石川浩司のぶらりしりとり商店街 上板橋篇(BUBKA)

 前回の「神楽坂」で語尾が「か」だったので、池袋から東上線で10数分の、「上板橋」駅へ。と、そこは価格破壊が進む、なかなかに生活しやすい商店街が口を開けて俺達を待っていた!

 上板橋駅南口。降りるとすぐに「上板銀座」が始まる。
 と、まずは散歩の前に腹ごしらえ。午後2時集合なのだけど、いつも起きるのが昼過ぎで、あわてて泡吹いてやって来るので、何も食っておりませんのじゃ~。ひもじいですのじゃ~。ということで、いきなり商店街入ってすぐの「手もみラーメン 珍萬」へ。あぁっ、昼間っから店内にはどんなもみが! 珍が! 萬が! と思ったけど、ただの親父がひとりでやっているラーメン屋でした~。しかしそこはそれ、
「この店のお奨めは何ですか?」
「そりゃあ、胡麻ダレチーズ麺だな」
「ごっ、胡麻ダレチーズ麺!? じゃ、それ3つ・・・」
 ということで、食す。が、そんなにゲテモノという感じではなく、独特のこくがあり、俺はなかなか好きだった。500円は安い。「昔は8人も職人がいたんだけどねぇ、今じゃ、私ひとりだよ」って、カウンターだけ10席の店に8人も職人がいたら、調理場おしくらまんじゅう状態で、誰も体を動かすことがまんじりとも出来ず汗だけだらだら吹き出て、かえって怖いわい。

 それから商店街歩き。と、俺の好きなディスカウントショップ系の「ファミリーショップマルミ」が。うおっ、安い! 婦人ソックス・ショーツ39円、馬の写真立てもやはり39円! 100円ショップより安い。さらに薄手のセーターは395円! 
 と、ここで編集の林さんが「あらっ、これいいわっ!」と言って手に取ったのは198円の薄いマット。
「えっ、そんなのどーするの?」
 と聞くと、
「編集部に泊まり込みで仕事することが多いので、これでちょっと楽に寝られる」
 と笑顔。
 そっ、そうか。まだ20代のうら若き乙女が、実態は編集部の長椅子でマットもなく仮眠だったのか・・・。でもまぁ、198円で少しでも幸福になるなら、買った方がいいな。随分安上がりな幸福だが。しかしその後、その馬鹿でかいマットを持ったまま、カメラ片手に移動する林さんの姿は、ちょっぴりマヌケだった・・・。
「お茶・のり専門店 水村園茶舗」は、全くお茶は売っていず、ただの八百屋だった。が、ここも安い! レタス40円、大根なんと30円! まさに価格破壊の町だな。

 そこからさらに大通りを抜け、茂呂山通りへ。と謎の「ワクワクroom」という店が。入ってみると、無人の自動販売機がずらっと並んでいる。外から見えるところには、B級の映画や「斉藤慶子」「武田久美子」「飯島直子」あたりのビデオが2000円で売られている。と、どうやら店の本当の売り物は奥のアダルトコーナーにあるらしいことがわかった。しかし、昼間のこの時間では、銀のセロファンで覆われていて、ほとんど中を覗けない。むむっ、残念。
 さらに進むと、「傘ながい」は、冬だというのに、店舗の半分は花火を売っていた。おせっかいかもしれないが、この時期、傘と花火だけで食っていけるのだろーか。ひとごとながら心配になった。帰り道、行きには気づかなかった「おでん・おにぎり・五目めし さつき」という味のある渋い店を発見。しかしそこには、眼光鋭い婆さんがひとり煙草を吹かして睨みを効かせていたので、到底、カメラを向けることは出来なかった・・・。


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