インスタントラーメンは国民食!(ラーメンMook本)



 数年前、マレーシアのホテルにて。朝食はバイキング方式だったが、何カ所かにはコックがいて、卵料理を作ったり、肉を焼いたりしてくれていた。と、麺コーナーにも、立派なコックがいて、注文が来るのを待っていた。そこで「どんな麺があるのかな~」と覗いた俺の目に飛び込んできたものは、彼の前におかれた、何種類ものインスタントラーメンだった。
 俺がちょっと驚きながらも、ひとつの袋麺を指すと、「イエス」と彼はまじめな顔をして、まず、お湯を沸かし、ラーメンの袋をハサミでうやうやしく切り、そして丼に粉スープの素を入れると、お湯をそそぎ、丼に蓋をし、こう微笑んだ。「ウエイト・スリー・ミニッツ・プリーズ!」

 俺は15年ほど前から、インスタントラーメンのパッケージコレクションをしていて、現在、1000種類を越えている。当時はデビュー前の貧乏暮らしで、毎日必ず食べていたラーメン。ふと「この袋をコレクションしたら面白いんじゃないか」と思ったのだ。しかも、生活に密着しているのにもかかわらず、元々捨てられる運命にある為、意外とメーカー本社でも残していない(!)ことすらあるのだ。これこそ、庶民の貴重な「時代を表す生活資料」だと思うのに。
 仕事柄、バンドのツアーで地方へ出かける事が多かった為、地方の小さなメーカーのものや、「一発ものだろ、こりゃ!」ってな珍品にも巡り会って、毎日一食「違う種類のラーメンを食べる」ことに青春を燃やしていた。
 んっ? 今「そりゃ、馬鹿な青春だな」って、心の中で思っただろう。その通り。青春とは、馬鹿なもんなんじゃーい! でも結果、それで本も出せて、その印税で、その時食ったラーメン代くらいの元は取ったもんね~。ってなことはともかく、最近は仕事で海外に行く事も多いのだが、帰りの飛行機の中で必ず思うのは、「塩ラーメンが食いたーい!」ってことなんだなー。しかもラーメン屋のそれではなく、シンプルなインスタントの物。
 まさに、インスタントラーメンは日本人の国民食なのだ!!
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