五月十三日 後父さんの日



   後妻さん、という言い方は一般的によく使われる。子供に取っては継母(ママハハ)とも言われる。しかしその逆である後夫、継父(パパチチ?)という言われ方はあまり聞いたことがない。
 そこで男女同権の今、新しく男側の表現も考えなくてはいけないが、後妻や継母そして後夫、継父なども何となくイメージが良くないのは、そういう人達が世間から何となく冷たい差別的な目で今まで見られて来たという悲しい歴史もあるからであろう。
 そこでなんだか少し優しい感じのする言葉、ということで有識者達からのアンケートなどにも基づきこの「後父(ごとう)さん」という言い方がこの日作られた。

 後父さんに甘える子供の微笑ましい姿が見える。
「後父さん、僕テストで零点取っちゃった。ごめんなさいっ!」
「わはははっ、いいんだいいんだ。お前の本当の父さんは頭悪そうだったからな」
「後父さん、僕クラスの女の子を妊娠させちゃった。ごめんなさいっ!」
「わはははっ、いいんだいいんだ。お前の本当の父さんはヤンキーだったからな」
「後父さん、僕友達を殺しちゃった。ごめんなさいっ!」
「わはははっ、いいんだいいんだ。お前の本当の父さんも今入ってるからな」
 笑いの絶えない家庭は、社会の幸福へとつながっていく。

 ただこの言葉の最大の欠点は「後父さん!」と呼ぶと後藤さんが一斉に振り返ってしまう点である。が、そこは寛大な気持ちで各種後藤さんも許してやって欲しい。


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