西原理恵子さん文春漫画賞受賞コメント




 げっ、西原さんが「賞」? 
うーん、まだまだニホンも捨てたもんじゃない、といおうか、ニホンは捨ててしまったといおうか、とにかくめでたい。なんせ西原さんの描く漫画ときたら粗暴、悪意、下品ここに極まれり。絵もテキトーに描きなぐり、背景なんて見たことない。人のプライバシーさらけ出し、おいおいそりゃ犯罪じゃねーか、そんなの書いてケーサツ来ないか?という代物ばかり。
 きっと審査員の何人かの先生様が「いや、私はちょっとこういうものは・・・はは、皆さん本気なんですか!? それとも私をからかっておられるのか?・・・おいっ、私を馬鹿にすると承知しねーぞ、こ・こ・この作品を本当にか、てめーら!! 品位品位ひんいーっ!! 」と顔に出さずにヒンヒンしているのが目に見えるようである。

 ・・・ふふっ、愉快、愉快。
 幸福と不幸とか、笑いと怒りとか、叙情と情事とか、美しいものとくっさーい汚いものとか、一見反対に思えるものが実は全部一緒のものだとわかってる。丁寧に扱われてたり、これが大事なのよ、と言われてるものが一番どうでもいいもので、どーしよーもないものが実は一番大事だと知っている。「欠けている」人が一番魅力的だということに気付いている。
 ギャグのはずなのに泣けてくる。こりゃどういうわけだ。

 ところで、これ賞金出るのか? どーせそれしか興味ないんだろう。それとも「文春漫画賞受賞作家」という触れ込みで銀行から金借りられるのか? 
とにかくぜーんぶまた悪いことに金使って遊びほーけて野垂れ死ぬ気だな? ・・・しょーがねーなー。

 おめでと。

(文藝春秋)


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