「ルーマニア#203」(セガHP)


 少し前、「たま」というバンドでCSの「電波少年的放送局」というのに出演してきた。知ってる人は知ってると思うが、アイマスクとヘッドホンをつけられて、秘密の小部屋に入り、とにかくそこの部屋の中が24時間生放送される、というものだ。くだらない話をしたり、軽く演奏したり。
 しかし普通のテレビ局とは違って、無人のカメラが数台置いてあるだけで、ディレクターも誰もいないので、ついついこれが放送されている、という実感のないまま、4時間ぐらい馬鹿をやってしまった。しかしよーく考えたら、この様子は全国で何千人という人が覗き見しているわけで、なーんかトンデモナイコトをしてる気もしたが、人の慣れとは怖ろしいもので、最初の1時間くらいでほとんどカメラの意識はなくなってしまった。

 さて、「ルーマニア#203」だが、これもある種それにとても似かよっている。ただ、主人公のネジタイヘイ(なんちゅう名前だ!? 幻の漫画家、徳南晴一郎の名作「人間時計」の「声タダシ」に匹敵する奇天烈な名前だな)は、覗かれている、という事実を知らないだけだ。しかし、ネジタイヘイ、結構グータラ野郎だよな~。俺も20代の頃は大のつくグータラ野郎だったので、ついつい感情移入してしまったぞ。

 しかし、人の生活を覗き見るのは面白い。ちょいとしたいたずらが出来るのもよい。このゲームがもう少し早く発売されていれば、田代まさしも、捕まらずにすんだのに。惜しいな、田代まさし!
 しかも、こちらが超能力(?)で何かに注意を向けさせようとしても、ネジタイヘイの奴、結構鈍感で気づかない事も多く、
「ほら、CDをかけろっ、と言っとるだろーが! いつまでも雑誌見てるんじゃなーーーい!!」
 などとゲーム機の前で叫んでしまって、結局失敗することがあるのも、リアルだ。
 また、これをやっていると、ふと、
「もしかして俺もどこかで大きな物(宇宙人のゲームユーザー!?)に見られていて、何らかの操作をさり気なくされているのかもしれないぞ!」
 と思ってしまう人も多いだろう。
 あと、ゲーム中の音楽がこりゃまた、なかなか素晴らしい。気に入った曲は、サウンドコレクションで聴けるのもいい。これぞメディアミックスだな。(おいおい、「たま」の曲も入れてくれーい!)

 あと、このゲームをやってふと考えたのだが、主人公が障害のある人、例えば車椅子の人だったり、耳が聞こえない人だったりしたら、どうなるだろう、と思ってしまった。
 もしかしたら、遊びながら、かなりそういう人達への理解が深まるのではないのだろうか、と。
 俺たちが普通に出来ていることで、「こんなことが結構、困難なんだ」ということがわかれば、そういう人達をより理解出来るのではないか、と思う。
 俺はまじで、バリアフリーなんていうのは大上段に構えるのではなくて、気軽なゲームの中から、さり気なく入っていけたらなー、と思ってしまうのだ。・・・あっ、ちょっとまじになりすぎたかな?

 とにかく、ネジタイヘイ。変な名前に負けずに、がんばれ!!


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