はこにわポエム集会その5




二度寝バトルに負け続ける、そのルーツは「おそ松くん」なのだ!

 今でも毎日、片足を夢の中に突っ込んだまま目覚める。そしてなかなかそこから現世にスポンと出てこれなくて、激しいひとりバトルを演じる。「ヤバイよ、もう起きなくちゃ。」「馬鹿だな。この布団の中以上に素晴しい世界はないぞぉー。」「今日遅刻したら、本当、まずいってば!」「なんで極楽がここにあるのに、出ていかなくちゃなんねーんだ。」「ヤバイってばよー!!」「馬鹿だなー。青い鳥は家の中にいたんだぞ。ほら、寝ちゃえ、寝ちゃえ。ねーむーれーよい子よー」で、やはり何度かに一回はその悪魔が勝って心地よい二度寝に・・・。そのおかげで、立派に大学は中退し、さらに就職もあきらめ、はっと気付いた時にはこんな仕事をしていた。あぁ、どうして俺はこんなにグータラになってしまったのだ・・・と、気がついた。子供の頃読んでいた「おそ松くん」という漫画の中に、こんなシーンがあったのを。いつでもごろごろ怠けているおそ松達に、父親がこう叱るのだ。「いつもいつも、サボってばかりいて! それじゃ偉い人になれないぞ! 」「・・・偉くならなくたって、いいよー」「偉くなれば、お金持ちになって寝て暮らせるんだぞ! 」すると、ねぼけた顔でおそ松はこう答えるのだ。「ムニャ。僕たちもう、寝てるよ。」



 ***************読んだ人が恐怖におののく詩*********

 本当に怖いのは、背中から聞こえてくる「ワッハッハー」の声だ!

 俺も昔から怖い目には色々あってきた。小学生の頃は流行のコックリさんをみんなでやってたら、「おまえを殺す」と出た。中学生の頃は毎日、金縛り君が夜中になると「おばんでーす」と体にのしかかってきた。大人になってからも、イギリスの貴族の館を改造した中世の建物でレコーディングしていた時、突然裏の朽ち果てた教会の方から、手すりのない高い二階の窓に青白い顔が現われた。そして誰もいない部屋の壁いっぱいに、クレヨンで滅茶苦茶な落書きをされた。一緒に行った当時まだ2才ぐらいのメンバーの子供が無人のピアノ室から「お兄ちゃんやお姉ちゃんがいっぱいいるねー」とニコニコ出てきた。 でも本当に怖いのはもちろんそんなことじゃない。結局コックリさんには殺されなかったし、金縛りも「おっさんにのしかかっても、しょうがねえよなー」と諦めたようだし、外国の幽霊達も「言葉がわからねーんじゃ、脅かしようがないわい!」と怒って棺桶に帰っていっってしまったみたいだ。 それよりずっと怖いのは、駅のホームで列車が入ってくる時、「ワッハッハー」と陽気に笑いながらドンという鈍い音とともに、背中を強く押される事だ。ふわりと浮く体、そして鉄の塊が俺の視界に飛び込んでくる・・・。



 自殺しなくたって、どうせ100年後にゃ今いる誰もいないよ。

今回は、テーマがテーマなだけにまじめな作品が多かったなー。伊丹十三や新井代議士にしても「身の潔白を死を持って示す」なんていってたけど、はっきりいって「やっぱりやましいことあったんだなー」と思われるだけで、全然そんな効果はない。せいぜいレンタルビデオ屋の会議で「今月はタイムリーに伊丹十三追悼フェアーにしましょうや」なんて言われてたり、補欠選挙でまたぞろわけわかんない金がばらまかれる機会が増えただけ。むしろ逆に「なんか嫌な感じ」と思われてハイ、おしまい。だったらねー、まず、何も考えずに南の国でも飛んでっちゃたらどうかなー。お金がなかったら、泥棒ぐらいしちゃえ。泥棒というとすんごく悪いことのように思えるかもしれないけど、自殺に比べたらたいしたことないって。で、とにかくそこでとことんゴロゴロする。「ちゃんとした」事は実はどーでもいいことだ、とわかってくるから。南の国は苦手、という人はとにかく環境の変わる所にトンズラトンズラ。実は一番必要なのは時間なのだ。時間が解決してくれることって本当にあるから、もしもの時はぜひ試してみてね。みんな黙ってるだけで、一度も「死んじゃおうかな」と心によぎったことのない大人なんて、いないんだから。

(フロムA)


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