はこにわポエム集会その3




*************老人*****************

 毎年毎年、一年がどんどん短くなっていくという話しがよく出る。だからといって、1日が短くなって、朝起きたら歯も磨かずに猛スピードで飯を食い、ペーパーもそこそこにトイレを済ませ時速200キロで髪振り乱して駅までダッシュしなけりゃならないということはない。そんな人もあまり見かけない。では何故1日は短くならないのに1年は短いか。くっくっくっ、解明しちゃたもんねー。俺って頭いいんじゃない?もしかして。そう、1年というのは実は記憶の単位なのだ。そしてそれは人生全体の中の割合なのだ。例えば5才の時の一年はそこまで生きてきた人生の5分の1、つまり20%だけどそれが20才になれば20分の1、今まで生きてきた記憶の中のこの一年は5%にしかならないわけなのだから、短くても道理だよなー。俺なんて今、もう3%を切ってるぜ。とほほほほ。さらに人の記憶というものは始めての事(あぁぁー思いだすぜ、おっと鼻血が)だったり刺激的なこと(おぉ、垂れる垂れる)をより鮮明に覚えているものだから、本当に一年なんてあっという間だよなぁ。って俺が思うくらいなんだから老人の人達には一年は「あっ」どころかもうただの無声音の「っ」ぐらいだろう。そんな「っ」の世界を生きているもの、老人。5種類ぐらいしか顔のパターンのないもの、老人。お肌がツルツルだったらなんとなく嫌なもの、老人。恋文をもらってもちょいと困るもの、老人。後ろ向きにもの凄い勢いでドドドドッと走り去っていったらとっても怖いもの、老人。これからどんどん増えていって、やがて地球にあふれかえってさぁ大変なもの、老人。安達佑実もボディビルダーも、ツッパリ高校生もビャービャー泣いている赤ん坊も、ポックリ途中でジ・エンドしない限りはみーんなみんな輝かしい未来は、老人なのだ。もう開き直って♪ヤッホーーホートラララと歌い踊るしかないね。でもねー、気になるのは老人というとすぐ「福祉」とかばっかりイコールで問題になっちゃうけど、実際は俺達と変わらない、くっだらない部分とかしょーもない部分とか単なる助平な部分もいっぱいあるはずで、そういうところがどーも大事にされてない気がしちゃうんだよねー。本当はすっごく面白いのに。老人。「味わい深さ」のアベレージ、高いもんね。そこんとこの価値が余り計られないのが悔しいんだよなー。味わいがあれば細かい事やしょうもない価値観なんてみーんな飛び越えて許せちゃったり笑えちゃったりするのになー。老人、好きだなー。



 ****************トイレ*************

 外国を旅していると、時々とんでもないトイレに遭遇することがある。ベトナムの辺鄙な山の食堂のトイレは個室に板切れが3枚。他に何もない。おいおい、この部屋でどうしろというんだい。と、その真ん中の板切れを食堂の可憐な少女がやおら持ち上げる。そう、板を取り外した部分が穴になっていてそこにしゃがむのだ。下には豚が「ブーブー早くおいしいごはんを下さいな。ブーブー」と待っている。いや、待っているのは豚だけではない。少女もだ。終わるまで、板切れを持ちあげた少女はただ横でじっと待っている。できるかい!! ネパールでは、トイレの中は床一面○○だらけ。聞いてみると「この国の人は清潔感が強いので、他人のしたところをはずしてするのですよ。」って、なんか違うだろー!! 中国ではデパートなら安心、と入ったら個室にゃあドアがなく、みんな仲良しケツ丸だし共同組合。フランスの公衆トイレには流すボタンがなく出るに出られず、でももうしょうがないわ、とフーッとため息ひとつ、遠い目をしながら刹那的に外に出たらそのドアがボタンがわりになっていて「シャーッ」って、俺をびびらすんじゃねえ!!
 よく考えてみると、トイレってえのはどんな家にも必ずある。トイレ共同のアパート、っていうのも最近は少なくなったから、だいたい一家にひとつトイレはあるということだ。もしかしたらテレビや電話のようにそのうちひとりにひとつずつという時代がくるかもしれない。そしてトイレというのは基本的に排水孔から下水道ですべて繋がっている。ということは世界はすべてトイレで繋がっている、と言っても過言じゃない。すべてのトイレはローマに通じている。俺のトイレも、君のトイレも。ほおら、世界中の人がしゃがんでいる。ひとりぼっちでしゃがんでいる。お尻丸だしにして。先生もヤクザも。あのアイドルも、もう会うこともない昔の友達も。そう考えると、なんか世の中難しく考えるの馬鹿らしいよなー。どんな体裁整えてても、所詮そんな格好でみんなしゃがんでるんだぜー。ちゃんちゃらおかしいわーい。

 ところで、3年ほど前まで俺が住んでいた家はニセ水洗便所だった。一応洋式で、一見水洗便所に見えるのだが、流れる穴のところが蓋になっており、ブツの重みで下のくみ取りホールに落ちる仕組になっていた。なんか好きだったなー、あのトイレ。



*****自動販売機************

自動販売機の前で挙動不審の男を見たら、まず顔を確認してくれ! 

 やっほー、今週のテーマは自動販売機。知ってる人は「またか」と思うかもしれないが、実は俺は缶ジュースのコレクターなのだ。だから人よりも約3,6倍くらいこいつにゃあ、お世話になっている。地方にツアーとかで行くたびに、夜中にそっとホテルを抜け出してあちこちの自動販売機をキョロキョロ覗きまくり、時々ニヤリとする挙動不審な男。それが俺だよーん。「怪しい人を見つけたら110番」する前に、一応俺じゃないか確認してくれよ。嫌だぞ、いきなりの連行は。しかし日本は、物凄い数だよなー。ジュース、煙草、切符はいうに及ばず雑誌、お米、花、ストッキング、そして薬屋の前でこっそりお金を入れたものの箱が落ちる音が予想外に深夜に鳴り響く例の物などなど枚挙にいとまがない。これが外国だとその機械ごとごっそりトラックかなんかで持ってかれちゃうっていうもんなー。そーいえば、自動販売機を置いている商店の人達にひとつだけ注意しておきたいことがある。俺の友達がコーラを買ってプルタブを引き抜いた途端、沸騰した炭酸が顔面めがけて思いっきり飛び出してきたという。だから決してコーラを「あったかーい」に入れ間違わぬように。(って、そいつも開ける前に気付け、っちゅうに!)  

(フロムA)


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