何と言っているでヤスか!?」
すると銀ちゃんの顔が見る見る蒼ざめていき、
「あいつら・・・『男は男らしくしろ。オカマはこの国から出て行け』と言っているわ・・・」
「えっ、そんな、この国はオカマ先進国じゃなかったでヤスか?」
「いや、それはそうなんだけど、だからこそそれを忌み嫌う者も現れるのよ。たしかあいつら憂国党の奴らだわ」
「憂国党・・・そんな奴らがいるでゲスか・・・」
そう言ったその時でゲシた。
奴らのうちのひとりがエロさんを後ろから抱え込んだでヤス。
「な、何をする!」
「×…▼※○▽!!」
「えっ、何と言っているでヤスか!?」
銀ちゃんは目を見開きながら、
「あいつら・・・この集団を解散するまでこのジジイ・・・エロさんを人質にする、ですって!」
と、見る見るうちにエロさんは奴らに引きずられ、奴らの車に乗せられてしまったでゲス!
「△※○▽×…▼!!」
「ああっ・・・」
銀ちゃんがしゃがみ込んで泣き出してしまったでヤス。
「あいつら、24時間以内にオカマの組織を完全に解散しなければこの爺さんを殺すって言ってる・・・」
「殺す・・・」
あっしも背中にひゃっこい汗がすーっと流れたのが分かったでヤンス。

車に乗り込む前に、憂国党のリーダーらしき奴が何かを叫んだでやんす。「#☆※◆◎△!!」そのまま乱暴にドアを閉め、エロさんを乗せたまま車を猛スピードで飛ばしていったのでゲス…。
エ、エロさんが…エロさんが連れ去られてしまった!あいつらに殺されてしまうかもしれないでやんす!!一体どうすれば…!
あっしはショックのあまり、その場に膝をついてしまったでゲス…。
その時、銀ちゃんが涙を拭いながらこう言ったでやんす。
「コウジちゃんっ!さっきのアイツ、何か叫んだでしょ…。あれは『要求は組織の解散と、黒の貸倉庫へコウジが1人で来る事だ!』って言ってたの…。うわぁーん!」
銀ちゃは、あっしに抱きついて泣き出したでやんす。
「あいつら、コウジちゃんに何をする気なの!!エロさんも連れ去られちゃって…。2人に何かあったらアタシ…」
銀ちゃんは、あっしの手をギュッと握ったでやんす。あっしはその手を強く握り返して言ったでゲス。
「黒の貸倉庫は何処でやんすか?ご指名とあらば行ってやろうでやんすよ!大丈夫、心配しなくても。エロさんと一緒に無事に帰ってくるでゲスから。組織の解散の話は待ってくれでやんす。エロさんの…みんなの夢なんでやんしょ?」
銀ちゃんの話によると、そこは憂国党のアジトで、大勢の仲間が常に集まっている危ない場所との事。
「絶対に誰も近づかない場所なの…。コウジちゃん1人なんてダメよ!」
銀ちゃんは、あっしを見つめて涙を流してるでやんす。
正直、怖いでゲス。
でも…あっしは行かなければいけないでやんす!何としてもエロさんを助けなければ!!
そのままあっしは走り出したでゲス! (まくら)

黒の貸倉庫はバンコクのすえた臭いのスラム街の奥深くにあったでゲス。
倉庫は思ってたよりもでかく、ちょっとした体育館ほどもあったでゲス。
そしてその前にはひとりの小柄だがムエタイの選手みたいに鋭い目をした男が立っていたでゲス。
「オマエガ、コウジカ」
どうやら日本語が喋れる男らしいでヤス。
「ホカニダレモイナイダロウナ」
あっしは「ひとりで来たでゲス!」と叫んだでヤス。
男はあたりをしばらく執拗に見回すとふんっ、と鼻を鳴らし、小声で言ったでヤス。
「・・・ヨシ、ハイレ」
赤錆びた鉄の臭いが鼻につんとくる、倉庫の扉がギギギッと開いたでヤス。
「ボスニアワセル。コッチヘコイ」
雑然としていろんな工場の機械みたいなものが散乱している場所を抜け、奥の管理人室みたいなところに連れてかれたでヤス。
「チョットマッテロ」
部屋の前で待たされたでゲス。
まわりには一見誰の姿もなかったが、どこからかいくつもの目で監視されているような奇妙な不気味さが漂っていたでゲス。
ほどなく「ヨシ、ハイレ」の声がかかって中に入ったでヤス。
「コノカタガワレワレノボスダ」
そういって紹介された人を見て、一瞬声を失ったでゲス。
そのボスと呼ばれた男は、病気なのか怪我なのか、両手両足のない胴体だけの、いわゆる・・・
芋虫人間だったからでゲス。
芋虫人間として、ソファの上に転がっていたからでゲス。

あっしは暫く言葉を失ったでやんす。。。そんなあっしの様子を見て、ボスと言われてるその芋虫男はゆっくりとこっちに向きを変え、いきなり驚くべき事を話し始めたでゲス。
「ふっ。。1人で来た様だな。ボスがこんな姿とは思わなかっただろ。同情されるのはごめんだ。そもそも俺がこんな姿になったのは、あのエロってジジイのせいなんだからな! お前、あのジジイにもう。。。」
あっしの股間を見てそう言うので「いや。。。預けてあるという感じでやんすかね。ほんとに凄い技術でゲスな。こんな事が出来るのはエロさん位でやんすよ。それより日本語うまいでゲスね?」
すると芋虫ボスは、こう続けたでやんす。
「ここに長く暮らしちゃいるが、俺は元々日本人なんだ。本当の名前は釜川。まぁ、こっちでボスと呼ばれてる方が長くなっちまったけどな。」
「えっ?カマガワ。。日本人でやんすか。どうりで日本語ペラペラのはずでやんす」
釜川は更に続けた。
「まぁ日本語を忘れそうになる時はあるけどよ。。。俺は昔、ゲイになろうと性転換の相談をエロのジジイにした事があってな。あいつはその道では有名な医者だと聞いてたからさ。だが、実際のジジイの腕は酷いもんだった。。。肝心のムスコは元のままで手足を取られちまったんだ! その後すぐ、てめぇの失敗から逃げる様に姿を消しやがった! 俺はそれからずっとこの有り様よ!」
あっしは驚きを隠せなかったでやんす。エロさんのせいで芋虫になった。。。!?
「俺はあいつのせいで、こんな惨めな姿にされちまったんだ! 何度も死のうとしたが、死ぬ前にどうしても来たかった憧れのこの国へ必死の思いでたどり着いたのさ。その時に世話なったやつからマフィアの世界に誘われ、結局いつの間にかドップリはまっちまった。今ではボスと呼ばれてるよ。とにかく俺は、オカマアイランドなんて許さねえ! こんな目にあったやつの事も知らねぇで、浮かれやがって!!  あのジジイも許さねぇ!! 俺が全部ぶっ潰して世界中のオカマを消してやるよ!!」

あっしは釜川の言葉を呆然となりながら聞いていたでゲス。。。 (まくら)

しばらく奇妙な空気が流れた後、あっしはやっと口を開いたでゲス。
「あのエロさんがそんな失敗をするなんて考えられないんでヤスが・・・。もしそれが本当だとしても、他のオカマにはなんの罪もないでゲス・・・。」
すると、少し落ち着きを取り戻した釜川も、
「・・・そりゃあ俺だって元々はオカマだったんだ。気持ちが分からねえことはねぇ。だけどな、こうして芋虫になってゴロゴロ転がっているうちに、やっぱり男は男、女は女だって思うようになったのさ。別に男尊女卑ということではなくてな。」
そう言いながら、彼は右に左に部屋をゴロゴロと動き回っていヤシた。
と、あっしは急に疑問が首をもたげたでヤス。
「そうでゲスか・・・でも、それにしてもおかしいでヤスね・・・。」
と、突然また釜川が、
「おかしいだぁっ!? おおおお俺の姿がかっ! てててててめえっ!」
と一喝してきたので、
「ち、ち、違うでヤス。エロさんでヤス!」
「何ぃ!? こんな姿にしたエロのジジイの何が違うというんだ!」
「そ、それでゲスが・・・あっしも正直エロさんとそんな長い付き合いをしてきたわけじゃないので本当のところは分からないでゲスが、そもそも・・・その・・・アレを切除するのを間違えたからって両手両足を切断してしまう、っていうのはおかしくないでゲスか?いくらなんでも間違いにもほどがあるというか・・・」
「そりゃあ俺だって思ったさ。だけどな、手術が終わって麻酔が覚めてみたらこんな姿になってたんだ。助手らしい奴が『ちょっと手違いがありまして』とか何とか言って、俺があまりのことに一瞬気絶して、次に目が覚めたらエロも助手も誰もいなかったというわけさっ!」
釜川はまた怒りが戻ってきたのか、顔が真っ赤になりブルブル震えている。
芋虫人間がブルブル震えているサマは、まるで大人のオモチャのようでゲシたが、もちろんあっしはそんなことはひとことだって言えやしやせん。
と、突然あっしの脳裏にひとつの疑問が湧いたでヤス。
「あの、これはあっしの憶測なんでヤスが・・・エロさんが誰かに操作させられたり、洗脳させられたりという可能性はないでゲスかね?」
と、その時、突然釜川の顔がハッという表情に変わった。

しかし釜川はすぐに「いや…まさかな…」と、首を振ったでやんす。
「一瞬あいつの顔が頭をよぎったが…そんなわけねぇか…。だがあいつしか…」
「誰か心当たりがあるんでやすんか!?もしかしたら、その人がエロさんを洗脳していた可能性があるかもしれないでゲス!調べてみれば何か解るかもしれないでやんすよ! カマさんっ」
「カマさん!?」
「も~! 呼び方なんてどうでもいいでやんしょ! 教えてくれでゲス!!」
「…わかったよ。そいつはな…お前がよく知ってるやつさ」
「えっ…あっしが!?」 (まくら)

「ソケット・マヅ。・・・知ってるな!」
「それはもちろん・・・というか今はテレビのレポーターやってて、今はマヅ・デラックスと名乗ってるでヤス。しかも、さっきまで一緒だったでヤンスよ」
「な、何!? あいつそんなことしているのか。よくもいけしゃあしゃあと!」
「な、なんでゲス?マヅさんがどうかしたでヤスか?」
「・・・あいつが、黒幕かもしれん。」
「マ、マヅさんが!?それはどういうことでゲスか!?」
「実はな・・・あのマヅという奴は・・・」

と、その時、突如外から凄い声の塊がまるで地響きのように聞えてきたでヤス。
「な、何でヤス!?」
「俺にもわからん!誰か大勢がここに押し寄せている!」
その時、見張りで外で待機していたらしいひとりの若者が、部屋に息せき切って入って来たでヤス。
「○∵△◆○∵※!(ボ、ボス、てえへんだ。ものすごい数のオカマが!) 」
「な、何!?どういうことだっ!」
あっしも、まったく事情が飲み込めなかったでヤス。

コウジを返せー! 今助けるからなー!

地響きのような凄い声の塊の中から聞き覚えのある声が幾つか聞こえてきたんでゲス。外に繋がる窓の無い空間で聞くそれらの声は頼もしく感じたのでヤンスが、状況が掴めないので自分がどうなってしまうのかという不安も大きくなっていきやした。

遠くの方で倉庫の扉を破壊しようと、扉に大きなものが幾度もぶつかる音と、その扉の付近での攻防の怒号、破壊された扉から怒号の波が自分の居る場所に津波のように押し寄せて来た事までは覚えているんでゲスが、それからの事は極度の緊張と恐怖から、ふっつりと途絶えて覚えていないのでヤンス。

気がつくとベッドの上でやんシタ。

「あら、コウジ、起きたのね。うふふふふ」

「ウギャー!」

目を覚ましたあっしを覗き込む幾つもの顔、顔、顔。それらは先ほどの戦闘で化粧がドロドロに溶けたオカマちゃん達でした。思わず悲鳴をあげてしまったのでヤンスが、その悲鳴を聞いて顔を見合わせたオカマちゃん達は互いの顔を指差しながらゲラゲラ笑い始めたのでゲス。

「みんなコウジの事を心配して固唾を飲んで見守っていたのよ。それが何よ、目を覚ましたと思ったら悲鳴をあげたりして。嫌んなっちゃうわ。」
「そうよそうよ!でも、やっとみんな安心したのね。それまでは必死で気がつかなかったけれど、みんな化粧がドロドロで酷い顔になってるのよね。うふふふふ」

銀ちゃん、そしてマヅさん達はあっしが気絶している間に起きた事を話してくれたのでヤンス。元が男だけに皆さん壮絶な闘いっぷりだったようで、武勇伝自慢大会の様相を呈してやシタ。

「そうそう、それでね釜川のヤロウは二度と口を聞けないようにエロさんに口を縫っといてもらったわよ。うふふふふ」

銀ちゃんはサラッと酷い事を言ってのけると、急に真顔になって釜川との確執について話し始めたのでヤンス。

「実を言うとね、わたしとマヅさんは昔からの知り合い、旧知の仲なの。というより同志なの。オカマ・アイランド建設のね。私達がこの計画をスタートさせた時に釜川が仲間に入ってきたの。彼の能力をかって会計担当にしたの」
「そうそう。ところが、釜川のヤロウは名前はカマだけどホモだったのよ。だから路線が微妙に違ったの。そして釜川のヤロウ、ああまどろっこしい、カマヤロウは、実はわたしたちの資金を奪ってホモ・アイランドを作ろうとしていた事が発覚したのよ」
「それで、本気でオカマ・アイランド建設に忠誠を誓うなら、チン切りをしなさいってけしかけたの。カマヤロウは当然渋ったわ。エロさんにもアンタみたいに、いつでも戻せる方法で切れないかって相談したみたいね。それじゃあって事で、エロさんにお願いして、本当に手も足も出ないようにしてもらったって事なのよ。うふふふふ」
「今回で遂に口も出せなくなっちゃったけどね。あはは」

深い、深くて凄すぎる世界に関わってしまったのでヤンスなぁ、あっしは…。(T.E.E.)

ちょっとビクつきながらも話したでゲス。
「・・・そうでゲスか。確かに釜川はヒドイ野郎でゲスね。でも芋虫はちょっとやり過ぎな気も・・・」
そう言うと、銀ちゃんはいきなり笑い出したでゲス。
「ハハハハッ、確かにね。でも・・・」
「でも、なんでゲスか?」
「ちゃんと手はうってあるわ。あれを持ってきて頂戴」
「あれ?・・・なんでゲスか!?」
そういうと、大きな木箱が運び込まれたでゲス。
エロさんが「そうっとな」と言うと、中はガラスケースのようなもんでありんした。
「これは・・・あっ!」
思わず大声をあげてしまったでゲス。
そこには人間の死体のようなものがホルマリン漬けになってたでヤンス。
「な、な、なんでゲスか?ここここれはっ!」
「ははは、よく見てご覧。これは・・・釜川の手足じゃよ」
「・・・あっ、本当でゲス! と言うことは!?」
「つまり、再生可能なように保存しておいたのじゃ。奴が改心したらいつでも戻せるようにな」
「エッ、エロさんっ!」
やっぱりエロさんは悪党なんかじゃなかったでゲス。
あっしも心底ホッとしヤシた。
と、そこに「釜川の代理」を名乗る男から、連絡が入ったでゲス。

釜川の代理、それは意外なものであった。
それは目の前にあるコンピューターのスピーカーから突然繰り返された。
『カマカワノダイリノメインコンピューター001ダ。トビラハロックサレタ。』
『カマカワノダイリノメインコンピューター001ダ。トビラハロックサレタ。』
『カマカワノダイリノメインコンピューター001ダ。トビラハロックサレタ。』
『カマカワノダイリノメインコンピューター001ダ。トビラハロックサレタ。』
『カマカワノダイリノメインコンピューター001ダ。トビラハロックサレタ。』
『カマカワノダイリノメインコンピューター001ダ。トビラハロックサレタ。』
『カマカワノダイリノメインコンピューター001ダ。トビラハロックサレタ。』
『カマカワノダイリノメインコンピューター001ダ。トビラハロックサレタ。』
『カマカワノダイリノメインコンピューター001ダ。トビラハロックサレタ。』
『カマカワノダイリノメインコンピューター001ダ。トビラハロックサレタ。』
『カマカワノダイリノメインコンピューター001ダ。トビラハロックサレタ。』
『カマカワノダイリノメインコンピューター001ダ。トビラハロックサレタ。』
『カマカワノダイリノメインコンピューター001ダ。トビラハロックサレタ。』
『カマカワノダイリノメインコンピューター001ダ。トビラハロックサレタ。』
『カマカワノダイリノメインコンピューター001ダ。トビラハロックサレタ。』
『カマカワノダイリノメインコンピューター001ダ。トビラハロックサレタ。』
『カマカワノダイリノメインコンピューター001ダ。トビラハロックサレタ。』
『カマカワノダイリノメインコンピューター001ダ。トビラハロックサレタ。』
『カマカワノダイリノメインコンピューター001ダ。トビラハロックサレタ。』
『カマカワノダイリノメインコンピューター001ダ。トビラハロックサレタ。』
『カマカワノダイリノメインコンピューター001ダ。トビラハロックサレタ。』
『カマカワノダイリノメインコンピューター001ダ。トビラハロックサレタ。』
『カマカワノダイリノメインコンピューター001ダ。トビラハロックサレタ。』
『カマカワノダイリノメインコンピューター001ダ。トビラハロックサレタ。』
『カマカワノダイリノメインコンピューター001ダ。トビラハロックサレタ。』
『カマカワノダイリノメインコンピューター001ダ。トビラハロックサレタ。』
『カマカワノダイリノメインコンピューター001ダ。トビラハロックサレタ。』
『カマカワノダイリノメインコンピューター001ダ。トビラハロックサレタ。』
「なんでげすか??これ!?」
あっしは慌ててドアを開けようと試みたが、ドアはロックされていてあけることができなかった。
「これはここのメインコンピューターが意思を持って起動しているようじゃな。」
「何を言ってるでゲスエロさん、コンピューターが自らの意思で起動したってことでゲスか??んなことありえないでゲスよ!きっと遠隔操作で誰かがいじくっているんでヤンスよ」
「これは遠隔操作ではない。このコンピューター001は自らの意思によって動いておる。わしにはわかる。とりあえず何とかやってみよう。」
「なんとかって、エロさんにこのコンピューターのことがわかるんでヤンスか!!?」
「だいじょうぶ、ここはかつてワシの研究所ののじゃからな・・。」
「わしの研究所?なにを言ってる でヤンス?」
「説明しとこうか、デラックスくん、わしらとここの秘密をはなしてやってくれぬか」
エロさん、の言葉にデラック スは相槌を打った。
「コウジちゃん聞いてかつて私たちはブスカルズの前身となるタスカルズというチンドン屋をやっていたの。メンバーは、釜川、エロ、わかしい、 銀、そして今の名前とはやっぱり違う私、スケット・ケツ。」
「なんと・・で、でも納得でゲス。前に銀ちゃんが、わかしいさんとなにかあったというのはここに接点があったんでヤンスね。そして、釜川が、なぜソケット・マヅいやデラックスのことを知っていたかなぞが解けたでヤンス・・」
「エロさんは当時科学者の顔を持っていたの。そこで助手をやっていたのが私。ここは、エロ研究所でエロ博士の天才的頭脳を屈して出来たのがカラクリ釜川。」
「釜川が、カラクリだって??」
「ええ、驚くのも無理はないわね・・だけど 完成する前にぬすまれたのよ。きっと犯人はタスカルズのわかしい、そして、誰かがデータを書き換えてこんな暴走を起こさせたらしいの。本来釜川は穏やかな性格に設定してあるはず。」といったところでエロさんが、「ここも書き換えられておる。メインコンピューターを錯乱させロック解除るには、HOUHI8が必要じゃ!だがこんな状況で手に入れるのは不可能に近い・・」
「放屁えいと?なんでゲスそれ??」
「わかりやすく言うとおなら。この物質はかつてイモ天という番組に出ていた ブリーフ姿で『こいたー』と発するのが十八番の覆面をしてた男がはなてるらしい。
でも男は当時偽名を使っていたから正体はよくわからないらしいというわ。」
「デラックス・・その人物あっしでヤンス。」
「へ!?ほんとなの??」
「ああでヤンス。あっしは、当時でストリートミュージシャンをやっていたでゲス。まともに歌を聴いてくれる人はおらず、ジュースを頭からぶっかけられ涙かジュースかわからない顔で唄っていたこともあったでゲス。
ある日のことでヤンス。
隣で唄っていた一人の美青年がこっちにやってきたでヤンス。
何を言われるかびくびくしていると、その彼は弟子にしてくれとあっしに頼んできたでゲス。
最初は、あっしをからかっているのかと思ったでゲスが、彼の誠実さや音楽に対する勤勉さなにより人懐っこい性格にすぐに意気投合したでゲス。
よく2人で唄いバカやって青春ってやつをやっていたでヤンス。
そんな彼といつものように2人で演奏していると、プロダクションから契約をしないかという話があったでゲス。
彼だけに。
今度売りだす新しいバンドに入れたいというでヤンス。
彼はことわったけど、あっしは強く勧めた。あっしも必ず昇り詰めるという約束で・・ヤンス。
彼の所属していたバンドはとてつもない人気になったでヤンス。
あっしは一度連絡しようと事務所にあいさつがてら伺ったら、マネージャーらしき男が出てきてあっしを上から下まで覚めた目で見た後、君とは住む世界が違うんだ。もう関わるなと言って追い返された。それから何年か経って、あっしはいつものように駅前で唄っていると、彼と彼のバンドのメンバーが、あっしの前をとおったでヤンス。
あっしが彼の名を呼ぶと彼はこっちへ近づいてくるなり、
「おめぇ、まだそんな罵詈やってんのか!、事務所にも来たらしいが、そのつら2度と俺の前に見せんなよ!!」
と言ってあっしの目の前に札束を置いて行ったでゲス。
あっしはそれから駅前で唄うのをやめ、インターネットにのめり込んだでヤンス。
そんなある日のこと彼のバンドのHPを見ていると、
バンドの新加入募集。と書かれていたでゲス。
なんでもTV組のイモ天との協力番組で優勝者は新バンド加入をする企画でやんした。
あっしは覆面をして出場をしたでヤンス。
あっしは今までの音楽の技法を変え世間的に受けるであろう音楽でこの大会に挑んだでゲス。
運良く謎の覆面ミュージシャンという設定に番組は面白がりやがて優勝。
あっしは優勝コメントを求めマイクを向けたあいつに、すごい放屁をはなったでヤンス。
あっしの放屁で自慢のバラの香りとうたわれたおとこの匂いを書き換えてやったで、ヤンス。
あっしは、素早い動作でスタジオを後にしていつもの生活に戻ったでゲス。
その後バンドは解散。。
「そうだったの。何も知らなかったわ。」
「んなことより。放屁でげしたね!今スグコイたる!」
と言ってものすごい屁を放った。
するとロックは解除された。
ほっとしてあっしがノブに手をやった瞬間またロックがかかりまた新たなトラップが起動してしまった。
「なんてことじゃ、HOUHI8のこともわかっておったというのか・・」
突然部屋内が点滅しだして、コンピューターが新たに動き出した。(波乗りJ)

ガチャガチャガチャ
不気味な音がコンピューターから鳴り響く。
ガチャガチャガチャ
不気味な音がコンピューターからまだ鳴り響く。
ガチャガチャガチャ
不気味な音がコンピューターからまだまだ鳴り響く。

シーーーン

しばらく無音が続く。
緊張するオイラたち。
と、突然高らかにファンファーレが鳴った。
「・・・???」
と思っていると、コンピューターから明るい声で音声が流れた。

『カマカワノダイリノメインコンピューター001ダ。トビラハロックサレタ。
・・・トイイタイトコロダガソコマデイジワルワシナイ。ヨクゾヤッタ、オメデトウ!』

いきなりドアが開かれると、そこには釜川とそれを囲む男たちがいたでゲス。
そこで意外にも釜川は笑っていたでゲス。
「中のあんたらの声はすべて聞かせてもらったよ。俺も悪かった。
・・・和解しようじゃないか。もちろん俺の体を元通りにしてからだがな。」
なんと、そう言って来たでゲス。
とり囲んでいる男たちも、握手を求めてきたので、狐につままれたような気持ちで握手を返したでゲス。

カラクリの釜川ともエロさんがその場で手足をつけて握手を交わしたでやんす。
あっしの下腹部にもその場で簡単に懐かしい男性のシンボルがついたでやんす。
ついたーー!と思わず叫んだでやんす。

釜川は周りの男達に
「まさに俺の右腕として働いていたお前らもお役御免だな」
というと
「これからも手下でいさせて下さい!」
と頭をさげられていたでやんす。
「手下、か」
釜川は少し黙ったのちに「エロ、俺に必要なのは手足じゃない。手下だ。外してくれ」
「いいんじゃな」
「自分の足で歩くなんて面倒なこともうしたくないんでな」

あっしも、実は違和感があったでやんす。
ゲスな話でやんすが。
ないならないで、スースーしていて良かったのでやんす。
できることなら男の人生、女の人生をいいとこどりして生きたいという欲望が芽生えたでやんす。エロさんにそれを伝えると
「それは可能じゃ。オカマは人類の最終形といったじゃろう。魚やかたつむりは、環境に合わせて性別を変えることができる! 需要と供給によってじゃ。男は女を求め女は男を求める、しかしそれではあぶれるものがいる。仕事や需要は肉体の変化でいくらでも作れるのじゃ」
あっしは妙に冷静に、天才過ぎてこの人は世間から受け入れられないだろうなと思ったでやんす。 (多摩川)


とにもかくにも、あっしらのオカマアイランドの船は出航したでやんす。
これからどんな艱難辛苦が待ち構えてるかは尻用も無い、いやいや尻は多いに用があるので知りようもないでゲスが。
あっしらの一石で世界は変わるんでゲシょうか?
それも神のみぞ知る、でヤンス。
兎に角、今はやるのみでヤンス!

あっしらはやるでヤンス!
例えゲスな奴と言われようがっ!


『オカマアイランド☆テーマソング』(作詞・まくら)


カマってー
カマってー
オカマをー
カマって!(キメポーズ)

お髭!(きゃ~!)
スネ毛!(いや~ん!)
それが何だというのカマ?
世界はオカマで回ってる

差別や偏見気にしてナイ(ナイ!)
意地悪したらば
お仕置きよん(ドキュン!)
先生もオカマ
総理もオカマ
みいんなオカマに
なっちゃいな(チャイ!)
おカマカマカマ
アイランド☆

(セリフ)
「みんなの背中にも羽が生えているのよ!さあ羽ばたいて!」

男?(好物!)
女?(ライバル!)
性別気にしているのカマ?
宇宙はオカマが作ったの  

恋愛純愛し放題(イェイ!)
恋をするのは
フリーダム(LOVE!)
社長もオカマ
ポリスもオカマ
みいんなオカマに
なっちゃいな(チャイ!)
おカマカマカマ
アイランド☆  



       ー了ー




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